近頃、一時期の剛力(たけしりょく)さんのようにゴリ押しされているのがAI、そしてメタバースである。
しかし、3Dプリンターや4Kテレビ、そしてセグウェイという伝説もある。次世代のスタンダードになると見込んで剛力したものが全く定着しなかったというのは良くある話だ。
AIに関してはすでに実用化されており、今後もっと浸透する可能性はある。しかしメタバースは名前をよく聞く割に実態がイマイチ掴めない。
そもそも「メタバースという言葉自体はよく聞く」という認識自体が、ピンチ時のカイジばりに歪んでいる可能性がある。
「ちいかわ」の話すらTwitter外で出していいのかまだ様子見の構えという人も多いのに、メタバースなんて会社の給湯室で話題に出したとしてもキョトンとされるか、隠れ同志に「こいつ昼間から何てこと言いやがる」と思われるだけだ。
ちなみに、メタバースとオメガバースは一切関係ない。
会社名を「Facebook」から「Meta」に変えてしまうほどの企業側の本気に対し、イマイチ盛り上がっていないような気がするメタバースだが、そもそもメタバースはどれだけ言葉で説明されても理解しづらいシステムだ。
私もメタバース関連の記事は再三書かされているが、未だに「リアルどうぶつの森」ぐらいの認識しかできていない。
やはりその凄さをわからせるには、具体的なイメージを見せる必要がある。
そして実際Facebook改めMetaのCEOマーク・ザッカーバーグ氏が投稿した自社メタバースプラットフォーム「Horizon Worlds」で撮った自撮り画像が大きな話題を呼ぶことになった。
だが我々の期待通り、悪い意味での話題だ。
これが時代の最先端のメタバース……本当に?
私はその画像を見た瞬間「初代プレイステーション」と思ったが、識者によると「ニンテンドー64」であり、一方で「ゲームキューブ」だと主張する者もいる。
いずれにしても2022年の技術ではないため、投稿に対する反応は笑いや怒りを超えて「困惑」といったテンションだ。確かにこのザッカーバーグ氏のアバターの目をずっと見ているとワケもなく不安になってくる。
一見低クオリティだが、最新の精神汚染技術が使われている可能性があるので、見る際にはポケモソを見るときの子供ぐらい画面から離れることをお勧めする。
この意外なのか計算通りなのかわからない反応を受け、バーグ氏は「早く皆さまにお見せするためにかなり急いで撮った画像」と説明している。
「俺のスーツ姿を楽しみにしている奴らを待たせては悪いので、とりあえずフルチン画像を置いておく」と言っているようなものだが、Meta側としても早く論より証拠を見せなければという焦りがあったのかもしれない。
だが、このままではメタバースへの期待値が下がってしまうと思ったのか、その後さらに開発が進んだアバターと背景を公開している。確かに最初に投稿されたものよりは格段にリアルになっている。
しかし問題はクオリティの高低ではなく、あくまでアバターをザッカーバーグ氏本人そっくりに作ろうとしている点である。
陰キャだからこそ期待したいメタバース
散々ケチをつけておいてなんだが、私は意外とメタバースには期待している方である、何故ならリアルがパッとしていないからだ。
リアルではシケていても、メタバース内では全く違う自分として無双できるのではと期待しているのである。
おそらく、メタバースに期待しているのはそういったリアルが湿っている勢なのではないだろうか。
その勢力にとっては「こんなにリアルな自分の分身が作れる」というのは全く魅力ではなく、むしろメタバース内でもパッとしない人生を送らなければいけない苦しみ二倍システムにすら感じられる。
おそらくバーグ氏には「違う自分になりたい」という発想がないのだろう。メタバース内ですら俺は俺のままでいようとするぐらいだ、生まれ変わってもまた俺に生まれたいというポケビ派に違いない。
つまりバーグ氏は我々とはわかりあえぬ存在、クオリティが低いことより、どれだけ技術が高くなろうと、俺たちが求めるものは作ってくれなさそうなところに絶望を感じる。
もしバーグ氏がバ美肉になった画像をアップしていたなら、それがどれだけ南極2号でも「技術は追いついてないが、向いている方向は俺たちと同じ」という希望は待てただろう。
だが、先んじてVRチャットなどをやっている人によると、陰キャはVR内でも陰キャなことが多いという。
もしかしたらバーグ氏も変身願望は持っていたのかもしれない。だが、開発途中で「ガワだけ変えても無意味」ということに気づいてしまった故のあの姿だった可能性もある。