公的年金にじぶん年金を上乗せできる仕組みとして、注目を集めている確定拠出年金。確定拠出年金には勤務先の企業で入る「企業型確定拠出年金」と、加入者自身が自分で入る「個人型確定拠出年金(iDeCo)」の2種類があります。
「企業型確定拠出年金」は、導入している企業でのみ加入できますが、「個人型確定拠出年金(iDeCo)」は2017年1月から加入対象者が大幅に拡大し、「企業型」に加入している人も含めて、20歳から60歳未満であれば誰でも加入できる制度になりました。この特集では「個人型確定拠出年金(iDeCo)」について、ひとつずつ解説していきます。
加入までの流れを把握しよう
iDeCoを始めるに当たって重要なのが、金融機関選びです。iDeCoを取り扱う金融機関には、銀行、証券会社、保険会社などがあります。金融機関を選んだら申し込みの手続きが必要ですが、意外と煩雑。手続きには2カ月程度かかりますので、まずはしっかり加入までの流れを把握しましょう。
手続きには2カ月以上かかることも!
iDeCoを始める場合、利用金融機関に既に口座を持っているか否かに関わらず、新規に口座を開設することになります。まずは、口座を開きたい金融機関に問い合わせをして、申込用紙を送ってもらいましょう。
用紙を受け取る際に注意したいのが、第1号被保険者(自営業)か第2号被保険者(会社員、公務員)かによって口座開設の際の申込用紙や必要書類が異なっていること。特に会社員である第2号被保険者の場合は、申込用紙のほかに「事業者の証明書」が必要になります。その場合自分で記入する箇所だけではなく、会社から印鑑をもらう部分や、会社側が記入する箇所もあるのできちんと用紙が入手できているか注意が必要です。
また口座開設をする際、記入した書類は受付金融機関から国民年金基金連合会に送付されて、加入者資格の審査にかけられます。加入審査には最大で2カ月程度かかるので、余裕を持った口座開設を心がけましょう。
申込用紙記入用のコツを伝授
では、申込用紙を記入する上でのコツを、実際の書面で説明していきましょう。
まず間違いやすいのが、「被保険者区分」。自分が第何号被保険者なんか、意識したことがない人がほとんどでしょう。会社員は第2号被保険者だと覚えておきましょう。
「基礎年金番号」も自分の番号を知らない人がほとんどではないでしょうか。これは年金手帳やねんきん定期便、国民年金保険料の領収書などで確認することができます。会社員で、勤務先に年金手帳を提出している場合、総務部などに問い合わせてみましょう。
「掛金の納付方法」については、通常は加入者の口座から引き落とされる「個人払込」を選択します。ただし、会社員は給与から天引きされる「事業主払込」も選択することができます。給与天引きの方が確実にお金を貯めることができますから、会社にそういった制度があるか念のために確認しましょう。
「掛金の引落口座番号」は、掛金を拠出する際に利用する口座の情報を記入します。ネット銀行や一部の金融機関は掛金の引き落とし口座にはできないことがあります。「勤務先情報」には自分の勤め先の情報を記入します。「登録事業所番号」は、国民年金基金連合会に登録されている番号ですが、わからない場合は空欄のままでOKです。また意外と書き忘れてしまうのが、毎月の掛金額。申込時にこの金額を書いておかないと、口座開設ができません。必ず記入しましょう。
会社員はこのほかに勤務先に書いてもらう「事業所登録申請書兼第2位加入者に係る事業主の証明書」を提出する必要があります。これは必ず会社に提出して記入してもらい、印鑑を押してもらわなくてはなりません。つまり、その書類を提出して会社から回収する時間も計算に入れて、準備をする必要があるということ。会社の書類についても、複写になっており押印欄が2カ所あるがちゃんと押されているか、など必要事項が書かれているかを念のために自分でも確認しましょう。
今年中にiDeCoを始めようとせっかく申し込みをしても、書類に不備があって戻ってきてしまっては、希望どおりに事が進みません。「始めよければ、全部よし」。まずはしっかり申し込みの流れをクリアしましょう。
まとめ
株式会社回遊舎
"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」「J-REIT金メダル投資術」、「NISA120%活用術」、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」、「子育てで破産しないためのお金の本」など。