6月5日(現地時間)、米Appleは同社が開催する開発者向けイベントWWDCの基調講演において、iPhone/iPadの次期OS「iOS 11」を発表しました。今回はプレゼンテーションに沿って、新たに追加・改良された機能をご紹介しましょう。

Apple Payで個人間の送金が可能に

2時間以上に及んだ基調講演の中で、かなり時間を割いて紹介されたのが、新型iMac、iPad Pro、そしてiOSでした。iOS 11の大きな新機能として挙げられた、12個のポイントを見ていきましょう。

ソフトウェアエンジニアリング担当シニアバイスプレジデント クレイグ・フェデリギ氏がデモを交えながら12の新機能を紹介

(1)メッセージ

昨年のiOS 10において、メッセージ上で他のアプリの一部の機能を共有したり、LINEスタンプのようなステッカーを使える「iMessage App」が導入されましたが、iOS 11ではそのインタフェースを更新。よりアプリやステッカーを選びやすくなります。

とはいえ、iMessage Appそのものがどの程度使われているのかは不明

(2)Apple Pay

そのiMessage Appに、「Apple Pay」が追加されます。メッセージアプリ上で、他のApple Payユーザーと支払いをやり取りできるというもの。メッセージ上のApple Payアプリを使い、Touch ID認証で送金。受け取った人は、その金額をApple Payの支払いに使ったり、自分の銀行口座へ送金することができます。

電子マネーの読み取り機等が必要ないので、ICチップを搭載していないiPhone(iPhone 6sシリーズ/6シリーズ/SE)でも利用できる可能性があります。もしそうなら、電子マネー割り勘がかなり使えるものになってくるかも? しかし、日本国内で提供されるかどうかはまだ不明です。

アプリ上で簡単に送金・受け取り。どうやら「Apple Payキャッシュ」というバーチャルなカードがWalletに追加され、そこに入金される模様

(3)Siri

Siriのボイスがさらに改良され、より自然な抑揚に。また、一部の言語については翻訳もサポートします。さらに、利用者の興味・文脈・どのようにiPhoneを使うか等の情報から、次に何が必要かを先読みして、リクエストの回答やテキスト入力の変換候補、「ニュース」アプリのトピックなどを制御します。

Siriは、アプリをまたいでiPhoneの機能を丸ごと利用者に最適化するエージェントに進化

(4)カメラと(5)写真

カメラは静止画・動画ともに保存に新しいフォーマットが採用されることで、より高画質・低容量での保存が可能に。ストレージの節約に貢献してくれます。また「写真」アプリでは、数秒の動画を含んだ「ライブフォト」の編集に対応。「メモリーズ」機能ではテーマごとにPVのようなスライドショーを自動で作成。画面の縦位置・横位置に自動で合わせ、最適なトリミングで見せてくれます。

iPhone 6sシリーズから搭載されたライブフォト。キーフォトを選択したり数秒の動画の作成ができるように

(6)コントロールセンター

コントロールセンターがようやくカスタマイズに対応。アラーム、Waller、メモなどの機能を追加したり、位置を変更することが可能です。また、各ボタンを3D Touchすることで、より多くの機能を使うことができます。

デザインを一新。「設定」に入っている機能や一部のアプリなど、ボタンの編集も可能に

(7)マップ

一部の都市で、ショップングモールなど建物内のマップ表示に対応。東京も含まれています。米国を中心に約30の空港についても、同様にチェックインやセキュリティゲートの位置などを表示します。

フロア内の店舗の位置やレストランの情報なども表示。東京はどこまで対応してくれるのでしょうか

(8)

昨年11月、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)はスマートフォンのメーカーに対し、運転中の操作に機能制限を設けるよう要請。iOS 11では「Do Not Disturb While Driving」として、いわゆるガラケーに搭載されていた「運転モード」のような機能が追加されることに。運転中は全ての通知が保留され、自動返信であらかじめ登録したメッセージを送ることができます。

(9)ホームと(10)AirPlay 2

「ホーム」アプリで操作できる機器のカテゴリにスピーカーが追加。「AirPlay 2」規格に対応したスピーカーであれば、Wi-Fi経由でiPhoneから複数のスピーカーを操作できるようになります。家中のスピーカーから同じ曲を流すことも可能。また、「ホーム」に関連するアプリのための開発者ツール「HomeKit」では、機器のペアリングがより簡単になるなど、導入を容易にする機能が提供されます。

(11)ミュージック

現在2,700万人の有料会員を持つ音楽サービスとなった「Apple Music」。友達が最近聞いている音楽が「For You」に表示されたり、プレイリストをシェアする機能を追加。また開発者向けのツール「MusicKit」を提供し、サードパーティー製アプリからApple Musicに直接アクセスが可能に。レコメンドや検索なども提供できるようになります。

サードパーティー製アプリからApple Musicが使用可能に。音楽を聴く方法がさまざまな形に広がるかも

(12)App Store

iPhoneの誕生以来、常に共にあったApp Storeが大幅にリニューアルされることに。新たに設置される「Today」タブでは、独自の記事とともにゲームやアプリを日替わりでピックアップ。テーマごとのおすすめや使い方紹介といったコンテンツを通して、アプリとの新しい出会いの形を提供するといいます。この他、「ゲーム」「アプリ」タブを独立して設置。個別のアプリのページも刷新され、プレビュー動画は3本、画像は5枚まで掲載が可能になっています。

タブも一新。ほぼ1画面1情報の単位で、スクロール・タップ・スワイプによってどんどん表示を切り替えていくデザインに

以上、基調講演で紹介されたiOS 11の新機能でした。なお、一部機能については日本国内で提供されるかどうか明らかになっていません。また、これ以外にもiPad専用の機能として「ドック」「Filesアプリ」「ドラッグ&ドロップ」などの機能が追加されています。一般の人が利用できるパブリックベータ版は今月下旬よりこちらのページで提供開始。製品版は今秋以降の提供予定となっています。