独立・開業には勇気がいります。そして人それぞれの理由があります。もちろん稼ぐことを目的に開業する人もいるでしょう。しかし、それ以上に「思い」を持ってビジネスに取り組まれている人が大勢おられます。ここではそんな人々にスポットを当てて、独立・開業への思いや、新しい人生の価値観などを伺っていきます。
第14回は、長野県茅野市の自宅敷地内に、アトリエサロン「Motejewel(モテジュエル)」を開業、オリジナルアクセサリーの制作販売や、ハンドメイド起業講座などを開催されている、堀美智子さんにお話を伺いました。
きっかけは「自分の居場所探し」
――お勤めされていた期間が長かったのですね。
堀さん:はい、事務職の会社員を17年してきました。25歳で結婚、夫の実家で同居し、家庭と仕事を両立しながら、自分の居場所探しとして始めたのが「プリザーブドフラワー」講師の資格取得です。それが、その後の教室業のスタートにつながりました。
――家庭とお仕事に加えての資格所得は、かなりハードな印象です。
堀さん:“会社員長男の嫁”という立場から離れたくて、自分らしく生きるために始めたんだと思います。そんな中、長男を出産しまして、育休明けには会社に復帰するつもりだったのですが、その頃にリーマンショックが起き、会社に戻る席がなくなってしまったんです。それで退職を決意しまして。それまで副業でしていたプリザーブドフラワーの講師を本業にして、子育て中心の働き方をしようと決めました。
退職から4年後ですね、自宅敷地内に専用の離れ部屋を持てることになって、開業することになりました。
生徒さんが途絶えたときにやったこと
――副業とはいえ、資格を取って講師業をされていたことが、結果的に救いになったのですね。
堀さん:そうですね。でも、会社の退職金をほぼ使って改装したサロンが完成したその直後、生徒さんが途絶えてしまうということがありました。
それをきっかけに、それまでの“趣味の延長”気分を180度入れ替えて、商品やサービスの価格を見直し、来てほしい理想のお客さまを集めることに集中したんです。
やがて、教室業に加えて作品販売の機会にも恵まれて、年に3~4回、ギャラリーでの販売会をさせてもらうことになったのです。ただ、お客様が一巡すると、作品が売れなくなり、フラワーアレンジメントの作品やギフトだけでは限界があるなと感じ始めたんです。
――既に副業を進めていたとはいえ、本業としてのスタートがスムーズに切れたわけではなかったのですね。そこからアクセサリーの世界にも進まれたのですか?
堀さん:はい。販売会に来られたお客様が、花と一緒に販売していたアクセサリーのほうをいくつも買っていく、ということがけっこうありまして。「女性はやっぱりアクセサリーが好きなんだ」と。もともと私自身もジュエリー好きでしたので、ハンドメイドのアクセサリーに魅力をかんじるようになりました。そんな時にタイミングよく現れたのが、「グルーデコ®」でした。
自分が満たされると、人にも優しくなれる
――そうした紆余曲折を経てのサロン運営、堀さんを支えているものって何でしょう。
堀さん:仕事や家庭を離れて自分の好きなことをする時間は、誰にとってもすごく大切なことだと思うのです。自分が満たされていれば、家族にも他人にも優しくなれるじゃないですか。そんな場所を提供したいと思っていますし、今では、その場の癒しだけでなく、生き方そのものも充実させてほしいと思っています。
――堀さんの今後の展望などお聞かせいただけますか?
堀さん:9月1日から、あるオンライン習い事サービスで、動画レッスンをスタートさせていただくことになりました。子育てや介護、仕事で教室に通えない人たちでも、お家にいながら好きなハンドメイドを楽しんだり、新たなスキルを身につけたり、自分の世界を広げ、自分らしく生きられる、そんなきっかになれれば嬉しいです。
ほかにも、好きなことを仕事にしたい女性を応援するコミュニティづくりや、大人の女性がイキイキと生きられる社会の実現を目指していきたいですね。
――多くの女性が自分らしく活躍する社会、素晴らしい活動ですね。最後に読者の方にメッセージをお願い致します。
堀さん:少しの勇気と挑戦が、どんどん新しい世界に連れて行ってくれると実感しています。自分がいいなと思うことや、やりたいと思うことに気づき、やることを自分で自分に許可してあげて欲しいです。家族や他人のために自分を我慢させない生き方をしてほしいですね。