今回の話はデマである。
「お前らツイッター民は、前後を読まない、裏を取らない、とにかくその140字に書いてあることが全てと思い込んで脊髄反射でガチギレやがる」と良くガチギレられるので、とりあえず結論だけを先に書いておく。
今回の話はデマと言う事だけ覚えておいてくれればいい。
今回の騒ぎも正誤を確かめず、刺激的な見出しにネットの住民が瞬時に過剰反応してまったために起こった騒動とも言える。しかし、今回の件は、悪意があったなら別だが、純粋に噂を信じたり、拡散したりしてしまった人を、少なくとも私は責めることができない。
「インターネット税」
これが今回ネットを騒然とさせたデマである。
そもそも「インターネット税」という言葉が”強い”
どうだ、実に刺激的だろう。
140字どころか、8文字で我々インターネット野郎どもの正気を失わせるのに十分だ。私もこの字面を見たらとりあえず「反対」と叫ぶか、そう描かれたプラカードの準備を始めるだろう。
おそらくネットを使っている人の多くの人が「詳しく…説明してください。今、僕は冷静さを欠こうとしています。」と風の大地の主人公顔になったと思う。ちなみに、風の大地の主人公はコミュ症で有名らしいが、ちゃんと詳しい説明を聞いてから冷静さを欠こうとしている分、ツイッターよりは治安が良い人な気がする。
では、ネットユーザーを震撼させた「インターネット税」とは何なのか、どうせデマだが、調べて見た。
まず発端は「総務省が5Gシステムの基盤である光ファイバー回線を維持するために、負担金制度を作り、通信料に上乗せする形で利用者から徴収する」という新聞報道からだそうだ。
それに尾ひれがつき、最終的に「インターネット税として、ネットユーザーから一人1000円取るらしいぜ」という形で広まった次第である。
尾ひれどころか、これ以上なく情報がそぎ落とされてしまっているような気がするが、これだけ「わかりやすい」から拡散されたのだろう。5Gとか、光ファイバーとかと言われても、ショップの店員に赤べこしている者にはわからないし、そういう人間にとってGはゴリラ以外ないのだ。
このインターネット税は、信じる信じないは別として、多くの人々が関心を持ち、一時期ツイッターのトレンドにもあがった。
当然「ふざけるな」という否定的な意見が多かったが、私などは逆に所得税のように「ネット使用時間に準じて徴収」でなくてよかった、とも思った。そういうシステムだったら確実に長者番付に載ってしまう。
しかし、総務省によるとこの「インターネット税」は全くのデマであり、何故このようなデマが流れたかすら不可解だという。
一説によると「ユニバーサルサービス制度の見直しを検討している」というのが誤解されたのではと言われている。
デマだし意義も違うけど結局はカネはとるんかい
ユニバーサルサービス制度とは、固定電話(公衆電話、緊急電話含む)のサービスを人口の少ない地域でも維持するため、通信事業者から負担金を徴収する制度である。多くの通信事業者は、ユーザーから「ユニバーサルサービス料」として、通信料に上乗せする形で間接的に徴収している。ちなみに、負担金は月額2円程度だそうだ。
そう言えば、遥か昔、電話の明細に「ユニバーサルサービス料」という謎の項目があるのを見たような気がしないでもない。
しかし、固定電話を持つ人間が減り、この負担金の確保が難しくなったため、「ブロードバンド」もユニバーサルサービスの負担金徴収の対象にすることが検討されているという。
それが5Gの光ファイバー回線維持の負担金制度、そしてインターネット税になったのでは、と言われている。
若干飛躍しすぎな気もするが、火のない所に煙は立たず、ツイッターはどちらかというと、火を起こした奴の10軒隣が全焼するという感じなのだが、どこかに火元はある。
「インターネット税」はないにしても、近々、ネットに関し何らかの負担金が増える可能性はある、ということだ。
だが実際、新しい負担金が導入されるとしても「インターネット税」的なわかりやすい名前はつけられないと思う。わかりやすいと、本件のように多くの人間が関心を持ってしまうし、当然反発するからだ。
明細に「インターネット税」と書かれていたら、「何だこれは」と疑問を抱く人が多いだろうが、「ユニバーサルサービス料」と書かれていたら何となくスルーしてしまう。実際に私のように、意味も知らずに諾々と払っている人も多いのではないか。
負担を強いる制度というのは、国民の理解を得るより、理解できない長い説明を早口でして、曖昧に頷かせる方が早いし、一番楽なのは、関心すら持たせないことである。
今後、ネットに対し何らか難しい名前の負担金制度が出来るかもしれない、というニュースが出た時は、何やら名前がわかりにくそうであればあるほど、聞き流さずに「これあのインターネット税的なやつじゃね?」と疑ってみてはどうだろうか。