昨日見たテレビ番組によると、日本人の多くが「あとで連絡する」等の「あとで」を「当日中」と理解するが、栃木の人は「数日から一週間後」だと思うらしい。
そんなことでは栃木の人が他の地方で就職した際、取引先の社長に「あとで伺います!」と言って一週間後に再登場するなど、致命的なミスが起こってしまうのではないか。
しかし、漫画家も「あとで原稿を出せ」と言われたら永遠に出さないし、「すぐに」と言われても出さない場合がある。
我々にとって日付を指定されない締切はもはや「無」であり、「やらなくていい」を意味してしまうのだ。
ちなみに「2月末まで」と指定しても、原稿が届くのは2月32日ぐらいと思っておいた方が良い。
よって、編集者は本物のデッドラインより早い日付を締切として作家に伝えるのが慣例となっているが、たまに初手で死線を伝えてくる、死でしか生を感じられない荒くれ編集者がいるので油断がならない。
マルハラで「。」が怖い、こちらは「!」が怖い
このように、同じ言葉でも、地域や職業、そして年代で解釈や受け取り方が異なるため、そのギャップでコミュニケーションの齟齬が起こる場合がある。
こちらが橋本環奈的な意味で「顔面が強いですね」と言っても、相手はゴリラを想像して失礼と感じ、さらにそれがゴリラに対して無礼という負の連鎖を起こしているかもしれないのだ。
最近、若者と老の間で解釈がまるで違うと話題になったのが「。」である。
最近の若者は文章を「。」で終えられると「怒っている」と感じてしまうらしく、「。」を使うのは「マルハラ」呼ばれるハラスメント扱いにさえなっているそうだ。
私自身が老なため、若が「。」のどこに怒りを感じているかがわからないが、モスキート音のように「。」からは若者にしか見えない怒気が出ているのだろう。
確かに編集から「今日中にお願いできますでしょうか。。。」みたいな文章が送られてくると「三点リーダーの存在を知らずにここまで編集としてや生き延びた奴」として畏怖を感じることはあるが、私自身はビビらせてやろうと思って「。」を使ったことはない。
また「!」も、年代というか、人によって解釈が違うらしく「。」同様、怒っていると感じる人がいるらしい。
私も「!」は多用するが、「今日がお前の命日だクソども」という意図で「よろしくお願いします!」などと書いていたわけではない。
どちらかというと「はいはいはい!おまっとさんでした!」という、威勢の良さや明るさを表現し、相手に「敵意なし」であることを伝えるつもりでつかってきた。
つまり「真逆の意味」であり、こちらはフレンドリーに接しているつもりだったが、相手にとっては「いつもキレ散らかしている人」だったかもしれないのである。
ただ「。」や「!」の解釈違いは、怒っているかどうかの感情の違いだけで、それで文章の意味が変わるわけではない。
「明日午前二時東尋坊に集合お願いします!」とメッセージが届いた場合、キレているか否かで「そこで何をされるか」の違いはでてくるかもしれないが、「午前二時」の部分に誤解は生じない。
「強」「弱」「未満」「以上」「常陸」がわからない
しかし、最近、老と若で解釈が異なり、そのせいで予定が狂いかねない表現がある。
それが「強」と「弱」だ。
「1時間弱で着きます」と言われた場合、私であれば「50分ぐらいで着く」と解釈するし、「1時間強」と言われれば「1時間10分ぐらい」と想像する。たぶん辞書にもそんな感じで書いてある。
しかし、最近の若は、1時間強も弱も「1時間以上」と解釈するらしい。
何故そんな解釈になるのか、老には一瞬理解できないが、もし「地震の震度」で言われると、確かに私も「震度5弱」と聞いて「4.8ぐらいか」と思ったことはなく、5.2程度を想定するし、強なら5.8ぐらいを想像していた。
その理屈で言えば「1時間弱」は「1時間10分」ぐらいの解釈になり、強は「1時間50分」程度になるのも間違いではないような気がする。
それに「四天王最弱」に関しても「じゃあこいつは3.8天王ぐらいだったのか」と思ったことはなく、最弱でも四天王のボーダーは超えており、少なくとも4.1天王、その上に4.5天王や、最強の4.9天王がいるという解釈であった。
こうなってくると解釈は人による上に非常にあいまいであり、同じ理解だったとしても「1時間強」を1時間1分と思っている人と1時間29分と思っている人とでは現実問題として話が違ってくる。
認識の違いによるトラブルを起こさないためにも、今後は強や弱という言い方はせず、「50分ぐらいで着く」もしくは「今起きました」など、はっきりとした言い方をした方がいいだろう。
ただし「今起きました。」と書くと「自分が寝坊したくせに何故かキレている人」と思われてしまうかもしれないし、句読点を打つ余裕があることにムカつかれてしまうかもしれない。
だからと言って「今起きましたすぐ向かいます!」と言っても、やはりキレている人になってしまう。
こうやって言外にある意図を読み取ろうとしすぎて疲れてしまったのか、文章だとすぐにスクショを撮られて晒されてしまうからなのか、「最近の若者はすぐLINEなど使わずすぐ電話する」という説も聞いたことがある。
だがその一方で、「若者の8割が『電話苦手』と回答している」という話も聞いたような気がする。
もはやどれが本当なのかわからないが、何せ私の若者に関するソースは、おそらく中年以上が書いたと思われる「最近の若者はこうや」というネット記事しかないので、永遠に若者のリアルはわかりそうにない。