日経平均が17,000円前後で足踏みしている。日本企業の業績改善が続くとの期待があるので下がれば買いが増えるが、相場に不透明要因が多く、上値は追いにくい。
20日に過激派「イスラム国」が邦人殺害を警告するビデオ配信したことで、地政学リスクも新たに懸念材料として浮上している。また、22日は、今晩発表が予想されるECB(欧州中央銀行)の追加緩和策に注目が集まっている。発表内容次第で、日本株にとってプラス材料にもマイナス材料にもなり得る。
(1)ECB(欧州中央銀行)が追加緩和を発表の見込み
欧州経済はデフレ入りしつつあり、今晩、ECBが追加金融緩和を発表することは、ほぼ確実と予想されている。その内容次第で、世界の株・為替に大きな影響が及ぶ可能性がある。
(2)ECBの発表内容について、現時点で想定されるシナリオ
シナリオ1 ECBが期待通り、あるいは期待を上回る大規模緩和を発表する
欧米株式は、緩和を好感して上昇する。そのこと自体は、日本株にプラスである。ただし、為替市場でユーロが全面安となり、円が対ユーロ・対ドルで大幅に上昇すると、日本株にマイナス影響が及ぶこともある。
シナリオ2 ECBが追加緩和を発表するが、規模が小さく市場の失望を誘う
ユーロ圏で最大の経済規模のドイツが追加緩和に反対していることから、追加緩和実施が発表されても、買い取り規模が市場の期待に届かない可能性もある。
この場合、欧米株式は失望から下落し、日本株にもマイナス影響が及ぶ。為替市場では、ユーロが買い戻されることになる。もし、大幅な円安が進めば、日本株にプラス影響もある。
シナリオ3 ECBが、ユーロ各国の国債を買い取る追加緩和実施を発表するものの、詳細(緩和規模・買い取る国債の種類別買い取り額)は発表されない
25日に行われるギリシャの議会選挙で、野党シリザが政権を奪取して緊縮財政放棄を宣言する可能性がある。ギリシャの選挙結果を見るまで、ECBはギリシャ国債をECBによる買い取り対象とするべきか否か、決めにくいという事情がある。追加緩和の詳細発表が、来週に持ち越しとなる可能性もある。
この場合、株式市場・為替とも発表内容を消化不足となり、方向感の定まらない相場が続くことになるだろう。来週に緩和の中身が発表されるのを待つ展開となる。
(3)地政学リスクにも改めて注意が必要
1月7日にフランスで風刺週刊誌「シャルリー・エブド」社が襲撃され12人が死亡するテロ事件があった。20日には「イスラム国」から邦人殺害を警告する動画が配信された。地政学リスクが株式市場に悪影響を及ぼす可能性を注意する必要が出てきている。
今年は、株式市場の参加者の肝を冷やすイベントが続く可能性がある。ただし、日本企業の業績改善が続く限り、下がったところでは買いが増える可能性がある。今年の日経平均は、急落・急騰を繰り返す、荒い値動きが予想される。