起動確認とBIOSのセッティング
前回までで、いよいよ完成した自作PCであるが、あくまでハードウェア的な完成を見ただけであり、PCとして利用するにはこれからの作業が重要になる。まず行うのは起動確認である。一般的なPCと同様に、キーボードやマウス、ディスプレイなどのケーブルを接続して、電源を投入してみよう。
正しく動作すれば、電源を投入したときにPCの起動画面などが表示される。ここでは、PCが起動するためにさまざまなセルフチェックを行っている場面となるが、この画面が出ている間に特定のキーを押すと、BIOSの設定画面を表示することができる。BIOSとはマザーボードが実装しているPCのごく基本的な入出力を制御するファームウェアの一種。この設定画面から、マザーボードにオンボード搭載されているデバイス類やCPU、メモリなどの動作設定などを行うことができるのである。
ここで入力する特定のキーは、マザーボードによって異なる。一般的なのは[Del]キー、次いで多いのが[F2]キーだろうか。たまに[F1]キーのものもあるが、押すべきキーは短時間ながら画面上に表示されているので確認しよう。
そして、BIOS画面上では、CPUやドライブ類、日付が正しく設定されているかの確認。そして、Windows Vistaをインストールするにあたっての設定変更を行う。このBIOS画面もマザーボードによって大きく2種類が存在するうえ、マザーボードメーカーや製品ごとに細かく異なる。ここでは、何を設定すべきかを記しておくので、使用するマザーボードのマニュアルを見て、各確認事項をチェックしていってほしい。
ASUSTeKのP5K-Eの初期設定では起動直後に同社のオリジナル起動画面が表示される。このタイミングで[Del]キーを押せばBIOS設定画面を呼び出せる |
多くのマザーボードはこの画面のようなPOST処理内容を表示した画面が起動直後に現れる。ここで[Del]キーなどの特定のキーを押すとBIOS設定画面を呼び出せる |
続いてCPU温度を確認しておこう。この温度が極端に高いようならCPUクーラーの装着を再確認したほうがいい。初めての起動で40度台半ばを超えているようだと要注意だろう |
ここからはWindows Vistaインストール前の準備作業。まずはHDDを接続したシリアルATAの動作モードを変更。Windows Vistaを利用するならAHCIに設定したほうが良好なパフォーマンスを期待できる |
Windows Vistaのインストール
続いてはOSのインストールだ。ここではWindows Vistaの利用を前提に話を進めていくが、ハードウェア環境が適応するOSなら、Windows Vistaにこだわる必要はない。ちなみに、Windows Vistaのインストール自体はウィザード形式に近く、画面の指示に従っていけばいいだけだ。
1点だけ注意・考慮したいのは、インストール先のドライブである。HDDを1台だけ接続して、かつ、そのHDDを1ドライブで利用するのであれば、画面の指示どおり[次へ]をクリックして作業を進めていけばOKだ。しかし、後々のOS入れ直しを考慮してシステムドライブとデータドライブを分けるというアプローチも検討してみてほしい。OSやアプリケーションを入れるドライブとは違うドライブでデータを保管しておけば、万が一OSのトラブルが発生した場合にもデータを保存したドライブに影響なく再インストールができて便利だ。
このほか、今回の環境ではWindows Vistaのインストール手順通り進めていくことで、問題なく接続したHDDを認識しているが、これはチップセット内蔵のHDDコントローラのドライバをWindows Vistaが標準で装備しているものでまかなえているからだ。もしHDDを接続したコントローラのドライバをWindows Vistaが持っていない場合は、インストール場所の指定の画面にドライブが表示されない。この場合は、マザーボード付属のCD-ROMや、メーカーのWebサイトからドライバをダウンロードし、この画面でインストールを行う必要があるので注意されたい。
Windows VistaのインストールDVD-ROMからブートアップするとインストーラが起動する。インストールDVD-ROMはBIOS設定画面が出ているうちに挿入しておくとよいだろう |
インストール先のドライブを指定する画面。HDDが1台で、ドライブ(パーティション)を一つしか利用しないのであれは、このまま次へ進めていい |
パーティションを複数作成する場合は、先の画面から[ドライブオプション(詳細)]をクリックすることで、ドライブ操作メニューが表示される。ここでパーティションの新規作成やフォーマットなどを行える |
接続したHDDが画面に表示されない場合は、HDDコントローラのドライバが必要になる。マザーボード付属のCD-ROMなどからドライバをインストールする |
ドライバやユーティリティのインストール
Windows Vistaのインストーラに従って作業を進めることで、何度かの再起動ののち、無事にデスクトップが表示されるはずだ。続いては、マザーボード上に搭載されているチップセットやオンボードデバイスのドライバを、付属のCD-ROMからインストールする作業となる。
ASUSTeKのP5K-Eの場合、CD-ROMを挿入するとオートランでメイン画面が表示され、必要なドライバを一括インストールする機能が備わっている。こうした機能を持ったCD-ROMを付属したマザーボードを利用しているならば、このメニューに従って作業するだけでOKとなる。もし、こうした機能を持たない場合は、必要なドライバを一つずつインストールしていくようにしよう。
そして、忘れてはならないのは、ビデオカードのドライバもインストールする必要がある点だ。ビデオカードのドライバについては、グラフィック統合型チップセットを利用していない限り、ビデオカードの製品に付属するCD-ROMから別途インストールする必要がある。
このドライバインストールが終了すれば、とりあえず自作PCは完成だ。
ASUSTeKのP5K-Eに付属するCD-ROMを挿入したときに起動されるメニュー。インストールウィザードが用意されているので、これを選択すればマザーボード上に搭載されたデバイス用のドライバが順番に自動インストールされる |
インストールウィザードの画面。一括インストールが可能なので、何度かの再起動は行われるが基本的には手を出すことなく自動的にインストールが完了する |
このほか、ビデオカードなどのドライバも忘れずにインストールしておこう |
一通り正常動作ができる状態を作り上げたところで、マザーボードやビデオカードのCD-ROMに付属するユーティリティのインストールや、最新版ドライバの確認を行っておこう。最新版ドライバはマザーボード、ビデオカードの各メーカーのWebサイトからダウンロードすることができる。
なお、本来は前述のCD-ROMからのインストールを行う前に、別のPCでダウンロードし、LANやCD-R、USBメモリなどを利用して最初のドライバインストールの段階で最新版を適用するのが望ましい。手間はかかるが、作業を行える環境があるなら、こちらを先に実施しておきたい。
P5K-Eに付属するCD-ROMに用意されたユーティリティインストール画面。こちらも、一括インストールが可能 |
各種デバイスのドライバは日々アップデートが繰り返されており、動作の不安定さが解消されたり新機能が追加されることがある。もし作ったPCを利用して問題を感じるようであれば最新版が公開されていないかチェックし、インストールしてみよう |
以上で自作PCの作成に関する話題は終了だ。次回以降はメンテナンス&チューニングに関して、まずはBIOSアップデートと拡張カードの増設について紹介して行く予定だ。
(機材協力 : ASUSTeK Computer)