「前澤社長、月へ行く」

これは「完全にストーリーを消化し終わっているのに惰性で続いている少年漫画の次回予告」ではない。ZOZOTOWNの前澤友作社長が、今度は月へ行くそうである。

「今度は」と言っている通り、前澤社長のスケールのでかい金持ち行動は今に始まったことではなく、2016年にはバスキアの絵画を123億で落札している。1億が123個だ、意味がわからない。

そして、あのレオナルド・ディカプリオも「俺もバスキア好きなんだよ!気が合うじゃん!」ということで、2人はバス友になり、ディカプリオの家に行くほどの仲になったそうだ。123億の絵が買えれば「実はあたしも山崎ハコ好きなんだ」みたいなノリでディカプリオと友達になれるのである。

もちろん持っている高額美術品はこれだけではないし、他にも高級車や高級ワインを愛好しているようだが、このように金を持っている人が金を使うのは実に正しい。むしろ、こういう人が「ダイソーの108円ワインは1000円の価値がある、特にシラーは頭一つ抜けてる」とか言いだしたら、景気はいつまでたっても回復しない。金のない私ですら経済を回すためにソシャゲのガチャを回しているのだから、こういう金持ちの方には、率先して経済を花びら大回転してもらいたいところである。

ZOZOスーツと「福袋」

このようにとんでもない金持ちである前澤社長とは一体何者なのかというと、冒頭言った通り、服の通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する株式会社ZOZOの社長だ。

私は無職ゆえ、服を着る必要がないのでZOZOTOWNを利用したことはないが、私のようにZOZOTOWNを使ったことがない人間でも、「ZOZOスーツ」を見たことがある人は多いのではないだろうか。

ZOZOスーツとは、着ると水玉模様の全身タイツ姿になれるスーツのことである。正確には上下に分かれているズボンとシャツなのだが、両方同じ柄なのでどうしてもそう見える。

もちろん「それが楽しい」というわけでない。そのスーツを着用してスマホアプリと連動させると、正確な体の採寸ができ、そのデータを元に、ZOZOTOWNで自分にぴったりあった服を買うことができるのである。

これにより、通販の弱点である「試着が出来ないため、サイズが合うかどうかわからない」という問題が解消される。何より、ZOZOスーツ自体は無料なので、これを普段使いしてしまってもいいのだ。(編集注: 10月31日、ZOZO前澤社長が将来的にZOZOスーツを廃止し、機械学習による体型予測システムを構築すると発表した)

また、ZOZOTOWNはこれと連動して「おまかせ定期便」というサービスもやっている。ZOZOスーツで計測したデータを元に、ZOZO側がアイテムを何点か選んで送ってきてくれるのだ。まるで福袋だが、利用者はそれを試着し、気に入ったものがあれば買い取り、気に入らないものは返品してよい。もちろん全員に「チェンジ!」と言うことも可能だ。

私のように、もはや自分で服を選ぶことが面倒という人間には大変助かるサービスだし、自分が選ぶより確実にマシなものが送られてくるだろう。もし今度服を着る必要性が出たら、ZOZOTOWNを利用してみようかと思う。

日本人初の「宇宙旅行」

このように画期的なことを次々とやっているZOZOTOWNなので、その社長が金持ちなのは当然という気がする。そんな前澤社長が今度は月に行くことにしたらしいのだが、さすがに自分で宇宙船を作るというわけではなく、アメリカの宇宙企業(初めて聞く業種だ)「スペースX」と契約し、そこが開発したロケットで月の周りを回る予定だそうだ。

旅行期間は約一週間で、2023年に実行予定だという。費用に関しては公表されていないが、おそらく「高い」だろう。しかし驚くべきことに、前澤社長は一人でも相当な値段であろうこの宇宙旅行に、画家やミュージシャンを6~8人つれて行く予定だそうだ。6人か8人かで費用が億単位で変わって来る気がするが、彼にとっては誤差の内なのだろう。

しかし、宇宙というのは、過酷な訓練を積んだ宇宙飛行士が行くもの、というイメージがある。最近の宇宙船は、一般人が旅行感覚で宇宙に行けてしまうほど進化しているのか、それとも前澤社長たちも事前にトレーニングをしたりするのだろうか。

前澤社長はともかく、ミュージシャンや画家たちは大丈夫だろうか。特に画家なんか台所に鏡月を取りに行くときしか動かない(※個人の感想です)人種なので、トレーニング段階で命を落とす可能性がある。もしかしたら6~8人というのは、それを考慮にいれて出した数かも知れない。

今まで「宇宙に行く」と言った日本の金持ちは何人かいたような気がするが、結局まだ実現には至っていない。それがついに実現なるか、というところである。

しかし私が仮に月に行ける金を持っていたとしても「怖いから行かない」気がする。むしろせっかく金持ちになったのに、月なんか行って死んだらどうするんだと思ってしまいそうだ。

このように「誰もやったことがないことに挑戦する」「ビビらない」ところが、前澤社長が成功した所以なのかもしれない。