まるで官軍のように我が物顔でグラビア誌面を占拠するAKB48に圧倒されて、いまやグラビアアイドル界は崩壊寸前。ホームグラウンドを奪われ、新人が育成される余地が無くなり、高齢化の進行が止まらない。今回紹介する佐山彩香は、そんなグラビアアイドル界に久々に登場した10代の大型新人、超高校生級の逸材だ。
佐山彩香(さやま あやか) |
小さく愛くるしい童顔と豊満な肉体のハイブリッドという、まさにグラビアアイドルの王道。表面張力の限界までピチピチに張りつめた下半身の充実感は、デビュー間もない17歳の頃の優香を彷彿させて、早くも風格が漂っている。また、昨年夏のデビュー以来、活動はグラビアとDVDにほぼ限定しているというオーソドックスな展開で、プロフィール的にもなんら奇をてらったところがない。「鉄道オタク」とか「爬虫類マニア」とか「宇宙人と話せる」といった反則気味な販促ギミックに頼った小粒な"一芸グラドル"花盛りの昨今、ここまで己の肉体ひとつで堂々と勝負できるグラビアアイドルも珍しい。
もともと優香や雛形あきこ、小池栄子といったグラビアアイドルの開祖たちは、10代後半にその強烈な肉体的説得力のみを武器にしてグラビアを席巻し、その後バラエティー番組やテレビドラマに進出していった。しかし彼女たちが確立したビジネスモデルは雑誌メディアの衰退とともに限界を迎え、いまでは肉体以外の付加価値のほうが評価される時代になった。グラビアでは人気がトップクラスとは言えなかった優木まおみが、その知性を評価されてテレビ進出に成功し、バストのアピール力に乏しい佐々木希が、その並はずれた美貌で女性誌やCMで人気を集める、そんな時代だからこそ、佐山彩香のような原点回帰、直球ど真ん中の存在は逆に新鮮だ。
女優の卵でもなければ女性誌モデルでもない、ましてやAKB48でもない、純粋にグラビアを本拠地として活動する童顔巨乳の10代、そんな「純粋グラビアアイドル」の逸材が、縮小する一方のグラビアアイドル界から今後現れる可能性は限りなく低い。佐山彩香は、紗綾とともに「最後の純粋グラビアアイドル」として歴史にその名を残すだろう。
真実一郎(しんじつ いちろう)
サラリーマン、ブロガー。ケータイサイト『モバイルブロス』、雑誌『Invitation』などで世相を分析するコラムを連載。アイドルに関しても造詣が深く、リア・ディゾンに「グラビア界の黒船」というキャッチコピーを与えたことでも知られる。ブログ「インサイター」