この秋にリリースされる予定のiOS 12について、使い方に大きな影響を与えそうな機能をピックアップしてご紹介してきました。最後となる3回目は、iPhoneをよりスマートに使いこなすためのアシストをしてくれる「Siri」の進化と、新しい「ショートカット」機能です。現在は限られた操作にしかSiriを使っていない方にも、今回のアップデートで大きな変化が訪れるかもしれません。

アプリに触れずに、やりたい操作をひとことで完了

Siriはこれまで、サードパーティ製のアプリを開くことはできても、アプリ上の操作まではしてくれませんでした。しかし今回の発表会で披露されたデモは、特定のフレーズを登録することで指定したアプリ上の操作が可能になるというものでした。

  • なくしやすいモノに専用タグを取り付けておき、見つからないときにアプリからBluetooth接続でタグを鳴らすことができる「Tile」。例えば鍵にタグをつけてTileに登録する際、同時にSiriに「I lost my keys」というフレーズを覚えさせておきます

  • 鍵をなくした際、Siriに「I lost my keys」と言うことで自動的にTileで鍵のタグを鳴らしてくれます

また、iPhoneで日頃から定番で行なっている操作を「やっておきますか?」と提案することも可能に。例えば、出勤の時間に電車の遅延情報を調べる、ジムに行ったらトレーニングアプリを開始する、といったことを自動的に提案し、ロックスクリーン上で操作を全て済ませる、ということが可能になると思われます。

  • いつも出勤途中にオンライン注文しているコーヒーショップのアプリが、その時間帯になると自動的に「◯◯を注文しますか?」と提案する様子をデモ。アプリを開くことなくロック画面上で注文が完結します

さらに、状況に合わせた具体的な提案もしてくれます。例えばカレンダーに友達と会う予定が登録してある時間なのに位置情報が予定の場所から離れている場合、「友達に『遅れます』とメッセージを送りますか?」とか、Walletに映画のチケットが入った状態で劇場に足を運ぶと「おやすみモードにしますか?」など、iPhoneに登録された情報や位置・時刻などから必要な操作を察して用意してくれるというものです。

  • ホーム画面1枚目のさらに左側にあるウィジェット画面。検索窓をタップすると、Siriが自動的にピックアップした「やること提案」を表示してくれます

Siriは、実はこれまでもひっそりと時間帯や場所に合わせて使われそうなアプリを提案してくれていたのですが、それ以上に主張することはありませんでした。対応機能が搭載されたアプリであれば、今後はここまで"先読み"した振る舞いができることになります。

あれもこれも、一度にまとめてやってくれる「ショートカット」

iOS 12では、Appleが提供するアプリとして新しく「ショートカット」というものが追加される模様です。これは複数のアプリの操作を1つのセットとしてまとめて登録しておき、あらかじめ設定したフレーズをSiriに指示することで、それらの操作をまとめて自動的に実行してくれるというものです。Excelでいう「マクロ」のようなものと考えるとよいでしょう。

  • 「ショートカット」アプリ。開くと「ギャラリー」タブにはダウンロードしてすぐに使えるセットの例が。「ライブラリ」には自分が使うセットを登録しておくことが可能です

デモで披露されたのは、Siriを起動し「Headding Home(家に帰る)」と言うと、「帰宅までにかかる時間を調べ、家族に『◯時に帰ります』とメッセージを送り、自宅のエアコンとファンをオンにし、ラジオアプリを開いて再生し、マップで自宅までのナビゲーションを開始」という複雑な操作を自動的に行うというものでした。

  • ショートカットは自分で編集することが可能。使いたいアプリをドラッグ&ドロップで追加することができます

  • Siriに「Headding Home」とひとこと言うだけで、セットに登録した操作を一気に自動で行なってくれます

様々なアプリをヘビーに使っている人ほど、ショートカットを活用する恩恵は大きくなりそうです。iPhoneに物理的に触れる時間が少なくなるかもしれませんね。音声アシスタントとして誕生しこれまで少しずつ成長してきたSiriですが、iPhoneを使うという行動を本質的にサポートする存在として、新たな進化を始めたと言えるでしょう。