去る6月3日(現地時間)、AppleはWWDCの基調講演にてこの秋リリースされる「iOS 13」のプレビューを発表しました。iPhoneの機能、使い勝手はどう変わるのでしょうか。また、iPad向けに独立した「iPadOS」が新しく登場することも大きなニュースでした。発表内容をざっくり振り返ってみましょう。
見た目が大きく変わる「ダークモード」
iOSは、2013年にiOS 7でフラットデザインに変更されて以来、ビジュアル面で大きな変更はありませんでした。久しぶりに来た大きな変更は、基本のインタフェースを「白/明るいグレー」から「黒/くらいグレー」へと変える「ダークモード」の搭載です。マップやメッセージ、カレンダーなども黒ベースでガラッと印象が変わります。
暗い場所でも目に優しい、といった説明がなされていますが、カッコよさで好む人も多いのではないでしょうか。先行して搭載されているmacOSのダークモードも好評のようです。
カメラのスペックはどうなる?
次のiPhoneでの進化が注目されるカメラ機能。噂の3レンズになるのでしょうか。OS側ではポートレートモードのライティング機能が強化され、照明の位置を変えられるようになるとのこと。被写体との距離を光学的に測った上でシミュレーションしているのであれば、これに対応するハード側にどんな機能が搭載されるのか、期待したいところです。
また、写真アプリも進化して自動的に過去の写真を整理したり、思い出を発掘するような機能が追加されます。しばらく大きな変化のなかった編集機能もアップデートされ、より多機能になる模様。補正・加工はサードパーティ製が当たり前になっている状況に、純正の存在感を示すことはできるでしょうか。
各種アプリのアップデート
各種純正アプリの変更をチェックしてみましょう。「マップ」はいろいろと改善が続いていたものの、一時期の遅れの印象を十分に拭えずにいましたが、今回は実際の走行データから収集した詳細情報やストリートビューのような表示に対応。現在は米国の一部に対応していますが、2020年には他の国でも提供が開始されるという発表でした。
「リマインダー」は地味に改良が続いていたアプリですが、iOS 13では見た目から大きくアップデートされます。元々のポテンシャルの高さは間違いないので、生活やビジネスをより強力にサポートする存在になることが期待されます。
発表会で会場がかなり湧いたテーマのひとつが、「Sign in with Apple」です。Webサービスなどでよく利用されている「Facebookでログイン」「Googleでログイン」などのログイン連携にApple IDが対応します。メール認証が必要な場合は本来のメアドを隠して仮のアドレスで認証が可能など、セキュリティ面での特色が強くアピールされました。また、アプリが位置情報を使う際の制御がより強化されます。
全体としては「より速く」
iOS 12の発表において非常に大きくアピールされた「高速化」は、今回も最初に紹介されたポイントでした。システム全体の最適化による高速化の他、App Store上のアプリの容量が最大50%小さくなり、アプリの起動が最大2倍速くなる、という点はかなり驚いていいのではないでしょうか。なお、iPhone 5sとiPhone 6シリーズは今回のアップデート対象から外されています。
iPadOSでiPadはよりパソコンらしく
同じiOSでもiPadだけで使える機能はこれまでもありましたが、デバイス的に使い方の違いが明確になってきた現在、iPad専用のOSが独立して提供される形になったのは、納得の話。iPad独自のホーム画面やマルチタスキング、ジェスチャ、デスクトップ版に対応したSafariなど、パソコン的な使い方をサポートする機能が数多く追加される模様です。
iPhoneの大型化によってiPadとの住み分けがしにくくなるのでは、という見方もありましたが、これでコンセプトの違いが明確になりました。Macの代わりにiPad、という選択も比較的広い範囲で可能になっていくでしょう。