入社1年目で知っておきたい「ビジネススキル」とはどのようなものでしょうか? 時間管理やコミュニケーション、PCスキルなど、会社や業界を問わず、身に着けておくと役立つスキルをチェックしていきましょう。
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 ディレクターであり、社内外でビジネススキルに関する研修やセミナーを行う木部智之氏の著書『入社1年目のビジネススキル大全』(三笠書房)より、一部を紹介します。
第8回は、「『伝えた』ではなく『伝わった』をめざす」です。
「伝えた」ではなく「伝わった」をめざす
仕事におけるコミュニケーション(情報伝達)は、相手にきちんと意図が伝わらないと意味がありません。
この「伝わる」とは、どういうことでしょうか。
伝わらないのは発信者の責任
ビジネスでのコミュニケーションには、必ず目的があります。そして、その目的とは、相手に何かをしてもらう、ということです。
「資料をつくってもらいたい」
「報告を理解して、対策を打ってもらいたい」
「3つの案のどれでいくか判断してもらいたい」
など、伝えた結果、相手に何らかのアクションを期待しています。
ということは、コミュニケーションが成立したという状態は、 相手がこちらの望むアクションをしてくれたということです。
逆に、「伝えた」けれどもアクションしてくれなかった、ということは、「伝わっていない」ということなのです。
よく職場で、
「メールしたのにやってくれない」
「説明会を実施したのに理解していない」
「指示したものと全然違うものが出てきた」
といったグチを聞くことがよくあります。
当人からすれば、動いてくれない相手が悪いと思いがちですが、実は自分のコミュニケーションスキル不足を露呈しているのです。
よくよく聞いてみると、メールがとても読みきれないような長文になっていたり、誰が聞いても要領を得ないようなグダグダの説明会だったりということがほとんどです。
もちろん、コミュニケーションの受け取り手に問題があることも多々あります。しかし、そのことで不利益を被るのは、結局、発信者であるあなた自身です。それも含めて、発信者がコミュニケーションの結果責任を負うべきなのです。
伝わるための最適なコミュニケーションツール
伝わるためには、最適なツールを選ぶことが大切です。コミュニケーションのツールとは、口頭、電話、メール、チャット、資料、プレゼンなどです。
同じフロアにいるから、メールやチャットでなく口頭で会話したほうが早いとか、逆に、依頼した作業を忘れられないようにメールやチャットで連絡する、など、状況や目的に応じた最適なツールを選びましょう。
最適というのは、コミュニケーションの目的を果たし、かつ、必要以上に時間をかけすぎないということです。5分の口頭説明で理解できる内容を、10枚の資料で30分もかけて説明されたことがあります。内容はわかりましたが、お互いに、時間のムダ遣いとなっていました。その時間はほかの仕事に費やしたほうがいいでしょう。
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著者:木部智之
発売日:2022年5月11日
ISBN:9784837928904
価格:1760円