ここ数日、X上で「うちのレクサス」と言って猫画像を投稿するのが流行している。
このブームのおかげで、本来ならおすすめ欄1スクロール中に3枚は玉木議員の不倫相手画像を見なければいけないところを1枚に押さえられたと言える。
改めて猫はこの腐敗したXに落とされたゴッズチャイルドであると確信した。
「レクサス給油」や「レクサス車庫入れ」と言って、おキャット様がお食事されたり閉所にフィットされる様で埋め尽くされたXはかつてないほど平和だが、このブームの発端は全く穏やかではない。
ことのはじまりは「これ闇バイトじゃないか?」としてXに投稿された「すきまバイト」の求人である。
昭和だったら「猫=ベンツ」だと思うとレクサスすごい
その求人とは「真夜中に猫を探す仕事」だ。
私は「猫」という字を見ただけで偏差値が300下がるタイプなので、そういうのもあるんじゃないかと思ったが、X名物「謎の識者」により、猫は「レクサス」の隠語である、と早々に指摘されたのだ。
その結果、偏差値が300下がった者たちにより「猫=レクサス=うちの猫」という次回フィールズ賞間違いなしな方程式があみ出され、レクサス所持者のレクサス自慢がはじまったといういきさつだ。
大量のレクサス写真に、網膜と脳が焼き切れて、求人のことなどどうでもよくなりつつあったが、仮に猫が車の方のレクサスだった場合、「真夜中にレクサス(車)を探す仕事」とは何なのか。
おそらく、草むらや石の裏に潜んでいるレクサス(車)を捕獲し、里親を探したり去勢手術を受けさせる仕事ではないだろう。
そもそもそんな野良車自体そんなにいないし、特にレクサスはいない。
私は車には疎く、自分の車を買う際にも「この店で一番安い車を持ってこい」と、逆富豪ムーブをしてディーラーに軽んじられている。
しかし「レクサス」に関しては、かつて勤めていた会社が民事再生を起こし、合法とは言えかなりの割合で債務を踏み倒したにも関わらず、社長が自分の社用車として「レクサス」を購入しようとし弁護士に「債権者感情を考えろ」と止められて止めた顛末を見ていたため、「見ただけで人心をザワつかせる高級車」だという認識があった。
つまり、真夜中にレクサスを探す仕事とは、レクサスを所有する程度の金持ち宅の調査、簡単に言えば「泥棒の下見」なのではないかということだ。
レクサス所有=金持ちというのはメガネをかけている=秀才ぐらい雑な解釈のように思えるが、もちろんレクサスだけで判断するわけではなく、他の金持ち項目もチェックするのだろう。
木造アパートの離れ駐車場に停められた「レクサスに全集中二キ」宅は金持ちとは判断されないだろうが、おそらくレクサス単体でも盗難対象だと思うので油断はできない。
ちなみに監視カメラがある家は「鳥を飼っている」と報告されるらしいが、番犬はそのまま「犬」らしい。確かに「人懐っこい芝刈り機が2台いる」など、犬は隠語にした方が怪しくなってしまう。
パピルスにも書いておきたい「自分は大丈夫」という落とし穴
SNSなどでカジュアルに闇バイト求人がされていることが問題になっているが、いくらカジュアルといっても「老人を殴って金品を強奪するだけの簡単なお仕事です。※金属バット支給、その他武器は持参ください」などと、そのままが書かれているわけではなく、一見闇バイトとはわからないように募集されており、現地で闇バイトと発覚して引くに引けなくなったり、闇バイトとは気づかずに片棒を担いでしまうというケースも少なくないだろう。
当初「闇バイトに加担してしまう若者は信じられないほどの情弱で驚くべきバカ」という見解がなされていたが、そもそも、犯罪に対し「バカと情弱しか引っかからない」というイメージを抱かさせるのは危険である。
そう聞くと多くの人間が「自分以外がひっかかるもの」と思い込んでしまうからだ。むしろ自分のバカに気づいているバカはバカ界の天才と言っていい。
詐欺が巧妙化するように、闇バイト募集も巧妙化しているという。自分は大丈夫という意識でいると引っかかることになる。
実際私が何の知識も危機感もない状態で「猫を探す仕事」を見かけたら、むしろ「これなら自分にもできるかもしれない」と思って応募していた可能性がある。
だが、それ以前にSNSなんかでバイトを探さなければいいのにと思うのだが、若者にとってSNSでのバイト探しはもはや常識らしい。
そんなにSNSでバイトを探すのがいいことなのか、と思うが、おそらく通信機器を一切持たない老人も、私のように一瞬たりともスマホを手放さない中年を見て「あの板はそんなにいいのか?」と思っているのだろう。
しかし、ここまで闇バイトが横行しているのを見ると、やはりバイトは然るべき会社を通った求人サイトなどで探すべきではないかと思うが、猫探しが掲載されていたのはそういった然るべき会社の有名すきまバイト探しアプリだったという。
つまり有名求人会社が闇バイトであると気づかずに掲載してしまうと、見る側は「ここに掲載されているなら安全だろう」と何の疑いもなく応募してしまう危険性がある。こっちの方がよほど危険だ。求人サイト側は今後チェック体制を強化していく必要がある。
ところで今回、「猫=レクサス」であることが知れ渡ったことにより、隠語として猫を使っている闇バイトに気づく人間が増えたのはよいことだが、一方で、犯罪者が隠語に猫を使用したせいで、本物の猫に関する求人も怪しく見えてしまうというもらい事故も発生している恐れがある。 今後は猫関係の求人は「猫(猫)カフェ従業員募集」という謎の念押し、もしくは「飼い主から預かったレクサスのシッター業務」など、逆にレクサスを猫の隠語として使用しなければいけなくなるかもしれない。
やはり、人間は愚かなのである。