現在二回目の緊急事態宣言を解除すると見せかけてやはり延長するらしい噂をツイッターで見た気はするが、真偽のほどをわざわざ調べたりはしない、という状況だ。
そもそも私が住んでいる地域が「全国 ※一部地域、離島を除く」の一部側であり、概念的には離島よりも首脳陣の意識から遠い場所にあるため、当然二回目の緊急事態宣言にも入れられていない。
我が村だけではなく全国的にコロナに対する危機感や関心が薄れているように感じるが、それは「話題として全盛期だったころに比べて」である。
「ブームが終わったバンド」というと、ファンがゼロになったように聞こえるが、「一度もブームを起こしてないバンド」よりは確実にファンが多いのだ。ビッグウエーブがでかければでかいほど、少し波が低くなっただけですぐ「オワコン」と言われてしまう。
美人女優がちょっと加齢を見せただけですぐ「悲報!劣化!」と書いた半紙を持って裁判所から喜々として飛びだしてくる奴が現れるのも、元の美貌があってこそであり、こちらの歯の隙間がどれだけ劇的に広がっても誰もニュースにしない。
大人数が集まれない中、イベントは配信にシフト
コロナ対策のための自粛も、天狗の面をつけ上半身裸に「必殺(ヒッコロ)」と書いてある自粛警察が跋扈(ばっこ)していたころよりは緩くはなっているが、依然、外出や大勢で集まることを控えている人や、リモートワークを続ける会社は多い。
コミケなどの「三密な上に、何故か体力が著しく落ちた人が全世界から集まるイベント」も、まだ開催を見合わせている状態だ。
このようにコロナの影響で我々の「娯楽」は大きく制限され、それは今も続いており、そのせいでメンがヘルシーでなくなっている人も多い。
生命の危機の前には娯楽など些末なことのように思えるが、人間あっての復興なので、コロナが去っても人間側に「立て直すぞ」という気力がなければどうにもならない。
しかし、自粛生活で人類全員のメンがHELLになったというわけではない。
私などは元々ひきこもりなので「てめえはいつも通りすっこんでろ」と言われただけで無影響であるし、むしろ「コロナの影響で室内ジョイの幅は広がった」と言える。
私はひきこもりの上に、人々の脳内地図から抹消されたリアル犬鳴村に住んでいるため、「この時間、都会のホールに現地集合!」のような、ライブ型コンテンツは「最初からないもの」と思うしかなかった。
しかし、コロナの影響で人を大勢集めるイベントは難しくなったため、多くのライブ型コンテンツが「配信」に切り替えた。
犬鳴村も日本国憲法は適用されていなくてもWi-fiぐらいは飛んでいるので、村や家から出ずともそれらを楽しむことが可能になった。
発信者側が早々に配信に切り替えたように、受信者側も外に出られないことを嘆くより、室内で楽しめるコンテンツに生きがいを見いだすことにシフトチェンジしたものは多い。
今回たまたま「ひきこもれ」という方針だったから私は無傷だったが、「コロナは外に出て三人組を作り、組体操『扇』をやれば死滅する」という話だったら即死だったと思う。
だがそんな中でも「扇を散開する時の解放感がすごい」「三人組が作れず、体育座りで待機ポジが意外と楽」などの新たな楽しみは見つけられるはずだ。
遠くに行けない今、「旅のグルメ」が取り寄せ可能に
このように、同じ状況でも、ただ状況を呪い続ける者と、今の状況でも楽しみを見つける者の差は大きい。
ライブやイベントと同様に「旅行」や「外食」もコロナの影響で大きく制限された。その代わりとして人気を博したのが「デリバリー」や「お持ち帰り」そして「お取り寄せグルメ」である。
現地でご当地グルメを楽しむのはまだ難しいが、せめてお取り寄せで旅行気分を味わおうという人はもちろん、私のように旅行自体に全く興味はないが、飯だけは食いたいという人間にとってもお取り寄せの充実は嬉しい。
「旅行気分が味わえる食べ物」と言ったら、現地の名物だけではない。むしろ現地で食べたものよりも「乗り物の中で食べるもの」に「旅行感」を感じる人も多い。
そんなわけでANAが「機内食」のお取り寄せをはじめて好評を博しているようだ。
これは、今の状況でも楽しみを見つけるプロが、自分で機内食風の食事を作り旅行気分を味わっているのを見つけたANAが「こ、これや」と思い、始まったことらしい。同人で流行った要素を公式が取り入れた、みたいな話である。
機内食らしく、メニューはシンプルで小じんまりとしており、飛行機になじみがない者からすると「これがコラボカフェとかで出て来たら悪い意味でツイッターに晒す」と感じてしまうが、機内食をよく食べる人なら見た瞬間脳内に「旅行汁」が溢れて旅行欲が満たされる仕様なのだと思う。
それと同様に「シンカンセンスゴクカタイアイス」でおなじみの、新幹線の車内販売で売られているスジャータのアイスもお取り寄せをはじめている。
もっと本物気分が味わいたいという人は、「機内でCAが押しているカート」も販売されているので合わせて購入しても良いかもしれない。あとは、CAの制服を買い、彼女などに着てもらう、もしくは自分で着れば完璧だ。
このように、家から出ずとも楽しめる娯楽は増えているし、その沼もまた深い。ひたすらコロナが去るのを待つよりは、今の状況でも落ちることができる沼を探してみるのも一興である。