9月12日(現地時間)、米Apple本社のスティーブ・ジョブズ・シアターにてスペシャルイベントが開催され、新しい3機種のiPhoneが発表されました。今回は、この新しいiPhoneの特徴についてご紹介します。

3つの新機種、昨年のモデルと比較してみると

すでに報じられている通り今回発表されたのは、5.8インチ画面の「iPhone XS」、6.5インチ画面の「iPhone XS Max」、そしてカラー豊富な「iPhone XR」の3機種です。大きな特徴はどれも全面ディスプレイでFace IDを搭載、ホームボタンのないベゼルレスデザインになっていることです。では、ざっくりとそれぞれの特徴を見ていきましょう。

  • 9月12日に行われたスペシャルイベントで、iPhoneの新機種が発表されました

iPhone Xの後継機「XS」は2サイズ展開

「iPhone XS」は、外見がiPhone Xと瓜二つであるだけでなく、サイズから価格設定まで同じという、Xの生まれ変わりのようなモデルです。その大型版となる「iPhone XS Max」は、iPhone 8 Plusとほぼ同じサイズ。しかし全面ディスプレイのため画面はぐっと大きく、iPhone史上最大となる6.5インチという大画面が特徴です。

  • iPhone XS/XS Maxと、iPhone 8 Plusのサイズ比較。画面サイズは大きい順にXS Max>XS>8 Plusとなります

この2機種は、色再現性が高く薄型化が可能なOLED(有機EL)を採用した全面ディスプレイに、Face ID搭載、2レンズカメラと、iPhone Xの特徴をそのまま引き継いでいます。大きな変化としては、大型版が出たことに加え、新しくカラー展開にゴールドが加わったこと、ストレージ容量512GBのモデルが登場したことです。

こちらは日本を含む30カ国以上で9月14日より予約開始、9月21日に販売開始となります。

廉価版(?)の「XR」は6色展開

「XS」シリーズより廉価なモデルとして発表された「iPhone XR」は、かつてのiPhone 5cのようなカラフルなラインナップが特徴。XSシリーズと同じ全面ディスプレイとFace ID対応で、本体は8 Plusより小型ながら6.1インチの画面を搭載しています。

  • 航空機グレードのアルミニウム素材に、鮮やかな7色のカラー展開のiPhone XR

この他、カメラが1レンズであること、またディスプレイがXSシリーズとは異なりLCD(液晶ディスプレイ)であることが大きな違いです(OLEDの方が表示の美しさや薄型化において有利ですが、高価です)。

こちらのお目見えは少し先で、10月19日より予約開始、10月26日より販売開始となります。

それぞれの概要と価格をまとめたものがこちらです。参考までにiPhone 8 Plus(販売中)と、iPhone X(取り扱い終了)も比べてみました。

  • 価格を見ると今年のモデルはほとんどが10万円オーバー。高級路線がはっきりしていると言えるでしょう

"見えないところ"が大きく違う、A12 Bionicチップ

さて、iPhone XとそっくりさんのXSシリーズですが、もちろんカラーと容量以外変わっていないわけではありません。中身をみると、かなり賢く、効率的になっていることがわかります。その決め手は、スマートフォンの心臓部といえるチップの存在。このチップの性能によって、アプリを動かしたり3Dゲームを描写したり、といったスマートフォンの能力が決定づけられます。

  • 複数人で連携プレイができるARゲーム。目の前の空間に下層の3D物体を描画します。これには相当な能力が必要です

チップの性能は年々高くなっていて、今回発表された3機種に搭載された最新世代は、iPhone Xに搭載された世代と比べて最大15%高速化、消費電力は最大50%少なくなっています。特に3Dなどのグラフィック性能は大きく向上。大画面・ハイスペックを求められる昨今のスマホゲーム事情に対応したアップデートと言えるでしょう。

また、機械学習の演算処理が毎秒6,000億回から最大で毎秒5兆回と飛躍的に拡大しています。ARや機械学習(人工知能)を組み込んだアプリがよりスムーズに、効率よく動作することが期待できます。

  • ポートレートモードで撮影した写真。背景のボケ具合を、撮影しながら、あるいは撮影した後からでも調整することが可能

ちょっと変わった「写真」の新機能も、その能力を生かしたものです。iPhone Xにも搭載されていた「カメラ」のポートレートモードに新たに追加された機能なのですが、撮影した後から背景のボケ足(被写界深度)を調整できるというというものです。カメラ機能の進化も、チップに依存するところが大きくなっているのです。

  • 動画の撮影も、明所・暗所のディテールまでより細やかに。XSとXS Maxでは、内蔵の4つのスピーカーでステレオ録音が可能です

機種変するなら選ぶべきは……?

スペシャルイベントでは、iPhoneのパートにおいてこのチップの説明に多くの時間が割かれました。かつてのようにスマートフォンに新たな価値を作るというよりは、今まさにヘビーユーザーに求められる価値を充実させたというのが、今回の発表会を見た印象です。FPSをがっつりプレイするような方ならば、iPhone XS Maxはまさにハード面で優位に立つための選択となるでしょう。

逆に、SNSやライトなソーシャルゲームを楽しむ程度の方であれば、必ずしも新機種を選ぶ必要はなく、ラインナップに残されたiPhone 7/8シリーズも十分に選択肢となります。また、もし新機種から選ぶのであれば、同じ最新のチップを搭載しながらやや価格を抑えたiPhone XRが、お買い得なモデルと言えるかもしれません。