入社1年目で知っておきたい「ビジネススキル」とはどのようなものでしょうか? 時間管理やコミュニケーション、PCスキルなど、会社や業界を問わず、身に着けておくと役立つスキルをチェックしていきましょう。
パナソニック コネクト カンパニー役員であり、社内外でビジネススキルに関する研修やセミナーを行う木部智之氏の著書『入社1年目のビジネススキル大全』(三笠書房)より、一部を紹介します。
第4回は、「『3人目のレンガ職人』になろう」です。
「3人目のレンガ職人」になろう
中世のとあるヨーロッパの町。旅人がその町を歩いていると、汗をたらたら流しながら働いている3人のレンガ職人に出会いました。
旅人は彼らに「何をしているのですか?」と尋ねました。すると、3人のレンガ職人は次のように答えました。
【1人目の職人】
「見ればわかるだろう、レンガ積みをしているのさ。雨の日も暑い日も寒い日もレンガ積みだ」
【2人目の職人】
「レンガを積んで大きな壁をつくっているんだ。この壁をつくるのが俺の仕事だ。大変だけど、賃金がいいからやっているんだ」
【3人目の職人】
「歴史に残る偉大な大聖堂をつくっているんだ。ここは多くの人の拠り所となるだろう。どうだ、素晴らしいだろう」
3人のレンガ職人は、みな「レンガを積む」という仕事内容は同じで賃金も同じなのですが、3人目のレンガ職人の取り組み方が一番いいのは明らかで、彼が最もすぐれた仕事をしそうですよね。
感情を動かすのは出来事ではなく「とらえ方」
これは、アメリカの臨床心理学者アルバート・エリスが提唱した「ABC理論」で説明できます。ABC理論とは、出来事(Activating event)ではなく「とらえ方(Belief)」が感情(Consequence)を引き起こす、というものです。
レンガを積むという出来事(A)のとらえ方(B)が違うだけで、かたや単純作業と思い、かたや壮大な思い(C)を持って仕事に取り組むようになるということです。
さて、このレンガ職人の話はイソップ寓話のひとつです。そして、この話には10年後の続きがあります。
1人目のレンガ職人は、10年前と同じように文句を言いながらレンガを積んでいました。2人目のレンガ職人は、レンガ積みよりお金のよい仕事に就きましたが、危険を伴う教会の屋根の上で仕事をしていました。3人目のレンガ職人は、現場の親方を任されるようになり、のちに出来上がった大聖堂には彼の名前がつけられたということです。
自分の仕事の価値は自分で決める
新人の頃は、どうしてもこまごまとした仕事をする機会が多く、「これは何の役に立つのか」と、思い悩むことも多いでしょう。
しかし、自分の仕事の価値を決めるのは自分自身です。
自分の仕事に大きな意義や目的を持つことで、一つひとつの仕事の取り組み方が変わり、1日1日の重みが変わります。そうすると1日1日の成長量も変わります。そうして数年後には、何も考えずに作業をこなしているだけの人とは、とてつもなく大きな差ができているのです。せっかくの仕事人生なのですから、あなたも3人目のレンガ職人をめざしましょう。
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著者:木部智之
発売日:2022年5月11日
ISBN:9784837928904
価格:1760円