日本では「英語で書かれたもの」がやたら目に付きます。お店の看板や公共のサイン、ポスターや商品のパッケージ、T-シャツや洋服に見られるロゴ、お店の紙袋などなど、取り上げればきりがないぐらい。

当然ながらこれらの中には、英語を使うべくして使っているものもあるでしょうが、殆どは「英語を使う方がデザイン性に富む」とか「単にイメージアップとして」、または、「不要に空いてしまったスペースを埋めるには英語が一番無難」といった軽い理由でだったり……!?

理由はともあれ、こうして使われている英語って当然ながら英語として正しくあるべき!! ……ところが一概にはそうは言えないのが残念。不可思議で怪しげな英語もかなり多く混ざっているのが実態です。

そしてそのような英語はネイティブにとってはただ意味不明な文字の羅列のことが多いんですが、ときにはとても滑稽で、つい笑えるもの、ジョークのネタにできるようなものなどもあり、彼らはそれらを称して"Engrish"(語尾を上げる感じで言う)と呼び、楽しんでもいるんです。

因みに"English(英語)"を"L"ではなく"R"で表しているのは、私たち日本人が"L"と"R"の発音が苦手だということを逆手に取った皮肉から。

そこで今回は<Engrish.com>というサイトを紹介しましょう。ここには膨大な数の日本人作(北京オリンピックを境に隣国、中国人作のものも増えてきていますが……)の「不可思議で滑稽な」英語例が載っています。最初は見ても「何がおかしくて、何が変」だか戸惑うかも。でも多くには短いコメントが付いているので、そちらを見ながら判断すれば大抵は「なるほど!」と納得できるはずです。

でもより理解を深めてもらう為、ここでも幾つかを取り上げ、下記に詳しく分かりやすく解説しておきます。こちらも参考にしつつ、このサイトを見てみてください。

I Love BM(※)

これはT-シャツにプリントされたロゴの一例。日本で"BM"と言えばドイツのBMW社製の車の事。だから"I love BM."といっても何の抵抗も感じないでしょうが、英語で"BM"とは"bowel movement"の略で「排便」とか「下痢」という意味。つまりこんなロゴのT-シャツを着ていると、それは「わたしは下痢をすることが大好き」となってしまうんです。因みにBMW社製の車の愛称は"Beemer(または人によっては Bimmer)"と言います。

※LoveはT-シャツのロゴではハートマーク表示となります。

それからだいぶ前ですが、"BM"という缶コーヒーもあったかと思います。これにはネイティブはさぞかしビックリしたことでしょう……。

LOVE DRUGS

これはドラックストアの店名。これを見るネイティブたちはさぞかし喜ぶ事でしょう。なぜなら、恋に聞く魔法の薬を売っていることになるから。恋に効く薬のことは"Love potion"と言い、かなり前になりますが"Love Potion #9"という曲が全米チャートの一位を占めたこともあったんです。

シッティング スペース
SHITTING SPACE

これはとあるビルのロビーの案内図にあったもの。そして問題点はというと、カタカナで「シッティング スペース」とある下の"SHITTING SPACE"。"SITTING SPACE(すわる場所、すわれる場所)"と書きたかったんでしょうが、これでは「糞をする場所」となってしまい、良くても「トイレ」のある場所と間違われるのが関の山です。

施工進行中
Execution in Progress

これはよく工事現場やショッピングモールの床に置かれている黄色い「今作業中につき入らないで、近寄らないで」といった甲板。でもこれだと「施工中」ではなく「死刑執行中」になってしまいます。

化粧室は後方へ
For Restrooms
Go back toward your behind.

これは地下鉄構内のトイレへの誘導サイン。問題は"Go back toward your behind." の部分。これだとネイティブは「と言うことは…、後ろの後ろ側? つまり前に行けってこと?」と迷ってしまうか、"behind"には俗語として「おしり」という意味もあるので、もしそう判断するなら「あなたのおしりに向かって後ろ側に行きなさい」となり、どちらにせよチンプンカンプンです。

この部屋での喫煙はご遠慮ください。
Please Do Not Smoke This Room.

これはホテル室内に置かれていた禁煙サイン。これでは「この部屋を吸わないでください」になってしまいます。正しくは"Smoke"の後に"in"を入れるか、"No Smoking In This Room"とすべきです。

それからこれは筆者が目撃した一例ですが、「角質取り」とうたった商品に"Horny Remover"と書かれているものを見たことがあります。和英辞書で「角質」と引くと、確かに冒頭に"horny"と出ては来ますが、英語圏の人たちにとって"horny"と言えば、十中八九「性的うずきを感じている状態」ってこと。よって"Horny Remover"は彼らには「うずきを取ってくれるもの」となるんです。因みに「角質取り」を言うなら"Callus Remover"の方がいいでしょう。

いかがですか、こういった英語みなさんも日々結構目にしているのでは? 結構使ってしまっているのでは? そして企業の皆さんも、国際社会になりつつある今、英語のクオリティーの低さで笑われることがないよう、商品名を英語で付けるときや広告に英語を取り入れるときなどはくれぐれもご注意あれ。

ではまた次回

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