あなたは、家出をしたことはあるだろうか? 学校に行くのが嫌で、家で母親に怒られて……『家出』が頭をよぎった人、もしくは夜遅くまで家に帰らず親が探しに来たという人もいるかもしれない。そのように、『家出』と聞いて多くの人が幼い頃に記憶を遡らせたことだろう。しかし今、働き盛りの20~30代の『オトナ家出』が増加している。ここでは、調査実績44年の老舗で人探しに定評のある「原一探偵事務所」の探偵に、本当にあった『オトナ家出』の例について話を聞いた。
Case1:新社会人Aさん(20代前半)の家出
家出失踪人:Aさん(20代前半)
依頼人:両親
東京の大手企業に勤めるAさんは、休み明けの月曜日から会社に出社せず、3日経っても連絡さえつかないため、会社の上司が両親に連絡。両親は、その日のうちに探偵事務所に調査の依頼をした。
探偵は両親への聞き込み、一人暮らしの自宅調査を経て、自宅近辺の捜索を行ったもののAさんの姿はない。そんな中、家族から「京都の銀行ATMでお金を下ろしている」との情報を得て、京都へ急行。京都にある約1,000軒もの宿泊施設すべてへ足を運び、聞き込み調査を行った。そこで、Aさんと思しき人物が岡山へ向かったという情報を入手。さらに同地で山口に移ったという情報を得て、宿泊施設を捜索したところ居場所が判明した。
このままでは九州、沖縄とより西へ移ってしまう可能性が考えられたため、すぐに家族を山口へ呼び寄せ、Aさんと合流。家族の説得のうえ、東京へ戻ることとなった。Aさんは「仕事が辛く、とにかく現実から逃げ出したくて旅に出た」と話したという。
◎探偵コメント
「家出をされた方は、現実が嫌になって『遠くへ行きたかった』という人も多いです。目的地は、九州や沖縄など温かい西の方角を目指す方、逆に北海道や東北など寒い東の方角を目指す方に分かれます。後者の場合、目的地での自殺を視野に入れている方が多いのも特徴です」
Case2:会社員Bさん(20代後半)の家出
家出失踪人:Bさん(20代後半)
依頼人:妻
ある日、妻に「ちょっと出かけてくる」と言い、自転車に乗って出かけて行ったBさんは、そのまま2日間帰ってこなかった。心配になった妻は探偵事務所に調査を依頼した。
大きな荷物は持たず、所持金も限られていたため、遠方に失踪した可能性は低いと考え、探偵は自宅近辺の捜索に尽力。すると、自宅から数駅離れた場所にあるインターネットカフェにBさんが滞在していることが判明した。
家出対象者が見つかった場合、依頼人である家族を呼び寄せるのが通常だが、ひとつ問題があった。依頼者である妻は妊娠しており、出歩くことや精神的な負担をかけることが懸念されたからである。しかし、Aさんが見つかった旨を連絡すると「無事なのかひと目でいいから確かめたい」と話し、探偵同行のもとBさんが姿を確認。その後、1週間してからBさんは自宅に戻ってきた。
◎探偵コメント
「このBさんのように、もともと仕事で悩みを抱えていて、さらに奥様の妊娠といった他のプレッシャーや悩み要因が重なってしまった場合、耐え切れなくなって家出という道を選んでしまう方も少なくありません」
次回も引き続き、「原一探偵事務所」の探偵が実際に調査を行った『オトナ家出』の実例について紹介していきたい。