ニューヨークタイムズが「2024年に行くべき場所TOP25」の3位に「山口市」を選んだそうだ。

今まさにそこに住んでいる人間として驚愕したが、他の山口市民も軒並み驚いている。

もしかしたらこの記者は山口以外のすべての場所でスリと体当たりおじさんに遭遇したため消去法でここを選んだのでないだろうか、確かに山口は人口密度がないので人ごみに紛れた悪事は起こりにくい。

2023年はビッグモーターの産地として一目置かれた山口だが、今年は新年早々良い意味で注目を集めたと言える。

ちなみにビッグモーターが地元名産だと喧伝している輩は自分以外見たことがない。

こんなことばかり言うから地元から仕事がきたことが一度もないし、書店でも全く推してもらえないのだが、いざとなったら「納税者だぞ!」という伝家の宝刀を抜いて県庁で暴れようと思う。

山口はこんな人間を許容しているかはあやしいが、少なくとも黙殺はしてくれる暖かい街であり、観光名所がないわけではないのだが、世界で訪れるべき場所3位と言われたら「マジで言ってんのか」という気持ちも正直ぬぐえない。

急いで山口に来てね! 早くしないと混んじゃうから

しかし、選評を読んでみると、エアプや逆張りではなく、むしろ明確過ぎる判断基準で山口が堂々3位に選ばれたことがわかる。

「山口市は西の京都とも呼ばれ、過度な観光客に悩まされることが少ないコンパクトな都市」

「観光公害に悩まされることがかなり少ない瀬戸内海と日本海の間にある狭い谷間に位置する人口19万人のコンパクトな都市」

これがニューヨークタイムズによる山口レビューだが、とにかく観光公害がないこととコンパクトであることが強調されている。つまり「日本らしい観光名所がありながら観光客マジいねえ」ということである。

  • もしも、世界3位の山口市にダイナミックプライシングがやってきたら

    山口って長州藩ですからね。面白きこともなき世をおもしろく的に、やっぱ観光でも自分がどう楽しむかなんじゃないかと

「西の京」というのは、他所につけられた不名誉あだ名ではなく、自ら名乗っているキャッチフレーズだ。

つまり県自らジェネリック京都である自覚があり、確かに京都っぽい風が吹いているが、当然京都ほどの名所はない。

ならば、西のではなくダイレクトに西の京の東にある京都を目指した方が良くないかと思うが、京都は観光地としてあまりにも有名すぎであり、日本に行くならまず京都という外国人も多いはずだ。

その結果、どこへ行っても混雑と喧騒でゆっくり観光するどころではなく、周囲も自分と同じ外国人観光客だらけで、もはや京都は日本の詫び寂びを感じづらい場所になってきているのかもしれない。

その点、山口は今も詫びてるし寂び続けている。

他人の後頭部越しに清水寺や金閣寺を見るぐらいなら、ニューヨークタイムズでも褒められている瑠璃光寺を何の障害物もない状態でゆっくり見る方が日本観光らしいと言えなくもない。

京都だけではなく、コロナ明けの外国人観光客急増で、混雑や騒音、ゴミ問題や住民とのトラブルなど「オーバーツーリズム」に悩まされている観光地が増えているようだが、山口市は今のところ全然悩んでいない。

もし山口市内で殴り合いが起きていてもそれは住民と観光客同士のトラブルではなく、住民同士が殴り合っているだけなので安心してほしい。

このように「まだ観光公害が発生していない観光地」という基準で選んだのなら、山口市3位もそこまで不自然ではない。

この記事をきっかけに人が押し寄せる可能性もゼロではないので、来るなら今である。

ただ、京都のように観光客向けに最適化された場所ではないため「そうは言っても一人ぐらい英語わかる奴が出て来るやろ」みたいな気持ちでいると「日の本の言葉がつかえねえならしねよ」というドリフターズのお豊の方が出て来る可能性が高い土地なので、初めての日本としては島津並に上級者向けな場所と思ってほしい。

山口のコーラは世界で3番目に高価になる、これがダイナミックプライシング

またニューヨークタイムズでは、カフェなどの飲食店も褒められている。

確かに山口市で観光客のみをターゲットにした飲食店など開いたら餓死するので、雰囲気だけで美味くもなく、値段だけが観光地価格、みたいな店に遭遇することはあまりない。ただ普通の値段の不味い店はある。

しかし、観光地の飲食店が高いのは致し方ない部分もある。

オーバーツーリズムの弊害には「地価の高騰」もあるため、土地代のために原価を下げて売値を上げるような店も出てきてしまうのだ。

このように同じものでも条件によって価格が変動することを「ダイナミックプライシング」というそうだ。

基本的に観光地や都会など需要が高い場所ほど物の値段は高く、マクドナルドも都会の方が高価格に変わる。

そして、日本のいたるところに自販機を置いているコカコーラが2024年を目標にダイナミックプランシング自販機を導入すると発表したそうだ。

どのようなシステムかは発表されていないが、単純に場所によって値段が違う自販機ならすでに多くのビジネスホテルなどで採用されているので、おそらく時間帯により価格が変わる自販機であり、買う人間が多い時間帯は高くなり少ない時は安くなるという仕組みなのではないか、と言われている。

物価に関しては都会の方が高く田舎の方が安いというイメージがあるかもしれないが、それほどでもないし、例えキャベツが30円安くても、そのキャベツを買いに行くために最低数十万の車購入が必須なのが田舎なので、決してコスパ目的で田舎に移住してはいけない。