「企業型確定拠出年金」は、導入している企業でのみ加入できますが、「個人型確定拠出年金(iDeCo)」は2017年1月から加入対象者が大幅に拡大し、「企業型」に加入している人も含めて、20歳から60歳未満であれば誰でも加入できる制度になりました。この特集では「個人型確定拠出年金(iDeCo)」について、ひとつずつ解説していきます。
iDeCoに加入している人の割合は?
マイナビニュース編集部が20代~30代の会員497人に行ったアンケートによると、iDeCoを知っているという人は60%、実際にiDeCoに加入しているという人は30%でした。
また、毎月いくら拠出(積立)しているかというと、5,000円が20%、5,000円以上1万円未満が20%、1万円以上1万5,000円未満が約25%と一番多い結果となりました。例えば25歳から毎月1万円ずつを60歳まで拠出した場合には420万円の積み立てができ、たとえば例えば3%で運用したとしたら、約725万円の老後資金が作れるというわけです。
今や寿命100年!? 年金崩壊時代がやってくる!
少子高齢化が加速する現在、老後資産崩壊の危機が高まっています。厚生労働省によると、日本人の平均寿命は年々伸びており延びており、男性が80歳、女性が87歳(※出典:厚生労働省 平成27年簡易生命表)と長寿化が進んでいる一方で、長寿化で定年退職後の生活が長くなった分、必要資金も増えるという「長生きリスク」にも備える時代になってきました。
総務省のデータでは65歳以上の高齢夫婦の1カ月の収支は毎月約6万2,000円の赤字(※出典:総務省 家計調査報告2015年)で、これは定年退職後20年間で1,500万円近くまで膨れ上がります。
平均寿命はどんどん伸びて延びて、少子高齢化で年金増額にも期待できず、もはや年金だけで定年退職後の長い生活を賄うことは不可能に近いといえます。この「年金崩壊時代」に安心した老後生活を実現させるためには、現役世代のうちに老後の資産を「じぶんでつくる」ほかありません。しかし、このマイナス金利下では、預貯金でお金を増やすことも期待できず、一方でリスクが高い投資で大切な資産を失うのも絶対に避けたいところです。
そこで今からはじめる始めるべき老後への準備が「確定拠出年金制度」というわけです。「確定拠出年金」には、「企業型確定拠出年金」と「個人型確定拠出年金」がありますが、20歳から60歳までであれば誰でも加入できて企業型との併用も可能な「個人型確定拠出年金(iDeCo)」をご紹介しましょう。
自分でつくる! じぶん年金
iDeCoは自分で積み立てたお金を投資信託などで運用していき、それを60歳以降で受け取るという仕組みです。60歳まで引き出せないので、60歳以降の老後資金が強制的に貯まるようになっています。
どんな浪費家の人であろうと確実に老後資金を作ることができ、受け取りは60歳以降。つまり、自らの年金を自分の手でつくる「じぶん年金」なのです。この「じぶん年金」は国民年金や厚生年金などの公的年金だけでは不足する分を補い、老後生活を支える重要な資産となります。
また、iDeCoは税制優遇の節税メリットが大きく、運用はプロにお任せできる投資信託を利用できるので初心者でも気軽に始められます。さらに、2017年1月の制度改正によって対象者が大幅に拡大、公務員や専業主婦も始められるようになりました。利用最低金額も月々5,000円以上1,000円単位と少額から利用可能な点も魅力です。銀行や証券会社、保険会社など身近な金融機関から手軽に申し込むことができます。
運用次第で年金がぐんぐん増える!
通常の預貯金と比べたときにiDeCoの最大のメリットは、運用によって出た利益が積み立てた掛金に上乗せされること。毎月の積立額は少額でも長期運用を行うことで、積み立てたお金が自動的に増えていきます。自分の運用成果次第では、最終的に受け取る年金資産が大きく増える可能性もあります。
基本的には投資信託で運用し、定期的に一定金額を継続して購入していく「ドルコスト平均法」と呼ばれる投資手法を活用することによって、価格が安いときには多く、高いときには少ない量を自動的に購入することになり、一定量ずつ買い付けたときに比べて平均買付コストを低く抑える効果が期待できます。
60歳まで引き出すことができないため、自ずとおのずと運用は長期運用となりますが、その期間中、積立てた積み立てたお金はほったらかしたままでもOK。投資信託で運用する場合には元本割れのリスクもありますが、いざ60歳で引き出す頃には大きな額になっているというケースも珍しくありません。ほったらかしでもコツコツ増えていく資産運用の醍醐味を味わうことができます。
まとめ