入社１年目のビジネススキル大全(15) 学びを得られる相手は上司や先輩だけじゃない!

入社1年目で知っておきたい「ビジネススキル」とはどのようなものでしょうか? 時間管理やコミュニケーション、PCスキルなど、会社や業界を問わず、身に着けておくと役立つスキルをチェックしていきましょう。

デロイトトーマツコンサルティング合同会社ディレクターであり、社内外でビジネススキルに関する研修やセミナーを行う木部智之氏の著書『入社1年目のビジネススキル大全』(三笠書房)より、一部を紹介します。

第15回は、「『すぐれた師』だけでなく『反面教師』からも学ぶ」です。

「すぐれた師」だけでなく「反面教師」からも学ぶ

上司や先輩の仕事ぶりを見て、スキルを盗む(マネする)ということは、無意識のうちに誰もがやっていることだと思います。

しかし、学びを得られる相手は、上司や先輩だけに限りません。その機会は、いたるところに転がっているものです。

例えば、隣の部門の人もそうですし、お客様もそうです。仕事で接点を持つ人すべてから学ぶことができます。

私は、これを「勝手にシャドーイング」と呼んでいます。英語学習では、ネイティブの英語のすぐ後(影)を追いかけて発音することをシャドーイングと呼びますが、それと同じです。そして、私は学ぶ相手には告げずに勝手に影のようにマークすることから、このように言っています。

いろいろな人たちの一挙手一投足を見て、いいも悪いも含めて学ぶのです。デキる人たちからは、なるほど、と思えるようなスキルを盗み、そうでない人たちからは反面教師として学びを得ます。

マネしていることがバレたら恥ずかしい、などと思う必要はありません。むしろ、上司や先輩は、マネされていることがわかると嬉しく思うものです。また、そういう部下を向上心のある人材として評価したりもするのです。

職場で、他人の仕事ぶりに対するグチを耳にすることがありますが、それも単なるグチとして聞き流さずに、反面教師としての学びに変えたほうが有意義です。

「こういう態度を取ると、同僚は嫌な気持ちになるんだ」とか「こういう返事をすると、やる気がないと思われるのか」という学びに変えるのです。

このような学びは、仕事の場だけではありません。極端な例を出せば、帰宅途中の電車の中にも学びの材料はあります。飲み会帰りのビジネスパーソンが同僚と上司や先輩、仕事のグチを言っているのを聞くこともよくあります。だいたい大きな声で話をしているので、内容を聞き取ることができます。

それを聞きながら、「(その場面は)自分だったらどうするだろうか」とシミュレーションしたり、「そう思われないようにするために、その人はどうしたらよかったのだろうか」と考えたりします。

つまり、日常のどんなシーンにも、学びの材料は転がっている、ということです。

しかしながら、同じ環境にいる人全員が同じ学びを得られるかというと、そんなことはありません。

その理由は、「カラーバス効果」で説明できます。

カラーバス効果とは、ある特定のものを意識すると、日常生活の中でそのことに関することが目や耳に留まりやすくなる、というものです。

例えば、朝、テレビの占いコーナーで、「今日のラッキーカラーは赤です」と言われると、その日は赤いものが目に留まりやすくなり、何かいいことが起きたときには、やっぱり「赤がラッキーカラーだったのだ」と思ってしまう、というようなことです。

したがって、「いつでもどこでもスキルを盗んでやるぞ」「どんなものでも学びに変えてやるんだ」と意気込んでいれば、目に入ってくるもの、耳に入ってくるものすべてが学習材料となるのです。

みなさんも、アンテナをたくさん張り巡らして、学びの感度を上げていきましょう。

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著者：木部智之
発売日：2022年5月11日
ISBN：9784837928904
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