本日我が村で新型コロナウイルスワクチンの集団接種予約受付があったのだが、見事敗れた。
報道のとおり、ワクチンを打ちたくても打てない人が多いのが現状のようだ。しかし、接種が進んでいるのも確かなはずなのに、感染者数は現在急増中らしい。
確かにオリンピックという世界的お祭りを開催しておいて、個人に自粛を求めるというのは、夜の試合終了後にコンドームをつけろと言われたような無意味さを感じる。
意味が感じられないなら「だったら俺はもうノーガードでイかせてもらう」と、酒宴や旅行に行ってしまう人間が増えてしまうのも致し方ない部分があるだろう。
ちなみに、コンドーム後乗せサクサク法は、本当にこれが正しい方法として行われていた時代があるらしい。そう聞くと昔の人間はバカだな、冷静に考えればわかるだろう、と思うかもしれないが、そう言っている人間ほど、頭にアルミホイルやキャベツを乗せていたりする。
未だに我々は間違った情報やデマに振り回され続けていて、むしろネットやSNSが生まれたことによりさらに悪化した感さえある。
「コロナとの戦い」のはずが、人間同士の争いに
特にコロナが現れてからSNSは荒れた。
そう言いたいところだが、10年以上にわたり1日68時間ツイッターを見つめ続けた私に言わせれば「落ち着け、ツイッター川の水はコロナ前から汚い日とすごく汚い日しかなかったぞ」である。
それが「すごく汚い日しかなくなった」というマイナーチェンジにしかすぎないのだが、見慣れていない人にとってはこの世の終わりであり、情緒不安定になるには十分だったのかもしれない。
実際コロナとの戦いはデマとの戦いでもあり、様々なデマが生まれ、本気で信じる勢と情弱乙勢の戦争が始まり、「俺と戦っていたのではなかったのか?」とコロナが戸惑ってしまうシーンが何度もあった。
何故コロナ禍において多数のデマが生まれたかというと、まず外出自粛により年代問わず人々がネットに向かう時間が増えたからと言われている(※2020年5月、NRI調査より)。
つまりネットの人口が急増してしまったのだ。
都会の犯罪件数が多いのも、都会に犯罪者と犯罪予備軍が集まりやすいからではなく、人口が多いためその中に含まれる犯罪者と予備軍の数も増えてしまうのだ。
また人が多い場所ほど揉め事が起こりやすい。都会では「肩がぶつかった」という理由で傷害事件が起きたりするらしいが、我が村ではよほど狙いを定めて「ぶつける気」でいかないと、他人と肩がぶつかることなどないし、目測を誤るとそのまま田んぼに頭から突っ込んでしまう。
リアルなコミュニティであれば、過疎地でも都会がドン引くレベルの事件が起きたりもするが、ネットの場合、基本的に人の少ないところでは諍いが起きづらい。
オタク界隈でも過疎ジャンルの場合、議長と書記だけでメンバーが尽きてしまい学級会を開くことすら困難なのだ。揉め事を起こしてさらに人口を減らしたら、ただでさえ少ない供給が減り餓死、という自殺行為にしかならないので仲良くやっていくしかないのである。
つまり、ネットも人口が増えたことにより、様々な意見情報が飛び交い衝突し、さらに意図的にデマを流してやろうという愉快犯の数も増えてしまったということである。
さらに、コロナの影響でネットを見る人の心が「不安」な状態であったことも影響しているという。
人はネットで情報を得ようとする時、無意識の内に「自分と同意見の情報」を探そうとしてしまうらしい(編集注:いわゆる「エコーチェンバー現象」です)。
つまり不安な状態でネットを見ると、自分の不安が正しいと確信させてくれる情報や、さらに不安を煽るような情報の方に目が行ってしまうということである。
また、不安な時は疑心暗鬼になって何かにだまされている気がしてしまい、ネットで黒幕を探した結果、陰謀論にハマるというケースも多いようだ。
それに加え、他人との濃厚接触が禁じられたせいで「周囲に諭す人がいなかった」というのも原因の一つと思われる。
もちろん諭されても聞かない奴は聞かないが、リアルで友人や家族に「それは考えすぎだ」と諭されるのと、ネットで見ず知らずの人に「デマだしww」「はい論破」と煽られるのとでは、ムキになり方がまるで違う。
5Gに繋がるならむしろ便利だけどね
現在もコロナによる不安は払しょくされていないため、新しい未確認情報や陰謀論、デマは生まれ続けており、現在ホットなのはもちろんワクチン関係のデマである。
ワクチンを打つと「不妊になる」、「胎児に影響がある」、ドストレートに「死ぬ」、「5Gに繋がる」などの情報が飛び交っている。
どれも根拠があるわけではないが、ワクチンを打った帰りにトラックに轢かれる可能性もあるため「ワクチンが原因では死なない」とも言い切れないし、5Gですら本気で信じている人もいるらしい。ただ5G論者は逆にポジティブだと思うので考えを改める必要は特にない気もする。
ちなみに、妊娠や出産に関するデマはコロナに関わらず多いらしい。妊娠出産は特に不安が起こりやすく、少しでも不安なことはしたくない、さらに「藁にもすがりたい」という心理になりがちな分野なため、そこに付け込む人間も多いということなのだろう。
基本的に不安な時は「判断力」が落ちているため、そういう時に情報を集めると、いつもは引っかからないようなデマですら信じてしまうことがある。不安な時はすぐ情報を集めず、少し落ち着いてからするほうが良い。
そして何より、ツイッターは「大量にもらったきゅうりをどうしたらいい?」程度のことを解決するにはちょうど良い場所だが、決して命に関わる情報を集める場所ではない。