第36回 本気で仕事に使えるか、iPad Pro 現場で使ってみる
しばらく間が空いてしまっている間にiPad Proの9.7インチが出るとかいう噂が広まっていて、「いかん、まだ全然元取れてねぇ!」と焦るiPadian。いやまだまだ使っていきますよ。
さて仕事でも使いたいiPad Pro。実際に取材現場で使えるものだろうか。今回は先月開催されたカメラと写真映像のワールドプレミアショー「CP+ 2016」の会場にiPad Proを持ち込み、iPad Proだけで原稿を書いて入稿までできるものか試してみた。
まずはテキスト入力
まず文章を書く環境をどうしようかと考えた。記事を書くための取材ノートはEvernoteに書き込んでいたのだが、これをある程度参照しながら書きたい。iOSの場合は1画面1アプリが普通だったけど、最新のiOS 9からはスプリットビューが使えるようになった。そうか、これでアプリを2画面表示して書けばいいんだ!と。
しかしスプリットビューはパソコンと違って「同じアプリを2画面表示できない」。つまりEvernoteのある画面を参照しながら同じEvernoteに原稿を書くってことができないんですな。仕方ないので文章を書く側は普通に「メモ」アプリにすることに。
日本語入力はデスクトップで鍛えたATOKを使えばそれなりに鍛えた辞書が使えるはず。
ということで取材内容やWebサイトの情報を確認しながら記事を書いていったのだけど、やっぱりいろいろと不自由なこともあり。……例えばテキストを書くときは幾つか表示された変換候補をタブキーで選択して確定することが多くなるのだけど、iPadではこれができない。ついタブキーを押してしまって変換されないまま残ってしまったり。また最近のMacは変換時にスペースキーを押さなくても変換される「ライブ変換」が使えるのだが、つい同じ感覚でキーボードを触っていると変換されてなくて迷ったり。これらはもう慣れの問題だと思うのだけど、ある程度は同じ動きをして欲しいところだ。時期iOSではライブ変換が実装されるという噂もあるので期待したい。
またカーソルキーをマウス的に動かせないのはやはり不便。いちいちApple Pencilに持ち替えてカーソルを動かすというのもちょっと違う感じ。Smart Keyboardにトラックパッドが付いてればいいのに……。
ということでかなり四苦八苦しながら最初の原稿を書き上げたのだった。
写真加工はどうしよう
さて次は写真加工。写真の取り込みは無線カードのFlash Airを使うことに。これは撮影した写真を無線LAN経由でiOS機器に取り込むことができるもので、Flash AirのWi-Fiをつかんで専用アプリを使うことで取り込める。
取り込まれた写真は「写真」アプリに入るので、さらにAdobe Lightroomに送って加工。「写真」アプリはトリミングと簡単な加工はできるけど、やっぱりしっかりした加工がしたい場合にはLightroomを使いたい。
こうして記事用の写真を加工して準備完了……というところではたと気が付いた。ファイルを一つにまとめることができねぇ(泣)。
普段、記事を入稿するときは、テキストファイルと写真を何点かを圧縮して一つのファイルにして送るようにしている。しかし、iOSには基本的にファイルの概念がないので、取り出してまとめられないのだ。ということはそれぞれのファイルを個別に送らなきゃいけないってこと? そ、それはちょっと……。
結局、ここで諦めてMacBookでファイルを扱うことに。幸いなことにメモアプリはiCloud経由で、LightroomはAdobe Creative Cloud経由でMacBookに同期できる。
MacBookでそれぞれのファイルを取り出して、ファイルをアーカイブ。Dropboxにアップして入稿を完了。
ふー……って、MacBookでやる方が楽なんじゃね? ってそれは言わない約束ってやつですね。結局、この後の記事は時間も迫っていたのでMacBookで書くことになりましたとさ。
とりあえず現場に持ち出したiPad Proだが、「できるけどやっぱりMacの方が楽だな」というのが結論だ。いや、我慢して使い続ければもっと慣れてスムーズにできるようになるかもしれないし、入稿ルールもiPad Proでできる形にすればいいのかもしれないけど。やっぱりある程度、用途を選ぶかなぁ。うーん、もう少し考えていきたい。