人生100年、老後資金の必要額2,000万、などと刺激的かつ雑な数字が飛び交う昨今である。
個人的には2,000万円貯めるより「100年」を減らす方が難易度は低い気がするのだが、倫理という意味ではそちらの方が若干難しい。
結局、法も倫理もブチ破ってネクストステージ(来世)に行く覚悟がある人以外は、大人しくお金を貯めるしかない、というのが現状である。
必要資金をためるにはまず「苦にならない支出を減らす」
そのため、私もお得意のインターネットで「資産の作り方」とGoogleさんに打ち込んで情報を集めるようになったのだが、そこで出てくる専門家は大体どれも「まず増やすことより支出を減らすことを考えなさい」と言っている。
要求するものは「2,000万円」とダイナミズムにあふれているのに、その作り方は極めて地味なのである。
だが、「支出を減らす」と言っても、いきなりロウソクで暮らしてみるなど、ダイエットといったら絶食しか思い浮かばない、一週間後に壮絶なリバウンドを見せるデブのような発想では長くは続かない。
節約というのは、削っても苦にならないところから削るのが鉄則だという。そんな「苦にならない節約」の代表として挙げられるのが、「税金」と「保険」、そして「携帯電話代」である。
確かに、納める税金が減って苦痛に思うのは「国ガチ勢」ぐらいのものだろう。オタクにとって、推しに金をつぎこむのは健康法の一種なのだ。
保険も、一つも入っていない無頼が良いというわけではないが、単身者が生命保険、あまつさえエア我が子の学資保険にまで入ったりするように、あまりに先を見据えすぎな保険は無駄と言える。
そして携帯電話代だが、携帯電話はもはや生活必需品であり、節約のために「持たない」という選択肢はさすがにないだろう。
しかし、必需品の割に、日本三大キャリアである「docomo」「au」「ソフトバンク」の携帯代金は世間では非常に割高と言われているらしい。それ故に、携帯を3大キャリアではなく、格安のもの(メインキャリアのサブブランドやMVNO)に変えるだけで、大きな節約になるのだという。
カレー沢選手が使っている携帯キャリアとその理由
そのような節約案を2億回ぐらい提示されているのだが、私の携帯は未だに「au」である。
まず、夫も携帯はauで家族割の扱いになっているので、私が携帯会社を変えるなら、夫のほうも変えなければいけない。さらに、家のインターネット回線はauの携帯代が割引になるのでauひかりにしているため、それの変更も検討しなければならないというのが話を複雑にしている。しかも、我が村に格安の携帯と回線を扱うショップがあるかどうか知らないし、キャリアを変えようとすると、携帯屋に塩分の効いた対応をされるという噂もあるのでその心構えもしなくてはならない。
そして何より、格安の回線に変えたことでFGOの動作が遅くなっては、クリスマスのボックスガチャで遅れをとってしまう。
しかし節約の専門家の方も、2億回言っても変えようとしない奴を見慣れているのか、「これだけ言っても変えない人は変えません。いろいろ言い訳を並べますが結局『面倒くさい』だけであり、お金が貯まらない人は『そういうところ』なんです。こういう人は他の面でも『面倒くさい』と言って、穴のあいたパンツから毎月金の玉がこぼれ落ちているのを見過ごしているくせに『お金がない、なんでだ、世の中不公平だ』と嘆き続けるだけなんです、お前はいつもそうだ、誰もお前を愛さない」と、非常に辛辣なことを述べている。
よって、「まずは携帯代を安くしよう」という記事を見るたびに、己の情弱さ、行動力のなさを責められているようで非常につらかった。だが、そもそも、情弱や行動力のない人間は高額な携帯代を払わなければいけない、というシステム自体がおかしい。3大キャリアの携帯代が安ければ万事解決なのである。
携帯料金については、「公共のものといっても良い電波を占有し、暴利を貪るとは何ごとだ」と、前々から携帯電話会社に対し、国から料金を安くするよう指導が入っていた。
そうした携帯料金の引き下げに特に積極的だったのが、前政権で官房長官だった現・菅総理大臣である。安倍元首相が辞任を発表し、菅官房長官が新総理の第一候補と言われるや否や、私の保有するソフトバンク株が暴落したのは記憶に新しい。
菅総理大臣が就任→携帯代が安くなる→携帯電話会社の景気が悪くなる→暴落、という非常にわかりやすい図式だ。
その時私は、ヘレンケラーが水に触れて「ウオーター」を理解したように、株価は世相を反映するということを学んだ。おかげで前より世の中の動向に興味を持つようになったので、皆さんも株を持って、できれば損してみることをお勧めする、人間は痛い目を見ないと学ばない。
このように、携帯代が下がれば消費者としては嬉しいが、株主としては死ぬという、誰にも愛されない立場に己を置いてしまったわけだが、携帯代が安くなるに越したことはない。
ドコモの新料金プランでauの株が爆下げ
そんなわけで非常に前置きが長くなったが、先日docomoが「ahamo」という新料金プランを発表した。
「ahamo」は「月額2,980円で20GBの高速データ通信が利用できる料金プランだ。4Gだけでなく5Gでの通信も可能で、2021年3月からの開始を予定しているという。20GBや5Gのすごさはわからないが、2,980円が安いというのだけはわかる。
何故このような格安プランが可能かというと、おそらく「ahamoの受付はオンライン上のみ、ドコモショップ内では行わない」という点がポイントだろう。
つまり、ショップ内で良く分かっていらっしゃらない老や情弱に逐一説明するための人件費が膨大であり、それさえなければこれだけ安くできる、という事実を明かしてしまったとも言える。
よってahamoはネットを使い、全ての手続きを自分でできる人向けであり、家族割は適用されないことから、単身の若者向けプランと言われている。
情弱でも携帯代が安くなります、という話ではなく、携帯まわりに明るくてネットで手続きできる人だけ使えるという点は変わらない。しかし安いことには変わりないため、「ahamo」は発表後、若者を中心に評判がよく、かなり期待されている。
それに対して我らが「au」が発表した新プランが「ぼったくりバー」と評判を集めている。そのプランは「アマゾンプライムサービスがついて月額3,760円」というものなのだが、まずアマゾンプライムを使う人以外には、「いらんから、その分安くしてくれ」という代物だろう。
しかも、3,760円というのも、様々な割引を適用した結果の最安値であり、半年、1年と使い続けるうちに割引がなくなっていくし、学生でない者や単身者にはそもそも適用されない割引もあり、月額9,000円以上になってしまう場合もあるという。
しかし、ぼったくられているということにすら気づけないのが情弱なのである。そういうタイプはまず請求明細すら見ないので、仮に「お席料」を毎月1,000円取られても気づかないのだ。
そして、これだけ「docomoはヤッてて、auは別の意味でヤってる」と説明されても、キャリアを変えに走らないのが、私のような行動力のない奴である。
逆に言えば、今の世の中知識と行動力があれば、得できることがたくさんあるのだ。ぜひ私のように、誰にも愛されない人間にならないよう、センサーと行動力は磨いて生きてほしい。