今年も恒例の「流行語」がいつものユーキャンから発表された。
流行語と言えば、むしろ流行語発表で初めて聞いた、それ本当に流行ったか部門ノミネート作品が1つ2つは混じっているものだ。
しかし、流行語にいちいち「聞いたことねえ」と言う人間こそ、自分のXのTLこそが世界の全てと思っている井の中の蛙、などといったらもはや蛙と井戸に失礼、肥溜めに浮いている陰毛なのである。
例え100万人が使った言葉だとしても、100人に1人しか使ってないということだ、今年接した人間の数が100どころか10を切る勢いの奴がそうそう使っている現場に出くわすものではない。
世間もすなる流行語といふものを、観測してみむとそするなり
そんな陰毛の1本として、今年の流行語を観測してみた。
まず大賞は「アレ(A.R.E)」である。
さすが大賞だけあり、これは陰毛でも聞いたことがある、X上でも良く見かけた。
しかし、世間と野球に疎いチリ毛も阪神がアレしそうでアレしたらしく、アレが優勝という意味であることまでは理解しているが、何故アレなのか由来までは知らない。
それに何故突然「A.R.E」が出て来たのか、そんなものは私のTLでは見たことがない、アルファベット表記まではわかるが、そのドットはどこからやってきた。
そう思ったが、どうやら阪神の2023年のスローガンが「A.R.E」だったようである。
「Aim」「Respect」「Empowerment」の頭文字で構成されているが、当然「アレ」こと優勝を意識したスローガンである。
そもそも何故アレかというと、アレの産みの親である阪神岡田監督がオリックス監督時代、選手がプレッシャーを感じさせないよう、優勝とは言わず「アレ」と言い出したのがはじまりだそうだ。
私はそのような起源は全く知らなかったので、Xでしきりに「アレ」と言われているのを見て、阪神にとって「優勝」とは名前を口にしてはならないあの方ポジであり、声に出したら優勝を逃すのはもちろん、末代まで祟られるものだと思っていたが、願掛けという意味では当たらずとも遠からずだったようだ。
他TOP10も「新しい学校のリーダーズ」「蛙化現象」など、意味はさておき聞いたことがあるワードが並んでいる。
「OSO18」に関しては、新しいウィルス、または経口飲料水を想像したが、北海道で度々獣害を起こしていた雄ヒグマのコードネームであった。
北海道や東北では今年熊被害が相次ぎ、今も警戒が続いている。
熊とは比べられないが、今年は私の村でも猿が住民を襲撃し、66人が負傷するという大惨事が起き、このまま猿の統治下におかれてしまうのか、と思われた時、インドネシアからの技能実習生たちが素手で猿を捕獲、という激アツ展開があったことも記しておきたい。
猿でも住民は怯えて暮らしていたので、安易に「獣害を殺すな」とは口が裂けても言えないのである。
TOP10の中で陰毛が全くの初耳だったのは「ペッパーミル・パフォーマンス」だ。
調べて見ると、WBCで日本代表のヌートバー選手が試合中に見せた、コショウを引く動作のことらしい。
突然試合に飽きて味変したくなったというわけではなく、「ペッパーミル」は「小さなことからコツコツと継続していれば成功する」というスラングらしい。
私は野球や継続、何より成功に縁がないので知らなかったが、知っている人にとっては流行語に相応しい言葉なのだろう。
そして同じく初めて聞いたのが「観る将」である。
初見ではあるが、拙者や小生と並んで、リアルで言ってはならない一人称「ワイ将」と語呂が似ているので初めて会った気がしない。
「観る将」とは、将棋を観戦する人のことである。
そのまんまの意味であり、何故これが今になって流行語になったのか、急に「藤井の8冠に観る将の桂馬も昇天」みたいなスレッドが立ちまくったのかというと、そもそも将棋という趣味は「指すこと」が主流であり、観ることを専門に楽しむ人が増えたのはここ最近のことらしい。
ネット配信で将棋の対局が広く観られるようになり、さらに藤井聡太という化物が現れたことにより、将棋観戦を趣味とする人が激増し「観る将」という言葉も生まれたそうだ。
観る将、やる将、いいじゃない。趣味は僕らの潤いだ
今年1年はもちろん、全てにおいて傍観者である陰毛にとって「観る専は珍しい」という感覚自体が新しいのだが、スポーツ界などでも観る専はそんなに珍しくないはずだ。プロレスファンが全員プロレス経験者ということはないだろう。
逆に言えば野球経験もないのに居酒屋で「俺だったらあそこで三刀流にするね」とゾロみたいなことを言いだす観る専がいるように、将棋界にも指さないのに対局にケチをつける人間が現れだすということであり、さっそく「観る将 気持ち悪い」などのサジェストが挙がってきているが、それだけ将棋がメジャーになったということでもある。
全てにおいて「観る」というのは気軽な趣味である。
しかし、観るだけだと黒沢のように「他人の祭じゃないか…!感動などない!」と、唐突に気づいてしまうこともあるので、ひとつぐらい「やる将」になれる趣味を持っておいた方がよいのかもしれない。