沖縄の酒造メーカーであるオリオンビールが「ストロング系チューハイ」の製造をやめると発表した。
何故製造中止を決定したか、というと「体に悪いから」だそうである。
この発表はネット上でも大きな話題を呼んだが、もちろん「ストロング系チューハイが体に悪いなんて知らなかった」という驚きからではない。
むしろストロング系チューハイが体に悪いなどということは、飲んでいる奴が一番良く知っている。
しかし、例え誰もが薄々勘付いていることでも、メーカー自ら「弊社体に悪い物を作っております」とは言えないし、飲んでいる側も売られなくなったら困るため、どれだけ手首に強めのビブラートがかかっていようが「リングフィットアドベンチャーやりすぎただけ」と言って、ストロング系チューハイのせいとは言わない。
危険性については、医者などの専門家や、実際ストロング系チューハイにはまって詰みかけた人の口から再三指摘されていたが、何せ製造元とユーザーがウィンクしあっているような状態だったので、いつのまにかうやむやになり、規制されるどころか、売場面積を広げる一方であった。
コンビニなどでも、店によっては、棚1つ全てストロング系飲料という、酒クズからしたらまさにこの世はでっかい宝島状態になってしまっている。
それだけストロング系チューハイは今売れているということだ。
よって、そんな売れ線商品の製造を中止するというだけでも驚きだが、「体に悪い」という誰もが知っていながら言わない約束になっていたことを、メーカー自ら言い出すというのは異例のことだったのではないか、と思う。
他のメーカーは「野郎…タブー中のタブーに触れやがった…」と本部以蔵の顔をしているかもしれない。
ネット上では「ストロングゼロ文学」の頃が最高潮ですかね
オリオンビールの社長は、地元沖縄でここ数十年アルコール依存症が増えていること、アルコール依存症患者から、ストロング系チューハイを常飲していたという話を聞いたことから、健康配慮のために思い切ってストロング系飲料の製造中止を決めたという。
もちろんオリオンビールがやめても他の大手メーカーがたくさん作っているため、入手が困難になることはないだろうが、これがきっかけでストロング系チューハイの危険性が再度注目され、何らか規制がされる可能性もなくはない。
しかし、単純にストロング系飲料が悪で、悪とわかっていて作り続ける酒造メーカーが巨悪というわけではない。
ストロング系チューハイは、覚せい剤のように1本飲んだら終わりというわけではなく、適切な量飲むならただのし好品である。
しかし、水も3トン飲めば死ぬように、何事もやり過ぎれば体に悪く、ストロング系チューハイはアルコール度数が高いため、飲み過ぎると他の酒類よりも比較的速やかに健康を害せるという傾向がある。
また、どこにでも売られていて非常に安価なため、お金がない人でもたくさん飲みやすいという特徴もあり、むしろお金がない人が、お金がないことを忘れるためにストロング系チューハイを飲むとも言われていた。
その特性からストロング系チューハイは「飲む福祉」と呼ばれネットで注目されることになり、それを見て試し「これはいいものだ」と開眼し(瞳孔が)、さらに常飲する人が増えてしまったのではないか、と思う。
かく言う私もネットでストロング系チューハイの噂を聞きつけ試してみた者の一人である。
まず、ストロング系チューハイの良いところは「飲みやすい」という点である。私は、この世で一番美味い汁はファンタグレープだと思っているので、正直酒の味は苦手である。
しかし、チューハイなら味がジュースに近いので、私のように酒の味自体が苦手でも試せてしまうのだ。これが「ストロング芋焼酎」とかだったら手を出す人は半減していたかもしれない。
またアルコール度数が高いためあっという間に酔いが回る、つまりすぐいい気分になれてしまう、ということだ。
確かに噂通りの効能があったため、私もしばらくストロング系チューハイを飲んでいたが、今はやめている。
何故かと言うと「これは体に悪い」というオリオンビールの社長と同じ真理にたどり着いたからだ。適量なら問題ないのはわかっていたが「このままでは自らの意志で適量が守れなくなるのは時間の問題」だと気付いたので、そうなる前にやめた。
思えばストロングはエスカレートがストロングだったかも
ストロング系チューハイ含む酒類にストレス解消の効果があるのは確かであるし、この楽しみがあるから、生きていけるという人もいるだろう。
よって全面禁止したらしたで、もっと危険な物に依存してしまうなど、新しい問題が起きるであろうことは想像に難くない
しかし、合法で良い気分になれて、飲み過ぎると害があるとわかっているものが、どこでも安価で大量に手に入る世の中が正常なのかと言われると、何らか対策が必要な気もする。
ちなみに、ストロング系チューハイは誰でも気分が良くなれるというわけではなく、弱い人が飲むと、ただたんに体調が悪くなるだけ、というケースが多い。
逆にラッキーである。
元々、ある程度酒が強い人の方がアルコール依存症になりやすいと言われているのだ。
酒が飲めないなんて人生損しているなどという人もいるが、むしろ飲めてしまったせいで損している人もたくさんいるのである。