分社化が社員のキャリアに与える影響は?

ウォークマンなど、時代を大きく変える製品を世に送り出し続けてきたソニー。2016年卒の採用では、前年の1.7倍に当たる300名の学生を採用する予定だ。後編では、「分社化が社員のキャリアに与える影響」を紹介する。お話を聞いたのはソニー人事センター採用部 統括部長 小橋由佳里さん。

分社化の影響

--ソニーは2月、経営方針説明会で将来的に「分社化」する計画を明らかにしました。新卒採用への影響はどうなるのでしょうか?

分社化の目的は、各事業の自立を促し、競争力を高めることにあります。分社化すると各事業がそれぞれの競争環境の中で機動的に動ける権限を与えられると同時に、そのビジネスに関わる一人ひとりの結果に対する責任もより明確になります。皆さん昨年の2月に発表したPC事業譲渡のイメージが強いかと思うのですが、分社化＝売却や他社提携ではありません。

ソニー・ミュージックやソニー・ピクチャーズ、ソニー・コンピュータエンタテインメント、ソニー生命等、既にグループ売上の7割以上を占める事業が分社化の上、運営されており、このたび、まだソニー株式会社の中で事業を行っているいくつかの事業体について、順次分社化を進めるという方針を発表しました。

もちろん面接や説明会では、分社化によって、最初の配属先がソニー株式会社ではなくなる場合は事前に確認をします。入社してみたら突然違う会社だった、ということは絶対にありません。

--分社間の異動はどうなりますか?

ソニーでは、グループ会社も含めての社内募集制度や人事異動があるので、違う職場環境や文化の中でさまざまな経験をし、キャリアを積み上げていくことができます。

例えば現 代表執行役 社長 兼 CEOの平井は、ソニー・ミュージックの新入社員として入社し、その後はソニー・コンピュータエンタテインメントで、米国におけるプレイステーションビジネスの立ち上げに関わったという経験を持っています。また、代表執行役 副社長 兼 CFOの吉田も、入社当時はソニー株式会社でしたが、その後今のソネットの社長を9年務めて戻ってきた人物です。実は私自身もソニーとソニーモバイルの仕事を兼務していたことがあります。「せっかくソニーに入ったのに子会社で働くなんて…」と思うのではなく、早くから責任ある仕事を、さまざまな事業で経験し、成長して欲しいです。

入社後のキャリア

--入社後のキャリアについて教えてください

特定の技術領域を極める人もいますし、さまざまな事業を幅広く渡り歩く人もいます。ソニーは事業領域が大変広いので、キャリアの選択肢が多く、また、個々人がどのような経験をして、どのようなキャリアを積み上げたいのか、自分自身でデザインできるのも、魅力の一つではないかと思います。

--選択肢が設けられているのですね

人事や上司が主導で進めるジョブローテーションもありますが、個人の意思で職場の異動を実現する「社内募集制度」も充実しています。また、4月1日より、ある特定の分野の技術を極める「スペシャリスト」のラインと「マネジメント」のラインに分かれた新人事制度が始まりました。管理職にならないと給料があがらない、ということではなく、スペシャリストの専門性も、マネジメント能力と同等に評価しよう、というものです。各領域のスペシャリストがいるからこそ、お客様に感動をもたらす商品やサービス、コンテンツが創造できるわけです。そういった社員が正当に評価される仕組みができました。

求める人物像

--新卒採用ではどのような学生を求めていますか?

人々の生活に新しいインパクトを与え、好奇心を刺激し、感動を伝えたいというソニーのミッションに共感して、熱意を持って取り組みたい人を求めています。

ソニーには、様々な志向を持つ社員が集まっています。例えば、ワクワクするような商品やサービスを世の中に送り出したい人。自由な発想やアイデアを活かして新しいライフスタイルを創り出したい人。自分の専門性が活かせる仕事をしたい人。海外で自らの手で新興国のビジネスを拡大させたい人。グローバルな環境で世界を舞台にビジネスを推進したい人。社員の志向を一言に集約するのは難しいほど多様性に富んでいますが、共通しているのはソニーで自分の「個性」を発揮し活躍しているということ。ソニーは一人ひとりの価値観を尊重し、様々な志向を受入れ、社員の成長を支援したいと考えています。

--近年は小橋さんのような「リケジョ(理系女子)」に注目が集まっています。そちらはどうでしょうか?

当社でも、ダイバーシティ、特に女性社員の活躍推進には力を入れており、まだまだ数が少ない技術系の女性については特に積極的に採用したいと考えています。

最近は社内にも理系女性が増えてきており、理系女性の皆さんにとっても非常に働きやすい職場だと思います。弊社が取り扱う商品のお客様は当たり前ですが、男性だけではなく、女性もいらっしゃいます。私自身、女性ならではの視点が商品開発に役立つこともありました。

--他には何かありますか?

ダイバーシティを重視する当社では、リーダータイプから、縁の下の力持ちタイプまで、様々な人が活躍しています。仕事はチームでやるものなので、それぞれの個性が組み合わさることで、会社全体がいい方向に進んでいくと思います。

--ありがとうございました