1位「ユーチューバー」2位「プロゲーマー」3位「ゲーム実況者」

月刊コロコロコミックが行った「読者の興味がある職業」アンケートの結果である。

実に嘆かわしい。

コロコロコミックと言えば先日「うんこ ちんちん総選挙」という子どもの夢が爆発した選挙を行ったことで記憶に新しい。子どもどころか、大人までもが童心に帰り、自分は果たしてうんこ派なのか、ちんちん派なのか今一度己の心に問うてみたことだろう。

ちなみに筆者は長考の末「うんこ派」である。

結果はちんちんの勝利だったようだが、それでも私の意志は揺らがない。おそらくこの総選挙は「大事なのは多くの他人の意見ではなく、たった一つの自分の意志」ということを子どもに伝えたかったのだろう。

そんな大人ですらなくした夢を取り戻せたコロコロコミックのアンケートでこの世間の流行を踏まえた堅実な結果は「夢がない」としか言いようがない。もっとシンカリオンの影響で「新幹線」を目指すなど「頭からっぽの方が夢つめこめる」を体現して欲しかった。

とは言え、こんな堅実な夢であっても、最近の子どもは、そんな職業とも言えないようなものを目指して世も末だという意見があるようだが、たかがまだ小学生程度の子どもの夢にケチをつけずにいられない大人になってしまった方が嘆かわしい。おそらくそういうタイプは「国家公務員」と言ったら「最近の子どもは夢がない」と言うに決まっている。

しかしこの結果はアンケートをとったのがコロコロコミックだったため、まだ夢がある方だ。これが学校の授業だったりすると、子どもながらに忖度するため「プロ野球選手」など、大人が喜びそうな夢のある職業が上位に挙がって来たりする。

さすがコロコロコミックは子どもの信用度が高い。

まぁこの結果からよくわかったのは、最近の子どもは本当にテレビではなくユーチューブを良く見ているということである。プロゲーマーや、ゲーム実況者というのもユーチューブでゲーム動画を見て影響を受けたのだろう。

  • 小学生のなりたい職業「プロゲーマー」 世の大人どもはどう向き合う

日本でプロゲーマーを目指すのは新幹線になるより難しい?

ところで、このランキングで2位の「プロゲーマー」だが、イマドキはゲームが「eスポーツ」と言われるようになり、もはや「スポーツ選手」と言っても過言ではなくなってきた。

日本のゲームは海外でも人気であり、日本の格闘ゲームなどの国際大会が頻繁に開かれ、その賞金は非常に高額である。もはや金銭面で言えば、野球やサッカー選手に匹敵するぐらい夢のある職業になりつつある。

しかし、日本のゲームは有名なのに、「eスポーツ」の普及に関して日本は大きく後れをとっているそうだ。

それを聞いて、てっきり「ゲーム」などという子どもの遊びを「スポーツ」まして「職業」なんて、もっての他という考えが根強いせいと思っていたが、こいつはそこまで単純な話ではないらしい。

日本では「プロゲーマー」というのは、単にゲームが上手く、大会に優勝した人を指すのではない。世間的には、日本eスポーツ連合(JeSU)が一定の条件を満たした場合有料で発行する「公式プロライセンス」を持っている人を「プロゲーマー」と呼ぶそうだ。このプロライセンスを持っていることが大会で高額の賞金を受けとる条件になるケースもあるという。

何を持って「職業」と見なすかはやはり「食えているかどうか」だろう。賞金が貰えず食っていけないようでは、本当にただのゲームが上手いおじさんおばさんになってしまう。

何故そんなことになっているかというと、日本には「景表法」というものがある。eスポーツの賞金というのはゲームを宣伝するための「景品」と見なされる可能性があり、一定以上の高額な景品を出すことが禁じられている。

よって国内では、ゲームメーカーが高額賞金のゲーム大会を開きづらいため、eスポーツが盛り上がりにくい状態になっている。またそのせいで、日本の法律が適用されないはずの海外大会でも「日本チームは優勝しても賞金がもらえない」という規約が設けられるケースもあったという。

そこで連合がプロライセンスを発行することにより、賞金を景品ではなく「仕事の対価」として受け取れるようになった、景表法を管轄する消費者庁も「良い制度だ」「そうだ、そうだ」と言っている、というのがJeSUの見解である。

しかし、消費者庁は、別にライセンス制度を推進したつもりはない、ライセンスがなくても法に触れず、高額賞金の大会を開くことは可能だ、と言っているようで、若干意見が食い違っている。なので、なくても良いライセンス制度をわざわざ作ってJeSUはライセンス料で儲けようとしているだけでは、という批判も出ている。

そういった話も受けて、JeSUはライセンス制度はあくまで合法的に日本でeスポーツを広めることを目的とであり、将来的にライセンスに寄らず賞金が受け取れる大会が開けるようにして、それとは別にプロライセンスを持つことの付加価値を高めていきたい、と述べている。

どうやらこの界隈、まだまだすっきりしない問題が山積みのようだ。

みんな夢破れて何も出来ない大人になるんだし

「eスポーツなんてけしからん」という簡単な話ではないと言ったが、国がeスポーツの普及に積極的でないせいで、こういう複雑な事態になっているとすれば、けしからんという考えこそがこれを邪魔しているというのも、あながち間違いではないかもしれない。

プロゲーマーの是非はおいておいて、国際的にも盛り上がっている競技なら、やはり「出遅れ」は良いことではないだろう。

子どもがプロゲーマーを目指して、ゲームばかりやるようになったら大変と思うかもしれないが、そらなら、野球やサッカーばかりやるのは良いのかという反論は簡単だ。

もちろん夢破れた時に「他に何も出来ない」というリスクはあるが、世の中、何も目指さないまま、何も出来ない大人になる奴の方が大多数である。

それが何であれ、何かに憧れ、目指す子どもの方が、よほど見込みがある。