第24回 iOS 9で進化するiPad

9月16日に提供が開始されたiOS 9。iPadianも公開と同時にインストールした。普通に使う分には大きく変わっているところはないように思えるが、実はiOS 9でiPadは大きく進化しているのだ。

マルチタスクでアプリを同時起動可能に

まずもっとも大きなポイントは、マルチタスキングの方法の変化だろう。これまでiOSではひとつの画面に1つのアプリが表示され、他のアプリと組み合わせて使う場合にもいちいちタスクマネージャーで切り替えて表示する必要があった。しかしiOS 9からはアプリを2つ同時に表示できるようになり、表示方法が変化している。

まず「Slide Over」という方法は、例えばSafariでWebを閲覧中に着信したメールを確認するのに画面を切り替えることなく、右端にメールを表示して確認、返信ができる。引き出すには画面の右端からスワイプする。

右端からスワイプするとアプリが表示され、使っているアプリを閉じることなく参照利用が可能になる

アプリの切り替えは上にある「-」を下向きにスワイプ。すると起動できるアプリがアイコンで表示され、タップして選択できる。

表示上部の線を下向きにスワイプすると、他のアプリのアイコンが表示され、タップして選択、切り替えができる

「Split View」はさらに一歩進んで、画面を2分割して表示できる機能。Slide Overで表示した部分に縦棒が表示されているときに、この部分をスライドさせると画面にアイコンが表示される。これで画面の分割サイズを決定すれば、2画面で違うアプリを起動して作業ができる。例えば右画面で写真を加工して共有ボタンで画像をコピー、左画面のメールに画像を貼り付けるといった使い方が可能だ。

Slide Overのアプリにこの表示があるとき、その部分を掴んで移動すると、画面が次のようになりサイズを調整

画面が2分割され、それぞれでアプリが利用できる

Split Viewはそれに対応するアプリが必要で、対応していないアプリの場合は縦棒が出てこないので注意しよう。

もうひとつは「ピクチャ・イン・ピクチャ」という機能で、これは例えばFaceTimeを使っているときにホームボタンを押せばビデオ画面が小さくなってディスプレイの隅に移動するというもの。Huluはすでに対応しており、再生中の映画を閉じることなく他のアプリを起動できる。

Huluで映画を見ながらSafariで調べ物といった使い方が可能になった

キーボードも変更になった。キーボードで2本指でタッチするとカーソルが利用でき、範囲指定などがしやすくなっていたり、ショートカットバーで書体の変更やコピーペーストなどの機能が使える。また外付けキーボードではキーボードショートカットも有効になっている。

キーボード上を2本指でなぞるとカーソルが利用可能に

書体の指定やコピーペーストなどの機能がショートカットバーに表示される

他にも、フォルダのサムネイル表示が16個に増えていたり、通知の表示が見やすくなったりと、iPad向けの機能向上が見られる。

そのほかのiOS 9の機能も利用可能

もちろんiPad独自の機能だけでなく、iOS共通の機能も利用できる。例えばSafariでWeb閲覧中に広告表示をカットする「コンテンツブロッカー」は、これに対応するアプリをインストールすることで利用可能になる。

Safariで「iPhone」で検索すると、一番上に「広告」と表示されているものがある

コンテンツブロッカーを有効にするとこれが消える

App Storeで「Contents Block」などで検索すると、有料、無料のものが表示されるのでこの中からインストール。[設定]-[Safari]の中にある「コンテンツブロッカー」でアプリをオンにすれば、Googleの検索時に広告表示などがカットされるようになる。

App Storeで「Contents Block」で検索すると対応アプリが表示される

アプリを起動し、設定を有効にすればコンテンツブロックが反映される

検索はこれまで以上に細かな検索が可能になり、アプリ毎に設定が可能になった。

[設定]-[一般]-[Spotlight検索]でアプリ毎に検索結果を表示するかを指定できるようになった

Siriもこれまで以上に賢くなり、また電源接続時であればホームボタンを押さないで話しかけるだけで、Siriを呼び出すことができる。

[設定]-[一般]-[Siri]で「"Hey Siri"を許可」にチェックを入れると、電源を接続した状態でホームボタンを押さなくてもSiriが呼び出せる

他にもいくつかの機能アップがあるが、全体的に大画面を活かして使いやすくなった印象だ。Microsoft OfficeなどはすでにSplit Viewに対応しており、仕事に使いやすくなったと言えるかもしれない。

アップデート対象機種は初代 iPad以外はすべて対応しているので(一部機能は制限あり)、ぜひアップデートしてみよう。