先日Xで「子供が万単位で家の金を持ち出しポケモソカードを大量購入していた」という親のつぶやきが話題になっていた。
私もハンチョウに「もう少しこう…何と言うか手心というか」と言われるほど、子どものころから欲望の制御の仕方がヘタッピであり、小遣いはあるだけ使っていたし、なくなれば親の財布を虎視眈々と狙っていたタイプなので、この子供の気持ちはよくわかる。
しかし、確実にバレるしバレたら大変なことになるという、倫理というよりは保身でここまで大胆な犯行に及んだことはない。
そんな保身も想像力もなく行動に移せてしまうというのは、親にとっては金銭的損失以上の脅威であろう。
しかし、Xは基本的に子持ちに対し氷のように冷たいのである。
子供が昨日は母さんおかして今日は父さんを掘るというデトロイトメタルシティをキメたとしても、X民は「親の教育が悪い」という結論に持って行くし、子育てに関する愚痴は最終的に「好きで作ったくせに文句を言うな」で封殺しがちである。
この親の教育が間違っているかどうかはわからないが、その出来事をXに投稿したのは確実に間違いだろう。
圧倒的な圧制で将来は立派なスパルタクスさんに
親にとって、子どもが家の金をパクってポケモソカード大量購入は衝撃的だろうが、子供にとっても、親が自分のやらかしを写真付きで一部始終ネットに晒してX民如きに3日で消費される話のネタにしているのは衝撃的すぎる。
判断力のない子供が親の知らない間に何かやっていた、というのは昔からよくある悩みだが、現在は親がまだ判断力のない子供のプライバシーや顔さえ勝手にネットに晒しているという問題がある。
そして、このポケモソカード購入事件も詳細が明らかになるにつれ、やはり「親が悪い」という意見が噴出しはじめたようだ。
親の何が悪かったかというと、この親は子供に対して、お小遣いなしなど、日頃から自由に扱えるお金を全く与えていなかったそうだ。
このような状態では、いつか爆発してこのような凶行に及ぶのは当然、ということである。
このような「親の過度な押さえつけが子供に良くない影響を与えている」というのは良く聞く話である。
例としては、子供のころゲームを禁止されたせいで大人になってからゲーム廃人になった、市販のお菓子を一切与えられず、母の手作りオーガニックスイーツしか食べさせてもらえなかったため、大人になってからデスクの引き出しを丸一段お菓子入れにし、そこにお菓子がないと挙動不審になる不気味な中年になった、などがある。
親の教育が子供の内面に影響を及ぼすのは確かだが、影響がどのような結果をもたらすかは未知数であり、正直結果論になりがちだ。
放任することで子供が大成すれば「子供は自由に育てるのが一番」となるだろうが、逆であれば「親の甘やかしとネグレクトのせい」となり、ワクチン接種歴があればワクチンのせいになるだろう。
私自身も、好きにゲームや小遣いを与えられたわけではないが極端に制限されて育ったわけではない、しかし現在1日平均15時間スマホを触り、極端にひきこもった生活をしているので、抑圧が必ずしも爆発の原因になるわけでもない。
人格というのは生まれつきの資質や親以外からの影響も関係しているので、原因を一つに絞るのは不可能である。
しかし、子供時代に与えられる小遣いや、アイテムにより、人格だけではなく「人間関係」に大きな影響を及ぼし、子供に強いストレスを与えてしまうという意見もある。
現在その際たるものが「ニンテンドー Switch」だと言われている。
令和の中島は「おーい磯野! スプラしようぜ!」と言う
確かに私の親戚の子供もSwitchは軒並み持っている、それも一家に一台ではなく、子供一人につき1 Switchという家も珍しくない。
おそらく令和の中島はカツオを野球になど誘わず、スマブラやスプラトゥーンに誘ってくるのだろう。そこで磯野家が子供にゲームを一切与えない方針だと詰みである。
ポケモソカードを買った子供も、おそらく周囲がみんなポケモソカードを持っており、ポケモソカードが欲しかったというより、輪に入りたくて窃盗までおかした可能性はある。
大人とて、物欲ではなく、見栄や周りについていくために不相応な金の使い方をしてしまうことはある。問題は抑圧ではなく、子供の「立場」を無視することなのかもしれない。
また、現在の親世代にはギリギリゲームが当たり前でなかった世代が混じっているので、ゲームへの偏見や、子供同士のコミュニケーションにいかにゲームが大切かを理解していないため、このような事態が起こるのではないかという分析もある。
確かにファミコンキッズだった親が、子供にゲーム機を全く与えないということはあまりないだろう。むしろ子供にねだられなくても、自分用に買っていそうな気がする。
しかし、人並みにゲームを与えれば、子供に人並みに友人ができるとも限らない。
実際私はゲームを買ってもらったら、ゲームに専念するために友人との付き合いを断つタイプだったので、十分にゲームが与えられたらますます孤立していたと思う。
ちなみに、十分に与えられていない時は、ゲームを持っている友人の家にやたら行きたがってウザがられ、「ゲームがしたいだけだろ」と叱責されたことすらある。
現在も本来なら通信機器であるスマホにかじりついて孤立しているのだ。孤立する奴は何を与えても孤立する。その原因をニンテンドー Switchや、それを与えなかった親だけのせいにするのは酷というものである。