「前回までのあらすじ」
携帯電話料金値下げ推進派の菅義偉氏が総理大臣になったことで、auのスマホ回線を使っているくせに何故か持っていた拙者のソフトバンク株は大暴落。一方その頃、ドコモ株はNTTがドコモを完全子会社化すると発表し好調であった。
そしてドコモは政府の要請を受けてかどうかは不明だが、月額2,980円でデータ容量20GB、5Gにも対応したプラン「ahamo」を発表した。一方その頃、我らがauは「アマゾンプライムがついて3,760円」という、アマプラで映画『デビルマン』が見放題でなくなった今、そこまで魅力を感じない上に大して安くもないプランを発表。
さらにこの3,760円というのも、あらゆる割引を適用した上での最安値であり、単身者や学生でない者は割引が適用されず、さらに半年、1年と使うごとに割引が失効してどんどん高くなっていくことから、「ぼったくりバー」と批判を集めていた。
ここまで「auを選んで良かった」と思えることが何もない、拙者一体どうなってしまうの?
カレー沢選手待望のauの奥の手、その名は「povo」
などと焦りと苛立ちを感じながら、結局「面倒くさい」の壁を越えられず、諾々とauを使い続けている人間こそ、ぼったくりプランがターゲットにしている「お客様」なのである。
ただ、世の中の人間が全員私のように行動力のない情弱だったら、訪問販売と特殊詐欺が捗るだろうが、そうではない。
前述の「ahamo」に続き、ソフトバンクもLINEと提携した月額2,980円のプラン「SoftBank on LINE」を発表する中、「アマプラ(※映画デビルマンを含まない)付きで最大割引3,780円」という体たらくのauに絶望し、auを離れドコモやソフトバンクに移る動きもあるという。
それでも私のような選ばれし行動力のない情弱はまだ動いていないのだが、そんな避難勧告を無視してダムの底に沈んでいく奴しか使ってないキャリアに未来はない。
しかしこちらとて、auと心中したいわけではない。ただキャリアを変えるのが死ぬほど面倒くさいというだけだ。そして、「そうは言ってもauだってこのまま終わらないだろう」という一縷の望みもあった。
その期待通り、auは「前のアマプラ(デビルマン抜き)は前座、ビートルズ前のドリフですよ」と言わんばかりに、他社同様20GBで5G対応、そして月額2,480円のプラン「povo」を発表した。
「povo」には他社と違い、音声かけ放題がついておらず、それをつけると+500円となり他社と料金が並んでしまうが、通話を使わない人であれば他社より500円安く利用することができる。
さらに「povo」には「トッピング」という専用アプリからサービスを追加できる機能を搭載予定で、「500円で1カ月だけかけ放題」、「200円24時間だけデータ使い放題」など、必要なときだけサービスを追加できるようになるそうだ。
すでに首まで水中に浸かり、全指がふやけている状態だが、待っていた甲斐があったプランである。
しかし、auは先日、デビルマンもなしにアマプラを推したことがよほどネット民の怒りを買ったのか、「どうせ月額2,480円のクソデカフォントの下に小さい※が10個ぐらいついていて、最終的に9,480円ぐらいになるのだろう」とか、「povoは『貧乏』のスラング、つまり『貧乏人プラン』」とのうわさまで立つなど、完全に「あのauが良いプランを出すわけがない」という反応であった。
だが、今のところ「povo」が他2社の格安プランより劣っていると明確に言える点はなく、音声かけ放題なしで他社より500円安いところや、トッピング機能の搭載は他より優れているとも言える。
そして、今まで批判の的であった「最大割引後の料金を大きく提示する」という料金表記も改めるという。
確かに、今まではフルメイクした顔をあたかも素顔のように発表しており、家族がいなければ右のつけまつげがなくなり、学生でなければ左もなくなりと、どんどん化粧がはげていき、最終的に山姥が現れるという仕様であった。
それをまず割引前のすっぴん料金を一番大きく出して、そこから割引適用額を表示し、わかりやすくしていくようだ。
正解を探すより、「自分にとっての最適解」を選ぶ
これで大手3キャリアの格安プランは出そろったわけだが、その他にもauのサブブランドであるUQ mobileが「3Gで月額1,480円(翌月繰り越しあり)」を発表するなど、さらに大胆な値下げしているところもある。
そうなると、「どこの何を選ぶのか」という問題がある。
ここまで粘ったならauの「povo」一択な気もするがpovoは家族割が適用されないため、私だけ変えると夫の家族割がなくなってしまうし、夫は仕事で通話をよく使うのでpovoだと不都合がでるかもしれない。
携帯料金は別々に支払っているので、お構いなしにpovoに変えても良いのだが、家族割で揉めて家族じゃなくなる事態になったら無意味である。
また、うちはauひかりも使っているので、そちらとの兼ね合いも考えなければいけない。そして、料金を安くすることで動作が遅くなり、ソシャゲの周回にストレスを感じるようになったら、金銭的には得していてもQOLを大きく下げることになる。
ここで、考えるのが面倒だからそのままにしたり、何も考えずにとにかく最安値にしたりしてしまうタイプは、携帯料金だけではなく、さまざまな面でカモにされる可能性が高い。
貧乏人プランと呼ばれた「povo」だが、自分にとって不必要な物に金を払うことこそが貧乏人の所作である。
本物の金持ちは、必要なことには金を惜しまないが、不必要な物にはビタイチ金を出さないので、スマホが自分にとって重要でなければ、「povo」でも1,480円プランでも平気で使うのだ。
逆にお金がなくてもソシャゲの周回に命をかけているなら、快適な通信環境に金を惜しむべきではない。
この情報化社会、情報を正確に理解して比較検討し、最適解を選ぶことも大事だが、「自分にとって最適」を選べなければ、得したつもりが実は損している、ということもあるのだ。