旅行や出張、取引先訪問などの移動手段を選ぶ際に皆さんはどうしていますか?遠出であれば新幹線や飛行機、近場であればバスや電車、そして自家用車で移動することなどさまざまな選択肢がありますね。その際に、時間や費用、天候なども考慮しながら最適な手段を選ぶことになると思います。
貯金では目的地まで徒歩となる
全社員の平均年齢が30代という会社も多く、30代の皆さんは職場で中核を担いはじめ、公私ともに忙しくしている人も多いのではないでしょうか。また、20代の時に比べ手取りも増え、老後などの目的で資産形成を検討しはじめた人もいると思います。まさに、そんな時は交通手段を選ぶように1つひとつ選択肢を探っていく必要があります。
資産形成について考えたいけど、忙しくてゆっくり時間がとれない。こんな声が聞こえてきそうです。
とはいえ、超低金利の状況は今後も続くと思われ、投資など積極的に運用することで、お金を上手に増やす工夫をしていきたいところです。何もせず、ただ貯金をしていくのは、「乗り物は事故がコワイから」と1歩1歩自分の足で目標地点に進むようなものです。
まずは「どんな投資手段、金融商品があるのか?」そういった情報収集からはじめていきたいですね。さらには個人型確定拠出年金(通称iDeCo・イデコ)と呼ばれる、公的年金の上乗せとして節税にもつながる制度もあります。
老後という目的地に向けてiDeCoは最適だといえますが、そのiDeCoも制度の枠組みの中で、毎月の積立額を決め、その積立額をどのように運用するのか、いくつかある金融商品(投資対象)から自分自身で選ぶ必要があります。
金融商品を選ぶ際のチェックポイント
老後という大きな目的地を目指す過程で、みなさんそれぞれ違いはあれど、結婚・子供・住宅取得など、大きなライフイベントも待っています。こういったイベントをこなしながら老後資金を準備しなければならないのです。そこで、重要なのは「複数の手段を上手に使いこなす」ことです。
代表的な銀行預金に加え、外貨預金、株式、投資信託など様々な方法があり、それぞれリスクとリターンが異なります。どのようなリスクがあり、どの程度のリターンが期待できるのか? といったことをチェックすることはもちろん、それ以外にも把握しておきたいのが目的に応じた「運用期間」です。
飛行機は遠い場所に早く到着するのに最適ですが、空の上で「途中で降ろしてください」というわけにはいきません。一方、車で遠出をするのは時間もかかり、運転も疲れますが、途中、気の向くままに車を停め、立ち寄ることができます。
もし「2~3年以内に住宅を購入する際の頭金を貯めたい」ということであれば、車のようにいつでも下車できるような普通預金や定期預金などが候補になるでしょうし、iDeCoなどを活用して老後資金を準備する場合は30年~40年といった「超長期運用」が前提となるため、比較的リスクの高い株式系の運用も候補となりそうです。
通常、リスクの高いものは長期で投資をすることで、リスクを抑えることができ、高いリターンが期待できるからです。
ファイナンシャルプランを描いてみては
交通機関を選ぶ際は「どこへ、何時までに到着したい」という前提があり、いくつかの選択肢から選ぶことになります。同様に、まずは皆さんがこれから歩む道にどういった大きなイベントが待っているのか? どのような生活を送りたいのか? まずは描いてみてください。高い金利が魅力的で外貨預金を検討する人もいますが、為替変動によるリスクがネックとなる場合があります。
ただし、「将来オーストラリアで生活したい」という大きな目的がある人にとって豪ドル預金を行う人にとっては為替リスクはそんなに気にならないでしょう。
こういう点で、将来のプランニングを行うことは重要です。ぜひ、結婚している人は配偶者とそんな話をする時間を設けてください。1つひとつのイベントを実現するためのお金の準備は1日でも早いに越したことはありません。「目的地へ早く到着したい」と急いでしまうと、大きな事故に遭遇するかもしれません。
特に最終目的地となる「老後準備」は絶対に失敗したくないところです。公的年金の上乗せとしてiDeCo、そして自助努力による準備。長い旅路だけに、時に乗り換えも必要となります。落ち着いて対処できるでしょうか?
税制優遇措置は「おまけ」
「iDeCoに加入すると税制優遇措置があります」と聞き、節税目的でiDeCoをはじめる人が非常に多いように感じていますが、節税はあくまで「おまけ」です。投資の本質、老後の生活プランを意識しながらiDeCoをはじめることが重要です。また上手に「おまけ」をもらうためには税金に関する知識も必要となります。
そんなiDeCoを行う上で必要な知識をこれから一緒に勉強していきましょう。
著者プロフィール: 内山 貴博(うちやま・たかひろ)
内山FP総合事務所
代表取締役
ファイナンシャルプランナー(CFP)FP上級資格・国際資格。
一級ファイナンシャル・プランニング技能士 FP国家資格。九州大学大学院経済学府産業マネジメント専攻 経営修士課程(MBA)修了。