数日前、一日中「スシロー」「被害届提出」などのワードがTwitterのトレンドに上がっていた。

私ほどのプロツイッタラー、そして勘の良い中年になるとこの2ワードだけで「スシローで迷惑行為をしている姿を嬉々としてネットに上げた若者が被害届を出された」ということがわかるし、実際大体その通りだった。

バカッター行為増加の裏には「人間の削減」

店舗で迷惑行為をし、その様子をネットに上げる「バカッター」は、タピオカも引くレベルの高速サイクルで流行っては消え、を繰り返しているが、また最近増加傾向にあるようだ。

ちなみに上げた媒体が何であろうと「バカッター」と呼ばれることが多い。しかし今回騒ぎになった動画もTikTokに上げられたものであり、Twitterが使われた大きなバカッター事件は意外にそれほどなかったりする。

いつもは各方面にアツい風評被害をもたらす側のTwitterだが、バカッターに関しては風評被害を受けている側と言っても良いかもしれない。

何故またバカッターが増えているかというと、「何せバカなので過去にバカッターが法的に訴えられる事件があったということをすでに忘れた」むしろ「知らなかった」という可能性は十分にある。

私も「直近であったバカッター事件は?」と聞かれても、最近のことはすっかり忘れているのに戦前のことだけ鮮明に覚えている老現象により「アイスケース」としか答えられない。

つまり「いくら言っても無駄」という、どんなにメンタルが強い教育者にすら膝をつかせる存在がバカッターなのだ。

しかし近年のバカッター増加は、「バカだから」の一言で片づけられない背景もあるようだ。

すかいらーくのおキャット様ロボの記事でも触れたとおり、最近はどこの店舗も「人間」を減らす方針になってきている。

私の近隣のスーパーもセルフレジが増え、専用の端末を持って買い物しながら会計ができるようにもなった。だがそのシステムを初めて見た時私がまず思ったのが「万引きし放題では?」である。

意外にも私は今までスーパーで万引きしようと思ったことがないのだが、「安全に万引きできそうな状況」を見せられたら「やれるのでは?」と頭によぎってしまったのだ。

そう思ってしまうような状況がある以上、本当にやってみてしまう勇者が一定数現れてしまうものである。

そして受付や給仕をするロボは登場しているが、万引き犯やバカッターに発砲するロボはおそらくまだ存在しない

つまり、店内から人間を減らしてしまったせいで「今ならバレずに悪ふざけできちゃうのでは」と思う人間が増えたことが、最近のバカッター増加の原因といわれている。

しかし、その場ではバレずに「寿司を口に入れ尻から出してレーンに戻す」ことに成功したとしても、それをネットという全世界に発信した時点でほぼ無意味である。

彼らは知らなかったのかもしれないが、店舗に人は少なくてもネットには人がたくさんいるのだ。

そんなわけで今回もバカッターは無事特定され、親が謝罪するも、容赦なく被害届提出。2月10日に報じられたところによると当人に加え、最初に動画を拡散した知人らもまとめて書類送検となったようだ。

“バカッター株価操作”で一儲けという新たな疑惑

  • 注文から会計まで、ほぼ会話せずに食事できる快適さは守られてほしいところです

従来ならここで「バカッターの人生終了ざまあ」となって終わる話なのだが、今回は今までになかった「新説」が登場している。

「スシロー」「被害届提出」にならびTwitterのトレンドに上がっていたワードが「スシロー株」である。

スーパーであれば、どれだけ万引きし放題でも主に被害を受けるのは店側だが、飲食店での悪ふざけは被害が客に及ぶ可能性が高い。

今回被害届を出されたバカッターも、しょうゆの容器や湯呑をなめ回したり、唾をつけた指で他人の寿司をつついたりするなどの行為をしていたそうだ。

この動画を見てスシローに行きたくなる客はかなりの上級者であり、多くの人間が「今スシローに言ったら見ず知らずの人間と間接ディープキッスの恐れがある」と考え、行くのを控えるだろう。

そのせいでスシロー株が下がってしまったことから「株の空売りで儲けるためにわざとテロ行為を仕掛けたのでは」という説が浮上してきている。

バカッターから急に頭がいい話になって鼓膜が破裂しそうだが、いくら株で儲けても刑事訴訟や賠償金のことを考えればわりに合わないような気がする。

しかし、現在話題の「闇バイト」も、危険なことをさせられ、簡単に切り捨てられるのは常に末端の者である。もし株価の操作が目的だったとしても、実際犯行に及んだのは、わずかな金で指示通り醤油さしや寿司を舐めた「舐め子」にすぎず、株で儲けているのはもっと上の人間だろう。

もしSNSで「回転すし屋で寿司を舐めるだけの簡単なお仕事!」という高時給バイトが募集されていても応募しないようにしよう、その先に待っているのは前科と多額の損害賠償である。