Appleの世界開発者会議 WWDC21が目前に迫りました。基本的にはソフトウェア関連の情報を中心とした開発者向けのイベントなのですが、今年は基調講演でハードウェアの発表があるとの見方が濃厚です。現時点でのウワサをまとめました。
21個の発表がある?
WWDCの告知が公開された際、ミー文字キャラクターの眼に映るアイコンが注目されました。イベント開催日を示す「6月7日(現地時間)」に「21」の通知があることから、この日の基調講演では「21項目」の発表があるのでは? との憶測が出ています。
本当に21項目あるとしたら、2時間を超える長編基調講演になりそうです…。単に「WWDC21」の「21」とも考えられます。ただ、いずれにしても内容はかなり盛りだくさんになると見込まれています。
OSアップデート
毎年必ず行われるのが、秋にリリース予定となる新しいOSの機能紹介です。今回は、Appleがこれまでよりも事前の情報漏洩を防ぐことに成功しているようです。
macOS
macOSのバージョンは「Mac OS X 10.0 (Cheetah)」以降、「10.1」「10.2」…2019年の「10.15」まで、小数点以下をバージョンナンバーとしてきましたが、2020年は「macOS 11 Big Sur」と整数部分が変更になりました。2021年もこれに続き「macOS 12」と、整数が増えるルールが続くようです。
内容については、マイナーアップデートにとどまるという見方が多いようです。
iOS 15
昨年のiOS 14は、ウィジェット、Appライブラリ、プライバシー保護など、大幅なアップデートが行われました。iOS 15では、ユーザーの状況に合わせた通知管理のカスタマイズや自動返信が可能になるようです。例えば、仕事中、運転中、睡眠中で通知の有無やスタイルを変更するなどです。
また「メッセージ」は、「WhatsApp」を上回るものを目指しアップデートが進められている、との情報も。
この他、iOS 14で搭載されたウィジェットの機能やプライバシー機能の更なる強化、「ヘルスケア」の食事記録機能、コントロールセンターの再設計、二重の生体認証、などのアップデートがウワサされています。
iPadOS
昨年、iOSには搭載されてiPadOSにはされなかった機能、ウィジェットやAppライブラリが、ようやく実装されるようです。またiOS 15の予想と同じように、通知機能の強化、メッセージのアップデートなども含まれると考えられ、iPadOS誕生以来の大幅な更新になりそうです。
また、先月「Global Accessibility Awareness Day」に合わせて発表されたプレスリリースでは、「iPadが他社製の視線追跡ハードウェアに対応する」ことが述べられています。このあたりは対応デバイスを用いたデモが期待できそうです。
watchOS
同じプレスリリースにおいて、Apple Watchをハンドジェスチャで操作するアクセシビリティ機能が公開されています。手を握ったり、指先を合わせたり、手首を傾けたりする動作で、タップや選択、スワイプなどの動作が可能になります。
この他の詳しい情報は出回っていませんが、新型Apple Watchについては血糖値の計測機能が以前から期待されています。また、現在最も低価格で販売が継続されているApple Watch Series 3への対応も注目されます。
tvOS
今年5月に新型Apple TV 4Kが発売されましたが、M1搭載iMac・iPad Proの影に隠れて存在感は薄め。新OSについても情報はほとんど出回っていません。
あるとしたら、現在tvOSをベースにしているHomePodが、独立して「Home OS(仮)」を搭載する、またはApple TVとHomePod向けにHome OSとしてリニューアルされるのでは、という話も。モニター付きHomePodもウワサされているので、あるいはあり得るかもしれません。
MacBook Pro 14インチ/16インチ
事前情報が大量に出回っていた近年のイベントに比べて、今回は秘密が守られている部分が多いようですが、そんな中で確実視されているのがMacBook Pro 14インチ/16インチモデルです。
最新のiPad Pro 12.9インチと同じく、通常のLEDより高輝度・高コントラストを実現するmini-LED搭載。さらに現行のM1より高性能な次世代チップが搭載されるのではないか、とのウワサです。
HDMIポートとSDカードスロットを搭載し、M1搭載iMacのように四角くフラットなフォルムになるとの見方も。iPad ProやiPhone 12の流れから見ると、これはありそうな流れです。
また、Mac mini、Mac Proについても期待の声が出ていますが、世界的な半導体不足の影響により、今年下半期のハードウェアの供給が不安視されています。
iPad(第9世代)/iPad mini(第6世代)
無印iPadとiPad miniも、今回の発表に含まれるかどうかは不明ですが、近日中の発売が確実視されています。最新のiPad ProがM1搭載、iPad AirがA14 Bionic搭載であるのに比べ、やや遅れてたモデルです。ここで足並みがそろえば、iPadOSに何か大きな新機能を追加することも容易になると考えられます。
デザイン的には、iPhoneやiMacの流れと同じく側面がフラットなフォルムが採用されるのが順当です。そうなると、ついに正面に配置されたTouch IDボタンとLightningコネクタがiPadから消滅することになるわけです。iPhoneに先駆けて実現されるのか、注目です。
AirPods/AirPods Pro
AirPods(第3世代)、AirPods Pro(第2世代)も昨年から登場がウワサされていました。コロナ禍で出歩く機会が減ることによる需要の落ち込みを見込んでローンチが延期されたのではないか、との見方もあります。
新しいAirPodsは、ステム(軸)が短くなり、ケースの形状も大幅に変更される模様。AirPods Proは、ステムがなくなり、モーションセンサーが搭載されるのではないか、との情報があります。ただ、発表の場としてWWDCである意義は薄いので、発売されるとしても基調講演に盛り込まれるかどうかは微妙なところです。
新カテゴリ、MRヘッドセット?
以前からAppleが開発中と見られている「複合現実(MR)」のヘッドセットが、そろそろ出るのでは? との話が今回も再燃しています。ARやVRを利用するためのディスプレイ装置で、まずは大型のゴーグルのようなヘッドマウントディスプレイ、後に軽量のメガネ型が計画されているとのこと。
iPhoneやiPadの性能的にも外堀が埋まってきたところ。Apple Watchで紹介されたハンドジェスチャ操作も、MR上での応用を予感させます。また、コンテンツ開発の必要性を考えるとWWDCでの発表も不自然ではありません。
もし発表されるとしたら、Appleにとっては新カテゴリのデバイスになります。2014年9月のApple Watch発表以来となる「One more thing...」を聞くことができるかもしれません。