先日「ソシャゲ離れ」という言葉がツイッターのトレンドに入っていた。

マジか。全然離れていないのだが、今も「縫い付けられているのか」というレベルでスマホが手の中にある。

しかし実際、DeNA、グリー、mixiなどの、スマホゲームを手掛ける会社の業績は軒並み減少しているという。

これは世の中全体的に「ソシャゲ離れ」が起こっているのではないか、ということである。では、人がソシャゲから離れる原因とは何なのだろうか。

人はなぜソシャゲから離れるのか

まずソシャゲにはまると何を失うか。ソシャゲを良く知らない人なら「金」と答えるかもしれない。

ソシャゲにはギャンブル同様の「ガチャ」という悪い文明がある。それもギャンブルなら金が手に入る可能性があるが、ソシャゲの場合は「JPEG」もしくは「PNG」、良くて「俺たちの課金でキャラが動いてしゃべった」ぐらいで、どちらにしても金は失う一方であると。

良く知らない人どころか割と知っている人の意見になってしまったが、もっとソシャゲに詳しい銭形警部ならこう言う。

「奴はもっと大変なものを盗んでいきます、あなたの時間です」と。

「ソシャゲ離れ」を報じて話題になった記事には実際ソシャゲに疲れてやめた人のインタビューが乗っていたが、そこに出て来た人は決してソシャゲに大金を使った「廃課金勢」ではなかった。

ソシャゲというのは、ほとんどのものが「基本無料」である。ゲーム自体もシンプルなもので短時間からプレイ可能だ。

しかし「本格的」にやろうと思ったら「貴様の金か時間どちらかよこせ」という仕様なのである。両方とても大事なものである、左か右のキソタマどちらか捧げろと言っているようなものだ。そしてもっと本格的にやりたければ「両金よこせ」という仕様になる。ソシャゲは「札束で殴るゲーム」と言われるように、金で全部解決できる世界のように思われがちだが、必ずしもそうではない。

金をかけるだけではなく、キャラを育てたりアイテムを手に入れたりするために「周回」と呼ばれる長時間の単純作業を要求するものが非常に多い。

インタビューに答えた人も、課金こそ微課金だが、周回の方に時間を取られ、体調を崩し会社を休み、それでもスマホを手放せないという生活に「ソシャゲに支配されている」と感じ、引退を決意したという。

この状態になると、単純に時間を取られるだけではなく「関心」もソシャゲに取られている。何をやっていてもソシャゲのことが気になり集中力に欠け、誘いも「周回があるんで」と断る。ランチに誘われようものなら「おいおいAPが溢れちまうだろうがよ」とキレ、常に上の空で、目の前に恋人がいても平気でスマホをいじり、宝具を連発させる。

私のように崩壊する人間関係が最初からない人間なら良いが、そうでなければ対人面もガタガタになってしまう。もちろん、これに加えて「金」も失っている人も大勢いる。

また、ソシャゲには家庭用ゲームのような「終わり」がない。

儲かっている内は、永遠に続き、新しいキャラ、新しいアイテムが無限に出てくる。それについて行こうと必死になるが、ある日「終わりにしよう、キリがないから、悲しいけれど」とlove is overが流れ出す。そういう「虚しさを感じてしまう」こともソシャゲ離れの原因だ。

ソシャゲのピークはもう過ぎた?

ただしこの「ソシャゲ疲れ」は「ソシャゲ離れ」の原因として、目新しいものというわけではない。以前から、上記のような理由でソシャゲを引退する人はたくさんいる。

ただ「20年前生まれた人が一斉に二十歳になる」のと同じように、ソシャゲ最盛期にソシャゲを始めた人が、今一斉に疲れてやめる時期にきているのかもしれない。

ソシャゲに係らず、ムーブメントというのはピークを過ぎれば、飽きや疲れによる離れ、また新しいビッグウエーブに人が移ることで徐々に数が減り、いつかは終焉するものだ。

だが、ソシャゲから離れる人が増えているのは事実かもしれないが、それになり替わるコンテンツがあるか、というとまだない気がするので、ソシャゲが完全な「オワコン」になるのはもう少し先な気がする。

話は変わるが私も「ソシャゲにはまった人」としてインタビューを受けたことがある。

私の他にインタビューを受けていた人は「ソシャゲにハマり借金をし離婚届けを前に途方に暮れるA子さん」だったので、おそらく「ソシャゲはこんなに怖い、人生狂わせますよ」という記事にしたかったのだと思う。

だが私が「ソシャゲが怖いことは否定しないが、17万かけてFGOの土方歳三を宝具5にしたのは全く後悔してない」と言い張り「土方さんに”さん”をつけろデコスケ野郎! もしくはフルネームで書け、オタクはキャラにハマるとフルネームで呼び出すのは基本だろ」と、散々注文をつけたため、結果的に何が言いたいのか良く分からない記事になっていた。

他にも「ソシャゲ依存から更生しようとする人」を扱うテレビ番組の出演依頼がきたが、断った。更生する気がないからだ。

ソシャゲは怖いという記事を作るのは構わない、実際に怖い。しかし、そういう記事を作りたいなら、人選を考えないと意図せぬ方向へ行ってしまう。

それと、金と時間を使い、疲れるだけではなく、楽しいところもちゃんとある、ということも言っておきたい。