公的年金にじぶん年金を上乗せできる仕組みとして、注目を集めている確定拠出年金。確定拠出年金には勤務先の企業で入る「企業型確定拠出年金」と、加入者自身が自分で入る「個人型確定拠出年金(iDeCo)」の2種類があります。

「企業型確定拠出年金」は、導入している企業でのみ加入できますが、「個人型確定拠出年金(iDeCo)」は2017年1月から加入対象者が大幅に拡大し、「企業型」に加入している人も含めて、20歳から60歳未満であれば誰でも加入できる制度になりました。この特集では「個人型確定拠出年金(iDeCo)」について、ひとつずつ解説していきます。

分散投資の基本を解説

iDeCoに加入したら、はじめに掛金の配分割合を指定する必要があります。それは自分がiDeCoでどんな運用をするのかを決めるということです。例えば、毎月の掛金が1万円で商品Aに50%、商品Bに30%、商品Cに20%と配分割合を指定すると、指定した配分割合に従って、商品Aが5,000円、商品Bが3,000円、商品Cが2,000円購入される仕組みです。

資産全体のリスクを考えたときに、1万円の掛金を1つの商品に集中投資するのではなくどの商品の価格が下がってもいいように、幅広く分散して投資するのが得策といえます。ここではその分散投資の基本を解説していきましょう。

投資信託を組み合わせて運用益を目指す

60歳までの長期投資となるiDeCoで重要なのは分散投資です。分散投資とは値動きが異なる資産を同時に保有することで、1つの資産の価格が下がったときに、他の資産の価格上昇で補う効果を期待できます。

掛金が5,000円とか1万円と少額だと投資信託は1つしか買えないと思っている人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。前述した通り、配分割合を指定することで様々な商品を購入することができます。配分割合は1%単位で指定でき、合計が100%になるように指定します。無理にたくさんの商品に分散する必要はありませんが、投資信託の場合には日本株式型、先進国株式型、新興国株式型など投資対象の異なるファンドを組み合わせることで、資産全体の運用リスクを抑えることができます。

投資信託を組み合わせて運用益を目指す

ただし、初心者の場合は1本で複数の投資対象に投資しているバランス型を1本選んでもOKです。また、運用中にその配分割合を調整したい場合には、積立資産の預け替え(スイッチング)するだけでリスクの調整ができます。

積極派のポートフォリオ

20代や50代で余裕資金のある会社員など少し高めのリスクがあっても、ハイリスクハイリターン運用で増やすことを狙いたい!という積極派の人には、国内外の中小型株式を組み入れながら、フロンティア市場にも分散投資する究極の分散投資ポートフォリオがオススメ。

期待収益の高いポートフォリオで長期運用しながら、将来の成長が期待されるフロンティア市場にも投資して、高いリターンを狙いましょう。

積極派のポートフォリオ

中間派のポートフォリオ

30代や40代で子供の教育費など他の支出が増える時期にはスタンダードなポートフォリオで安定運用を狙うのがオススメ。投資スタンスでいえば、中間派といえるでしょう。そんな人には、外国株式の中では安定的に成長していく先進国株式の組み入れ比率を50%と手厚くするポートフォリオがオススメ。

今後の成長が期待できる地域に投資して、その果実を得る発想で長期投資ができるのはiDeCoならでは。信託報酬の安い低コストのインデックスファンドで構築するといいでしょう。

中間派のポートフォリオ

消極派のポートフォリオ

投資経験のない初心者やあまりリスクをとりたくない、手間をかけたくないという消極派の人には、ターゲットイヤーファンドやバランス型ファンドなど、自分で資産配分を考えたり、リバランスしたりする必要のないものでまずは運用に慣れるのがオススメ。投資初心者なら、最初は1本のおまかせファンドから始めるのがいいでしょう。

ターゲットイヤーファンドは、あらかじめ運用期間が設定され、運用可能な期間の長さに応じて、投資対象の選択や資産配分の変更を自動的に調整してくれるファンド。投資初心者で、投資知識が浅くとも、ファンドの方でバランスをとってくれます。

バランス型ファンドは、株式だけとか債券だけとか1つの資産に偏ることなく、複数の資産や市場へバランスよく投資するファンドのこと。1つのファンドで複数の資産に投資できるので手間がかかりません。慣れてきたら掛金の一部を先進国株のインデックスファンドを組みこんでみるといいでしょう。

消極派のポートフォリオ

配分割合は自分の運用方針によっても変わってくるものです。例えば、もっとローリスクの方がいいという場合には株式型の投資信託の割合を減らし、債券型の投資信託を中心とした配分に。元本確保を重視する人は、定期預金を組み入れるか、元本割れリスクの低い国内債券型の投資信託が選択肢になってくるでしょう。上記の内容はあくまで1つの考え方なので、自分の運用方針にあったポートフォリオで運用していくといいでしょう。

まとめ

株式会社回遊舎


"金融"を専門とする編集・制作プロダクション。お金に関する記事を企画・取材から執筆、制作まで一手に引き受ける。マネー誌以外にも、育児雑誌や女性誌健康関連記事などのライフスタイル分野も幅広く手掛ける。近著に「貯められない人のための手取り『10分の1』貯金術」「J-REIT金メダル投資術」、「NISA120%活用術」、「めちゃくちゃ売れてるマネー誌ZAiが作った世界で一番わかりやすいニッポンの論点10」、「子育てで破産しないためのお金の本」など。