ワニブックスは、3月18日に『人生を1時間でチート化する 対人スキル20』(1,650円/神岡真司著)を発売した。本書は、対人関係の悩みを解消する全20のスキルを約1時間で読めるようにまとめられた一冊だ。

  • 『人生を1時間でチート化する 対人スキル20』(1,650円/神岡真司著)

著者は、ビジネス心理研究家であり、日本心理パワー研究所主宰の神岡真司氏。最新の心理学理論をベースにしたコミュニケーションスキル向上指導に定評があり、法人対象のコミュニケーショントレーニング、人事開発コンサルティング、セミナー開催などで活躍している。

今回はその中から、「部下を上手に叱るスキル」を抜粋。部下との関係に悩んでいる人、これから部下を持つ人はぜひチェックしてみてほしい。

■パワハラとは言わせない部下を上手に叱るスキル

なぜ「叱ること」が大切なのか?

近頃では部下を叱責すべき時に、「下手すりゃパワハラ呼ばわりされかねないから注意できないよ」――などと嘆く上司がいますが、考え違いも甚だしいのです。これは管理者である上司の責任逃れの言い訳であり愚痴にすぎないでしょう。

相手のよいところを評価して「ほめること」が、「お世辞」や「オベンチャラ」「ゴマスリ」などと違うように、「叱ること」は、「怒りをぶつけること」でもなければ「罵倒すること」とも異なります。いわんや、ストレス解消のはけ口でもありません。

職場の上司は、職場の規範を守り、生産性を向上させる責務を負っています。部下のミスやしくじり、怠慢といった行為を黙って見過ごすわけにはいかないのです。

ゆえに上司は、部下の失敗の原因を辿り、次にミスがないよう指導・督励する必要があるのです。その結果として、部下がやる気をもってチャレンジしてくれるようにすることが求められるのです。つまり、叱ることで部下を成長させるのです。

叱る時のルールとは?

ところで、「叱ること」は、「ほめること」よりも難しいものです。叱っているつもりが、怒っている状況になりやすいからです。感情的になると、「叱る」ではなく「怒る」です。これでは相手の共感を得られず、反感を募らせかねません。まずは、叱る時の「3つのルール」を心得ておきましょう。

①虎の威を借りない
「社長がこういうのは駄目だと言ってるだろ?」
「私でよかったな、部長が知ったら大変だったぞ」

②性格や能力に言及しない
「きみの性格が暗いから、こうなったんだよ」
「どこの大学を出たんだ? こりゃ中学生レベルだ」

③過去の失敗を持ち出す
「あの時の失敗もそうだったよな、どういうことだ」
「何回、オレの顔に泥を塗れば気がすむんだよ」

①は無責任な上司です。上司としてのプライドもメンツもあったものではありません。②は、部下の人格を踏みにじっているだけです。③は、卑怯なエンドレス攻撃です。ネチネチと部下をいたぶるのが習性のようです。

こんな事例は、タチの悪い上司が部下に「怒り」をぶつけているだけで、ミスや失敗を指摘される部下のほうも、内心では上司への恨みを蓄積するだけでしょう。叱る目的は、部下の行動を改善させ、その成長を督励することでなければいけません。

自分の行動に自信がなければ他人を叱れない!

正攻法で部下を叱るには、上司も確たる信念をもって、仕事に取り組んでいなければなりません。口先だけ偉そうに、上から目線で部下を叱責しても、部下が内心で「お前だって、いつも怠慢だろうが……」などと思われていたら、意味がないからです。

上司として、自らも「規範」を守り、日常的に、正々堂々と前向きに仕事に取り組んでいなければならないのです。叱る人の責任ある行動があるからこそ、部下を叱ることもできるのです。

叱る時のタイミングも大事

叱る時に大事なのは、タイミングです。基本的には、「常識」や「マナー」に反する行為は、その場で指摘して、改善を促さなければいけません。

「不可抗力であっても、少しでも遅れる時には、前もって連絡を入れなさい」
「きみの電話でのやり取りだけど、敬語の使い方を間違っていたよ。正しくは〇〇だよ」
「さっきの接客時のきみのうなずき方だけど、あれでは不躾でお客様に対して失礼だよ」

こんな具合に、具体的なポイントを短く指摘して、たしなめることが重要です。また、ミスの原因が根源的なところの場合には、時間と場所を変えて行いましょう。


書籍『人生を1時間でチート化する 対人スキル20』(1,650円/神岡真司著)

  • 『人生を1時間でチート化する 対人スキル20』(1,650円/神岡真司著)

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