最近「スイーツの表面に塗ってあるジェリー状の部分だけ舐めてくる奴」ですっかりおなじみのTwitter(ツイッター)である。簡単にいえば「流行っているらしいSNSなどの機能を安易に真似しようとする」ということだ。

しかし、「機能の模倣」は、された方にはたまらないかもしれないが、ユーザーとしては悪い事ではなかったりする。

例えば「テレビ」も、最初に開発した人間や会社はあると思うのだが、現在さまざまな会社がテレビを発売しており、細かい差はあれ、基本機能は同じはずである。うちのテレビは服が洗えるという場合、それはおそらくテレビというより洗濯機なのではないだろうか。

そういう状態が許されているからこそ、我々は必要な機能や予算に応じて欲しいテレビを「選ぶ」ことができるのだ。もし「パンツ」とかが、最初に売り出した会社しか出せないもので、1枚10万円とかしていたら、我々は未だにノーパンかもしれない。

漫画も「模倣からはじまる」というように、模倣が起こることで消費者は選択肢が増え、さらにオリジナルよりも優れたものが生まれるのである。

しかし、パクりというのは「質は悪いがオリジナルより安いから手が出しやすい」など、何らかオリジナルより優れている点がないと、消費者としてもわざわざパクりを選ぶメリットがない。よって、メリットがない場合、パクった方も特に利益がなく、ただ「パクリ野郎」という汚名だけが残ってしまう。

奇想天外な発想で繰り出された、ツイッターの新機能(案)

正直、最近のツイッターにはそういうところがあり、新機能をつけるたびに「○○で見た奴だ!」と我々を進研ゼミ状態にするだけで、機能自体が評価されることも、定着することもなかった。

だが、ロゴマークなどが発表されると、どこからともかく似たような物を探されてきて「パクりだ」と言われてしまう昨今、文句を言わせないようにしようと思ったら、いのちの輝き氏ぐらい斬新なものを出すしかない。

それで「斬新」に全振りしようという話になったのかは不明だが、2020年11月、ツイッター社より「嫌いボタン」の実装をほのめかす発言がされた。

この発表により、「俺は最後までこの集落に残る」とツイッター村と一緒にダムの底に沈む覚悟だった者まで「こんなところにいられるか!」となり、「嫌いボタン実装とともに撤退」を表明してしまった。それ以来音沙汰はないので、具体的に嫌いボタンが実装される予定は今のところないようだ。

これだけいろいろやっても「もうやめよう」とならないのが、ツイッターの良いところである。

ツイッター初の課金機能だけど、既視感はすごい

  • 推しに課金できる機能、実はTwitterでは初めてでした

    推しに課金できる機能、実はTwitterでは初めてでした

そんなわけで、またツイッターが新機能を発表した。ツイッター初のユーザーへの課金機能、その名も「スーパーフォロー」である。

まずYouTubeの「スーパーチャット」を連想した人が多いと思う。せめて名前ぐらい他のツールの顔がチラつかないものにしてはどうだろうか。

しかし「スーパーフォロー」は「スーパーチャット」と酷似しているかというとそうでもない。

まず、YouTubeの「スーパーチャット」は配信者に任意の金額をプレゼントする「投げ銭」のようなシステムである。スーパーチャットは必ずしなければいけないというわけではなく、「配信の視聴は無料、気にいったらスーパーチャットお願いします」という形が多い。

対して、「スーパーフォロー」は「月額制ファンクラブ」のようなもので、「月額500円払ってくれたフォロワーだけが見られる特別なコンテンツを配信したり、限定コミュニティへの参加を許可したりする」というシステムだ。既存のサービスでいうと、pixivがやっている「pixivFANBOX」に近い。もしかしたら「スーパーフォロー」という名前も「スーパーチャットだ!」と言われた時に「そんなに似てないっすよ」というためなのかもしれない。

ツイッター独自の新しい機能、とは言い難いが、「ツイッターに集金機能がついた」こと自体は画期的と捉える人も多いかもしれない。

ツイッターは高い拡散力があり、経済効果はなかり高いツールなのだが、直接現金を生み出す機能は意外にもなく、アフィリエイトリンクを貼ったつぶやきを流す程度であった。よって、もっとこのフォロワー数を換金できないかと考えていた、フォロワーの多い人もたくさんいるのではないだろうか。

金を取るからには、課金ユーザーに対し「特別なコンテンツ」を提供しなければいけない。「pixivFANBOX」のように、絵師なら課金ユーザー向けに限定のイラストを投下、料理アカや美容アカなら、より特別な情報を提供するなどの使い方が予想される。

なお、一番有力視されているのは「おっぱいの谷間を見せているアカウントが、課金者にはもっとおっぱいを見せる」という使い方だ。

しかし、日本人は拝金を嫌うので、スーパーフォローを始めた時点で「金かよ」と、普通のフォロワーが激減する可能性はある。

だが、スーパーフォローは強制ではなく、払いたい人だけ払うシステムである。払えと言われたわけでもないのに怒って離れる人間は、最初からファンではなかったと言える。

ファンは推しに課金できると聞いたら「待ってました」なのである。