低迷するマイナンバーカードの普及を促進するため、政府は2020年にマイナンバーカード所有者を対象に、買い物などに使えるポイントを付与する制度を導入すると発表している。

ポイントはQRコードなどを使った民間の電子決済システムへチャージした額に応じて付与されるとそうだ。

つまり「pay-pay」や「楽天pay」などと連動した制度で、「マイナンバーペイ」のような独自の決済システムを作るというわけではないようである。

どのように連動させるかは今のところ不明だが、セブンペイという前例もある。マイナンバーという超弩級の個人情報を星屑のように振りまきながら流星の如く消える、ということにならないことを祈る。

目的は前述の通りマイナンバーカードの普及だが、開始から4年、マイナンバーカードがどのぐらい浸透していないかというと、普及率は現在13.9%程度だそうだ。

☆4とまではいかないが、なかなかのレアカードである。

ぶっちゃけ、そもそも「よくわからない」

このように「失敗」の呼び声高いマイナンバー制度だが、そう言っている人間の3割ぐらいは、そもそもマイナンバーが何かすらわかっていないまま失敗と言っている気もする。「よくわかっているよ!」という人は頭がいいだけなので安心してほしい。

だがこの「国民によくわかられてない」というのが失敗なのだ。良い悪い以前に、何のためにあるのかがわからないレベルなのである。

何故よくわからないか、というと、日常生活や業務において「マイナンバーの恩恵」を感じるシーンが少ないからだろう。

まず、マイナンバーが何のために作られたかと言うと、公的機関道同士の連携をしやすくするためだ。税務署に収めた確定申告データが各市町村に送られ住民税が科せられる、というように公的機関は連携して業務を行っているのだが、名前のみで照合すると、カレー沢薫が二人いた場合、紛らわしく、間違いも起りやすい。

よって、唯一無二の「番号」を使うことにより、国民を識別しやすくし、個人情報の管理を効率化する、というのがマイナンバー制度最大の目的である。これにより、2007年に発覚した年金記録問題のようなことが起こりづらくなるという。

「俺たちが楽になりミスらなくなるのがメリットです」と、国に言われても、国民にしたら間違えないのが当たり前なので、イマイチメリットとして捉えづらい。

一方でマイナンバーは「1個に東京ドーム1000個分のビタミンが入っています」というような個人情報の塊なので、プライバシーの侵害につながりやすく、漏えいしたときのリスクがでかいという危険性も指摘されている。

マイナンバーが導入されたことにより、時間やコストが削減できた現場がないわけではないのだろうが、それを国民が具体的に感じられる場は少ない。むしろ、企業は社員や取引先のマイナンバーを管理せねばならず、個人はマイナンバーをイチイチ提出しなければならないという「面倒」を感じるシーンの方が多い。

特に私のような、原稿で報酬をもらう無職は、取引先ほぼすべてからマイナンバー提出を求められる。しかも提出方法が、WEBで出来るものもあるが、大体が「マイナンバー通知かマイナンバーカードをコピーして、のりで貼って郵便で送れ」という、アナログここに極まれり、なのだ。ちょっとした無給の内職になってしまう。

よって「マイナンバー提出」というのは後回しになりがちだ。しかし、それによって取引先から「お前、マイナンバー提出しない、弊社、困る」と言われたこともあるようなないような感じなので、余計、国のための制度で、企業や個人にとってはどうでも良い事なのでは? という印象になってしまう。

もちろん国が情報を管理しやすくなることは国民の利益につながるが、それを具体的に感じる場が少なく、面倒を感じる場の方が多ければ、「低迷」とか「失敗」というイメージを持たれても仕方がない。

マイナポイントカードはお持ちでしょうか?

じゃあ、具体的に恩恵を感じさせてやろうじゃねえか、というのが今回のマイナンバーポイント制度「マイナポイント」である。

これは2020年に始まって同年6月には終わる制度らしいので、永続的なものではなく、マイナンバーカードを作らせるためのスタートダッシュキャンペーンみたいなものだ。

しかしポイント付与率は25%とも言われており、2万円チャージすれば5000円のポイントがつく計算だ。まずチャージする2万を持っているかどうかは別として、還元率は「おいしい」と言って良い。

また、ポイント付与に民間の電子決済システムを使うというあたり、マイナンバーカードだけではなく、キャッシュレス化を促進させる目的もあるように見える。

電子決済は便利だし、マイナンバーカードも持っていて損というわけではないのだろう。

特に私などは「己の身分を証明するものが一切なくなる」というリスクを抱えて生きているので、職質対策として持っておいた方が良いかも知れない。

よって、私もこれを機に、楽天payアプリをインストールし、マイナンバーカードの申請をしてみた。

カードを作るのは面倒と思っていたが、スマホとマイナンバー通知カードがあれば申請出来る。

ただ私の場合「通知カードを探す」ことからスタートした。おそらく同じ事態に陥っている人も多い気がする。

マイナンバーカードを作っても「カードをどこに置いたかわからない」ということになりそうな気がしてならない。とはいえ、ポイントカードのように財布に入れておくには危なすぎるので、私はきっと、また忘れたころにこいつに悩まされるのだろう。