米国時間6月22日、Appleは初のオンライン開催となったWWDCを開幕。その基調講演にて、この秋リリースされる予定の「iOS 14」についても数々の新機能が紹介されました。アプリの使い方に大きな変化が訪れるかもしれません。

  • 基調講演の動画はスティーブ・ジョブズシアターから始まり、これまで見たことがない本社「Apple Park」の様々な場所からの映像を見ることができました。日本語字幕にも対応

ホーム画面が大きく刷新、カギはAppライブラリとウィジェット

まずはホーム画面の大きな機能追加です。今のホーム画面、何枚ありますか? 使いたいアプリはすぐ見つかりますか? そんな状態が大きく変えてくれそうな機能が2つあります。

ひとつは、アプリをカテゴリ別に自動で一覧表示してくれる「Appライブラリ」です。これは、iPhoneに入っているアプリを自動で分類しフォルダ表示してくれるものです。ホーム画面の一番最後(右側)に追加されます。

  • Appライブラリの画面。「おすすめ」「最近追加されたもの」「ソーシャル」「Apple Arcade」など、カテゴリ別にフォルダで表示。タップしてアプリを起動、フォルダを開けばリスト表示されます

  • 使わないホーム画面は非表示にすることが可能に。Appライブラリへのアクセスが近くなります

もうひとつは「ウィジェット」の強化です。これまで特定の画面にしか置けなかったウィジェットがホーム画面のどこにでも配置可能になり、表示もよりリッチになります。

さらに、同じ場所にウィジェットを重ね、切り替えて使える「スマートスタック」機能で、スペースを効率化しつつ必要な情報を適切なタイミングで活用することができます。

  • ウィジェットはアプリの機能の一部を常駐させる小窓のこと。ホーム画面に常駐させることで、アプリを開かなくても情報にアクセスすることができます

  • 複数のウィジェットを1つのエリアに重ねておけるスマートスタック機能。時刻や位置情報に合わせて、適切なウィジェットを表示してくれます

使用頻度の高いアプリはホーム画面1〜2枚目にウィジェットで配置、たまに使う程度のアプリはAppライブラリから開き、ホーム画面は非表示にしておく…といった形で、操作の効率化が色々と工夫できそうです。

使いたいその時だけダウンロードする「App Clip」

もうひとつ注目したいのが、アプリの新しい使い方「App Clip」です。これは、必要な時に必要な機能だけを即座に使うことができる、いわばアプリの"一時利用形態"と言えるものです。

WebサイトやQRコード、NFCチップ、またAppleが新たに設計したApp Clipコードなどから利用することができます。Apple IDでのサインインや、Apple Payでの支払いも可能です。

  • あらかじめアプリを持っていなくても、予約確認や支払いなど、必要な機能だけをその場で利用できる「App Clip」

  • 独自のアプリを持っていない小規模店舗などは、大手グルメサイトなどに掲載された店舗情報へのアクセスも

一時の利便性のために、そんなにいくつもアプリをダウンロードする気にはなれないものですが、この仕組みならそのハードルは低そうです。また、使用済みのApp ClipはiPhone本体には残りませんが、継続的に利用しそうなものがあれば、Appライブラリの使用履歴からアプリ本体(Clipでない)を入手できます。

マップやメッセージなど、細部のアップデート

この他に追加されたいろいろなアップデートをピックアップしてご紹介します。

  • 「メッセージ」では、スレッドをピンで上部に固定する機能、グループメッセージで特定の人や発言に返信する(メンション、インライン)機能などが追加されます

  • 再生中の動画を、ホーム画面や他のアプリを使用中に画面の一部で再生できる「ピクチャ・イン・ピクチャ」に対応

  • Siriは使用中のアプリやホーム画面を遮らない形で起動し、実行や情報表示もコンパクトに。また内容的にもより多くの質問に答えられるようになります

  • Siriの翻訳機能を会話に最適化した形で利用できる「翻訳」アプリを追加。翻訳はオフラインで行われます

  • 「マップ」では自転車用経路やEV対応の経路表示機能を追加。店舗や施設の情報に外部リソースを活用し、より充実した情報を提供します。日本国内での提供は未定

  • iPhoneが車のキーに。近づけてロック解除、iPhoneが車内にあるとエンジンスタートができます。メッセージでキーを送信して、貸し借りも可能。2021年にBMWから発売されるモデルに搭載される予定です

  • 地味に便利そうなのが、AirPodsのシームレス切り替え。動画、音楽、電話など、その時に使用中のデバイスに自動的に接続を切り替えてくれます。音響性能もより立体的に