緊急事態宣言が全国に出され、ますます在宅やリモートワークに踏み切り企業が増えたことだろう。
これに対し、コロナ以前にリモートワークをさせて欲しいと言っても「無理」の一言で取りあってもらえなかったのに、できるじゃねえか、という不満の声も挙がっている。
だが、これをきっかけに、収束後には「無理」ではなく「できるけどやらせない」という返答になるだろう。言い方は悪いが、コロナの影響により技術的には前に、姿勢的には後方に向かい大きく進歩したと言える。
しかし現在、検査詐欺や、給付金詐欺がすでに行われているように、世の中に新しい動きや技術が生まれると、必ず混乱に乗じて悪事を働こうとする者が現れる。
おじさんのITがようやく革命したと思ったら
その悪事というのは「金儲け」だけではない。
「エロ」である。
最近で言うと「air dorp」機能を使い、電車などで見ず知らずの人に卑猥な画像を送りつける「air drop痴漢」などが記憶に新しい。
マッサージ器を何故か局部に当ててしまうように、我々人類は新しい道具を見るととりあえず「これエロいことに使えないかなぁ」と思わずにいられない動物なのかもしれない。
すでに「リモート合体」など、新時代のプレイに興じている人もいると思うが、もちろん同意の上なら問題はない。むしろあらゆる意味でこれほど危険性がないプレイはないと思うのでどんどんやった方がいい。
しかし、当然迷惑行為として使ってしまう者もいる。
「リモートセクハラ」
リモートワークが普及することで生まれた、新たなセクハラである。
コロナの影響により生まれた言葉といえば「コロナ離婚」もなかなかインパクトがあったが、地獄度はこちらの方が高い。何故ならもはやコロナのせいでもないからだ。
「リモートセクハラ」と聞くと、有識者は、相手に仕込んだ道具を遠隔で操作をするやつを想像してしまうだろうが、そこまでえげつなくはないので安心してほしい。
だが、そこまででないからこそ、深刻な問題と言える。
リモートワークになったことにより、他の社員とのやりとりは、チャットやテレビ電話などで行われるようになった。
そこで上司から「仕事の話で個別通話したい」と言われ、繋いだところ、仕事の話もそこそこに、プライベートの話や、家での服装などについて触れだし、果ては全身が見たいから立ってくれ、パジャマ姿が見たい、こんど2人でリモート飲み会しよう、などと言い出す、リモート機能を使って行われるセクハラが「リモートセクハラ」である。
我々は眠っていた獣を野に放ってしまった
しかもこのリモートセクハラは、社内のセクハラ上司が、そのままリモートセクハラ上司にIT革命したという現象ではないらしい。
今まで全くそのような兆候がなかった者が、リモートになった途端セクハラ野郎と化したケースが多く見られるそうだ。
これはリモートになったことにより、対話が「他者が完全にいない状態」「画面越し」になったことが大きく影響しているのだろう。
会ったこともない有名人のツイッターアカウントに突然罵声を浴びせる人がいるが、おそらく同じことを本人に直接言えと言っても無理なはずである。
このように画面越しになることで、相手が生身の人間であるというリアリティが薄れてしまうため、とても人様に向かって言うべきではないことまで言えてしまったりする例はあるのだ。
よくネットに「おじさんの痛いLINE」が晒されているのを見かけるが、あれもツールがLINEだからこそ起こっている文化だろう。
対面だったら、下ネタを言ったりワンチャン狙ったりはおろか、ちゃん付けさえできない可能性があるし、もちろん「ナンチャッテ(^_^;)」も言えないし、そんな顔もできないはずだ。
リモートセクハラも、顔は見えているとは言え、直接対面ではことで、相手に対して気が大きくなってしまい、むしろ社内ではそういうことが言えないタイプこそが「はっちゃけ」をしてしまった可能性がある。
また、人は新しい道具を持つとはしゃいでしまう傾向がある。
今回、リモート化により、はじめてテレビ電話を使った人が、本人的には「大学デビューに成功した」ぐらいの無敵感で女子に声をかけてしまっているのかもしれない。
また、誰に聞かれるかわからない社内と違い、誰にも聞かれないという安心感が、発言を大胆にさせているのだろう。
覗いている時は覗かれているのがインターネット
だが、おじさんLINEがネットに晒されまくっているように、誰にもバレない、などということはまずない。むしろ、デジタル化したことにより、記録が残しやすくなってしまっている。
自分的には「二人だけの秘密のやりとり」でも、相手にとっては、ただの「動かぬ証拠」である。
セクハラに加え、上司に「仕事の話がある」と言われたら通話を断れないという、パワハラの合わせ技で一本とられる可能性は十分にある。
火という文明に触れて、はしゃぎすぎると家が全焼してしまうように、リモートワークでも遊びすぎれば、あとで自分の進退に関わりかねない。
相手のためもだが、自分のためにもリモートワークでは仕事の話しかしないのが無難である。