私は一日62時間Twitterをやっているが、内48時間はバックでYouTubeを流している。
YouTubeで何を見ていたかというと、少し前まで「不倫」「嫁姑」「ママ友ぶっちぎりバトル」など、他の動物ならまずやらない人間特有の愚行をいらすとやさんとゆっくりボイスを駆使して紙芝居化した現代のおとぎ話をずっと流していたのだが、リアルに体調を崩してきたので、断腸の思いでやめることにした。
ちなみに「おとぎ話」というのは冗談ではなく、これらの動画の根底にあるのは徹底した「勧善懲悪」つまり「正義の心」であり、必ずシタ夫やシタ妻、間男やプリン、クソトメやエネ夫、泥ママが成敗される内容になっている。
おっとっと拙者「エネ夫」などとつい専門用語が、という流れだがこれらの用語の意味を調べる必要は全くない。むしろ調べないことをお勧めする、うっかり「エネ夫まとめ」などに遭遇すると人生を半日ぐらいドブに捨てることになる。
つまり「悪いことをした奴が罰せられて気分爽快」という、昨今のリベンジ系異世界転生ブームも通じるスカっと系動画なのだが、最近では人々の罰したい欲が高まりすぎたのか「不倫中に事故に遭い、不倫相手は昇天、配偶者は重い障害を負う」など、シタ側の末路がドストレートに「死」になってしまっていることもある。
また「我が家から呪いのアイテムを盗んだ泥ママが一家全滅」など「不思議な力を使ってでも必ず殺す」という殺意の波動に目覚めた話も増えており、さすがにここまでくると作り話感が強すぎるため、萎えて見るのをやめた、というのもある。
しかし、詳しい人によると、この手の話のオチが「死」なのは今にはじまったことではなく、昔から割と死んでいたらしい。
つまり、不倫などをした者に対し世間が望むものは「死」という大変厳しいものなので、全く無関係な人間に軽率な死を望まれたくなければ不倫などするべきではない。
ゲーム実況ジャンルに初の逮捕者、ただし「ファスト映画」的犯行だった模様
悪人と言えど、人間が追い詰められ死を迎える様を楽しむというのは、鉄骨渡りを見に来ている謎の金持ちだけが楽しめる娯楽であり、庶民がやると徐々に精神が蝕まれる。
よって最近は精神に負担が少ない「ゲーム実況動画」を流すことが多くなってきている。
それよりおキャット様動画などを見ればよい気もするが、私はYouTubeをBGMとして流していることが多く、画面をあまり見ないため、寡黙なおキャット様動画だと実質「無」を流しているのと変わらなくなってしまう。
ゲーム実況でも、アクションゲームを選ぶと時折実況者の「あっジャンっ…クソが!」という悪態や断末魔を聞くだけになってしまい、何が起こっているのか全くわからないのだが、ノベルゲームやアドベンチャーゲームなどテキストが多く、さらに実況者がそれを逐一読み上げてくれる動画であれば、画面を見ずとも大体何が起こっているかを把握することができる。
私個人は非常に重宝させてもらっている一方で、実況動画でゲームのストーリーなどが全部わかってしまったら買ってプレイする人が減ってしまい、ゲーム会社は困るのではないかという心配もあった。
それに対しては「全員が貴様のように実況だけ見て全てをわかったように語りだすエアプ野郎なわけではなく、むしろ実況を見たのがきっかけで買う人間も多いため、企業にとっても実況動画は無視できないPRになっており、そもそも実況が損失にしかなっていないならもっと厳しく規制するはずだ」と言われており、確かにその通りだと思った。
よって現在ゲームメーカーはゲーム実況動画に対し「容認」の構えをとっているところが多い。
しかし先日ゲーム実況動画を巡り、初の「逮捕者」が出てしまったようだ。
実際は「実況」と言えるものではなく、少し前に問題になり逮捕者も出た「ファスト映画」と同様に、あらすじと結末までのネタバレを一時間程度にまとめたものをアップしていたそうである。
ちなみに容疑者は自称ユーチューバーの52歳男性で「SPY×FAMILY」のアニメを無断で編集したものも投稿していたようだ。
事件概要からして、小金と承認欲求目的のキッズ犯行と思い込んでいたが「思ったよりイっていた」ことに衝撃を覚える。
もしかして反社の新しいシノギなのではないかとも思ったが、同氏の登録者数は1万人程度であり、組織的犯行にしては規模が小さい。
逮捕に至った経緯は「警察のサイバーパトロールにより発見」とあるので、今後「ファストゲーム動画」による被害が増えるとみて、今のうちに「こういうことをするとお縄になる」という前例を作っておきたかったのかもしれない。
我が国は「デジタル庁」が機械に弱い萌えキャラみたいな事案を度々起こしているため「国はネットのことなどよくわかっていない」というイメージを持ちがちだが、SNSで闇バイトやお野菜販売のツイートをすると、すぐさまポリスが飛んできて警告文をリプライしたりと、現場では普通に詳しい者が動いていたりするので、あまり大胆な真似はしない方が良い。
ゲーム動画で逮捕者が出たことにより、ゲーム実況投稿に尻込みしてしまった人もいるかもしれないが、現在ではガイドラインを設け、セーフとアウトを明確にしているメーカーが多いので、その枠からはみ出さない限りは安全である。
ネットにより、実際に見たりプレイしたりせずとも内容を知ることができる世の中になったが、所詮あらすじだけ知っている奴というのは周囲から「自分で体験してから話に入ってきてくれ」と思われている場合も多く、「タイパ重視」が尊敬を集める存在かというと、そんなこともないのである。