Twitterから認証マークを授けられ、公式沢薫となってからしばらく経つが、自分にマークがついているのをみるたびに落ち着かない気持ちになる。束縛キツめの男に自分の名前のタトゥーを彫られた女の気持ちである。

もしかしたら、自ら認証マークを外す方法があるのかもしれない、と思い「認証マーク 消す」とWordのイルカを抹殺したいときのような検索をしたのだが、自分が調べた限りでは見つからなかった。

Twitter的には「それを外すなんてとんでもない」という重要アイテム扱いなのかもしれないが、こちらとしては教会に行かないと外せない呪いの装備扱いである。

唯一の収穫といえば、長州力氏が同じくマークを外したいと訴えている記事を見つけたくらいだ。

力氏は当初「反則マークみたい」というレスラーらしい理由でマークを嫌がっていたのだが、フォロワーに「なりすまし防止のために必要」と説明され、納得はするも「そういうものに縛られるのは嫌」という理由で、外してほしいと訴え続けていたそうだ。

奇しくも力氏と全く同じ心境になっていたことに感動を覚えた、やはりこのマークには「縛り」を感じるのである。

マークごときでこれだけ縛られた気分になるのだから、男の名前タトゥーを彫られた女は相当な束縛を感じているに違いない。

しかし感動すると同時に、さっき力氏のTwitterを確認したところ、まだマークがついていることに絶望した。力氏ほどの人物が外したいと言っているのに外れないものが、俺ごときの抵抗で外れるわけがない。

イーロン・マスクがTwitter買収撤回、法廷バトルへ

だが、この認証マークは、イーロン・マスクがTwitterを買収すると言い出したあたりで突然つけられたものだ。Twitterではなくイーロンに彫られたタトゥーと思えば、なんとなくギリで我慢できた。

そんなイーロンが、Twitterの買収をやはり撤回すると言っているようである。チームで揃いのタトゥーを入れようと提案したやつが、一抜けしようとしているような事態だ。

なぜイーロンがTwitter買収をやめようとしているかというと、一番に考えられる理由は「我に返った」だが、表向きの理由は「Twitterのスパムアカウントが5%未満になっていないから」ということである。

富士山はゴミだらけだから世界遺産に登録できない、みたいな話だが、Twitterに関してはむしろゴミがご本尊みたいなところがあるので「ゴミが多いから買収やめる」というイーロンの主張に正直今更感があることは否めない。

一方のTwitter社の主張は「ゴミのないTwitterの方が無価値だろ」ではなく「スパムはすでに5%未満である」ということらしい。

あらゆる意味で双方の意見が食い違っているため、本件はアメリカらしく訴訟に持ちこまれる予定だという。

おそらくイーロンレベルになると、訴訟も地元の中学と揉めるレベルの感覚なのだろう。Twitter社の訴えに対して「やるならやってやる」という反応らしいが、イーロン自身も買収をしそうでしない、やっぱりしないというムーブについて、米証券取引委員会に何も提出しなかった、とのことで調査を受けたそうだ。

Twitterを高度な言論ツールにしたいと、台風後の東京湾をナイトプールにするかのごとし壮大な目標を語っていたイーロン氏だったが、現状そのTwitterと訴訟沙汰である。

約束を反故にされた仕返しとして、とりあえずTwitterがイーロンのアカウントを凍結したという話もあっただが、凍結されたのははなりすましアカウントだったようで、奇しくも認証マークの必要性を証明してしまった。

まさに泥沼の状態だが、火事と喧嘩が江戸の華なように、このどうしようもない争いこそがまさにTwitterという感じである。

このようなTwitter的争いを大規模にできてしまう、という時点でイーロン氏はTwitterの才能があるので、なんとかTwitterを買収してもらい、買収後の初仕事として「Twitter公式を凍結」してほしい。

Twitterは今の「濁り」がちょうどいい

  • Twitterの清きにツイ廃も住みかねて……

    Twitterの清きにツイ廃も住みかねて……

話は変わるが、我が日本では先日から衝撃的な事件が続き、Twitterにも不安を煽る情報やデマが流れ、それを見てショックを受ける人も少なくなかったようだ。

そこでショッキングな情報から身を守る術として、Twitterのワードミュートや画像や動画の非常時設定などが紹介されていたのだが、ブラウザ版Twitter限定で、トレンドの表示などTwitterのショックを受けがちな機能を全て非表示にする「おだやかTwitter」という機能があると知った。

おだやかなTwitter、それは良いことだが、不思議となんの魅力も感じない。自殺もしないが小説も書かない太宰治を見た気分だ。

やはりゴミがあってのTwitterである。イーロンは早くそこに気づいて、ゴミという資産ごとTwitterを買収していただきたいと思う。