お金の話の中でも、特に切り出しにくいのが「相続」問題。しかし、相続問題を放置したままでいると、いざという時、家庭内のトラブルにつながることもあります。また、「うちは資産家でもないし、相続は関係ない」と考える人も多いですが、相続は意外と多くの家庭に関わる問題です。
そこでこの連載では、『ぶっちゃけ相続』(ダイヤモンド社)の著者で税理士の橘慶太氏に、家族と一緒に相続の知識を身に付ける方法や相続のトラブル事例、最新の相続ルール変更について詳しくお話を伺います。第7回は、相続した「使い道のない土地」の対策について。
「使い道のない土地」は安価でも売却がオススメ
━━2024年の相続ルール変更に際して、注意点や想定されるトラブル事例があれば教えてください。
ルール変更というわけではないのですが、不動産の名義変更に関するところで、「相続で受け取ったいらない土地だけを国庫に返納できる制度」が新しく始まりました。
亡くなった方が山や林など、全く使い道のない不動産を持っていることが実はけっこう多いのですが、「誰もそれを相続したくない」という相談がとても多いです。 ただ、原則として、いらない不動産だけ相続を放棄するということはできません。 基本的に、その他の財産も相続するなら、いらない不動産も相続しなくてはならないんです。
そこで、相続していらなくなった土地だけを国庫に返納できる制度が始まりましたが、これは認められるためのハードルがなかなか高いです。それに、国庫に返納する時にこちら側が最低20万円、高いと100万円を超えるお金を払わなくてはいけないんです。
━━国庫に返納するのに、自分でお金を払わなければならないのはなぜなのでしょうか。
国としても、管理費のかかる不動産を引き取ってしまうと財政が悪化してしまうからです。すぐに転売できるような土地なら国も喜んで引きあげてくれますが、いらない土地というのは本当に使い道のない大変な土地であることがほとんどです。
しかし、そこを放置していると、実はけっこう大きな問題になります。 今から5、6年前ほど前、熊本県のある土地が相続のあと放置されたままになり、そこに生えていた木が倒れて下敷きになった人が亡くなってしまった、という事件がありました。
その事件では、遺族が熊本市と土地の所有者を訴えて、約5,000万円の損害賠償が請求されています。このように、「使い道のない土地」は放置すると大きな問題につながる可能性があります。適切な管理をするか、二束三文でもいいので、誰かしら買ってくれる人がいるなら売却することをオススメします。
『ぶっちゃけ相続【増補改訂版】 相続専門YouTuber税理士がお金のソン・トクをとことん教えます!』(橘慶太 著/ダイヤモンド社 刊)
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