皆がこれを読んでいるころには、もう新元号が発表されていることだろう。

遺書のような書き出しになったが、私は明日以降も誰に頼まれたわけでもなく、生きているに決まっている。

これを書いているのが3月31日、明日ついに新元号が発表される。新元号と言えば、発表が押しに押し、カレンダー業者にすら「勝手にしやがれ」と匙を投げられていた。

そうは言っても、さすがに発表間近になると話題に出す人も増え、私の大好きなツイッターでは「新元号大喜利」が盛んに行われている。だが、この大喜利は早々に終了してしまった。何故なら「正解」が出てしまったからだ。

その名も「タピオカ」。そして今年は、「タピオカ元年」だ。

そのあまりの語呂の良さに、私のタイムラインではすでに「これしかない」と言う空気になっている。こんな「本物より本物」が出された後で、明日発表される新元号が可哀想なぐらいだ。

この「正解」を叩き出したのは、渋谷のJKである。渋谷のJK300人に「新元号は何だと思いますか」という謎アンケートが行われたのだ。

まず、このアンケートの意図はなんなのか。こうしたアンケートの中には、「最近の馬鹿で無知な若者をみんなさんで叱ってあげましょう」という、「お年寄りのために作りました!」という意図がおばあちゃんちのカーテンぐらい透けているものがあるが、ここまでくるとそれとは違う「期待」を感じる。

そして、その期待に見事答えて出て来たのが「タピオカ」である。

この答えには、若者や年寄りどころか「人類に厳しい」ことで有名なネットの民も、「ナイセンッ!ナイセンッ!(ナイスセンス)」と大喝采である。

そもそも、渋谷に遊びに来ているJKに、「新元号は?」などというつまらない質問をする時点で、世が世ならタピオカを吸うあの太めのストローで無礼打ちである。まず答えてくれたJKに感謝だ。

しかしタピオカが堂々第一位というわけではなく、1位は「安久」である。これに対しては「果たして渋谷に来るようなJK様が、こんな『僕、他の子より成長早いんです」という顔をした小学5年生のような、つまらない事を言うだろうか」と、逆に情報操作を疑われている。タピオカは11位だが、それでも3人がそう答えたというから、日本の未来は明るい。

他にも特筆すべきは3位に「嵐」同じく11位に「卍」などがある。JKからしたらすでに、嵐のメンバーはお父さんに近い年代である。それでも名前が出てくるのだから、改めて嵐のすごさを感じる。

さらに「卍」、これも良い。画数が少ない所が特に良い。私のような悪筆で誤字が多い者にとって、タピオカや卍はすごく助かる。

それに、世界に誇る日本の画家・葛飾北斎も「画狂老人卍」と名乗った時期があるのだ。元号になっても何ら不思議ではないし、JKもそこを意識して答えたに違いない

こんな「すでに出そろった」状態で明日新元号が発表されるわけだが、もはや何が出て来ても「普通」という言葉しか出てこないだろう。この続きは、明日、新元号が発表された後に書きたいと思う。

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現在、4月1日の12時30分だ。このように、今起こったことをすぐ書けるのが無職の強み「無職力(ムショクリキ)」だ。

既報の通り、新元号は「令和」に決定した。

率直な感想を言うと「思ったより良いじゃないか?」である。これは件のJKアンケートの1位で、「安久」なる、聞いた瞬間忘れる元号を見てしまったせいもある。これに比べれば「カッコいい」とさえ思える。

「何故、渋谷のJKがこんなつまらない答えを」と訝しんだが、その意味が分かった。「ハードルを下げて、何が出て来ても盛り上がれるようにする」という前フリだったのだ。さすが渋谷のJK、場をグルーヴさせたら右に出る者はいない。

そんなワケで新元号は「令和」となった。世界に誇るキラキラネーム大国日本なので、「令」と書いてまず「クール」と読ませる可能性も考えたが、そのまんま「れいわ」である。出典は「万葉集」からで、「人々が美しく心を寄せ合う中で文化が生まれ育つ」という意味が込められているそうだ。

今日は新年度でありエイプリルフールでもあるのだが、現在ツイッター含むネットは新元号のことで持ち切りである。何だかんだで、みな楽しみにしていた感があり、見る限りは新元号への反応も悪くないように思える。

これからシステム改修、印刷物の刷新など、死ぬほど面倒なことになるのはわかり切っているが、それでも発表された瞬間は、みな新時代の幕開けに爽やかな気分になっているという感じだ。

ちなみに私は無職なので、そういう事務的な面倒臭さにあまり関わらなくて済むため、会社員の3億倍爽やかな気持ちだ。

新元号になる前に、無職になってよかった。そんな気持ちでいっぱいである。