「携帯電話を二つ折りにした」
今の人がそう聞いたら「物に当たるのは良くない、折るなら相手の腰椎とかにすべきだ」と思うだろう。
しかし、ひと昔前まで、携帯電話は二つ折りにするものであり、怒った時は逆方向に二つ折りするのが主流であった。
老は、30年前ぐらいのことを平気でひと昔と言うので油断がならないが、日本でアイフォンが発売されたのが2007年である。今の子どもは、戦争どころかスマホ以外の携帯電話を知らない恐れがあるということだ。「また、おばあちゃんのガラケーの話がはじまったよ」と思われていそうだ。
しかし、流行というのはバブルファッション以外はタピオカのように無限ループである。 今になって再び「二つ折り携帯ブーム」の兆しがあるようだ。
二つ折り携帯がブームらしいナウ
ガラケー回帰というわけではない。「二つ折りに出来るスマホ」の登場である
だが、ブームが来ているのは、ユーザーではなく主に作る側の方にだ。日本での販売はまだのようだが、サムスン電子などはすでに、二つ折りに出来るスマホを発表、販売をしている。
二つ折りに出来るスマホと言ってもピンと来ないと思うが、そういう方は、今お手持ちのスマホを縦か横に二つ折りにしてみてほしい。形状的には大体そんな感じであり、お手持ちのスマホは壊れたと思うが、壊れないのが二つ折りスマホである。
ただ、画面は通常のスマホより広い。それを二つ折りにすることで、コンパクトになるという設計だ。
しかし画面が二つ折りになるということは、漫画の見開きのように当然境目があり、映し出された推しの顔がピカソの名画の如くズレてしまうのでは、と危惧する者もいるだろう。だが実際のブツでは境目の凹凸はほとんどなく、ほぼ完全にフラットな画面になっている。
技術的にはすごい、と言わざるを得ない。
しかし、3Dプリンターや、3Dテレビのように、「技術的にはすごいがイマイチ流行らなかった家電」で走馬燈を作れ、といわれたらなかなかの長尺になってしまい、なかなか死ねない。
この折り畳み式スマホも技術的に最新なのは確かだが、流行るかどうかはまだ未知数である。
現段階では「二つ折りスマホだからできること」というのが、二つ折りに出来ること以外はそんなにない上、高価なので、他人と同じものを持ったら肌が水玉模様になるという人以外、まだステイでも良さそう、ということである。
ただ、折り畳み式を使うことで、画面の破損は従来のスマホより防げるようになるだろう。
ガラケー時代は、画面が割れている人、というのはそこまでいなかった。
しかし、スマホ時代になり、画面がノーガード戦法になったことにより、画面が「大槻ケンヂLv99」かというぐらいひび割れている人も珍しくなくなった。だが、二つに畳んでおけば、落としてもそうそう画面が割れることは少ないだろう。
また、私のようにカバンの中が地獄のように汚い人間は、スマホを持ち歩くだけで画面が汚れる。それも画面が外にでない折り畳み式なら、外面が地獄のように汚れるだけで済む。
しかし、逆に心配なのは折り畳み部分の強度である。二つ折りに出来る、ということは「二つに分離する恐れがある」とも言える。
作る側もそこは想定済みで、折り畳み部分は「20万回の開閉に耐えられる強度にしている」などと対策しているそうだ。20万回という回数がどれだけすごいかはわからないが、昨今のスマホ依存症の実力を見誤っていなことを祈る。
また、この開閉が「気持ちいい」という意見もあるので、無駄に開け閉めして、寿命を縮めてしまうような気もする。
負けハードよりは全然いいから、どんどん作ったらいい
ところでこの二つ折りスマホには、縦、横両方に畳めるタイプがある。縦に折れるタイプは、畳むとほぼ正方形になる。
世間では、これを見た、昔のゲームキッズの一部が「ゲームボーイアドバンスSPを思い出す」と懐かしさで爆発しているようである。懐かしくはあるが、正方形の携帯電話というのは、今まであまりなかったような気がするので、デザインとしては新しい。
私などは、その昔シングルCDのパッケージは長方形の形をしており、それを折ることにより、正方形に出来るという、今回の二つ折りスマホと全く同じ仕様じゃないか! と思い出したのだが、それが流行ったかというとお察しである。
メーカー側は常にこれを流行らせたいという思惑で製品を作っているだろうが、本当に流行るかどうかは出してみないとわからない。
ただ、この二つ折りスマホは流行らなかったとしても、ユーザー側は別に損というわけではない。誰も持ってないというだけで、普通にスマホとして使うことには支障がないからだ。
これが、ゲームのハードだったりすると悲惨である。流行ると思って買ったゲーム機が流行らないと、ソフト自体がろくに販売されず、人気作は流行っているハードで発売するので、満足に遊ぶことすらできない。
こんな失敗は、買えるおもちゃが限られている、子ども時代であったら痛恨としか言いようがない。その後の人生にも暗い影を落としてしまう。
よって、資金が潤沢にない人間は、新しい物は様子見した方が身のためだ。
ビッグウェーブに乗るのは、タピオカぐらいの値段のものに留めておいたほうが良い。