入社1年目で知っておきたい「ビジネススキル」とはどのようなものでしょうか? 時間管理やコミュニケーション、PCスキルなど、会社や業界を問わず、身に着けておくと役立つスキルをチェックしていきましょう。
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 ディレクターであり、社内外でビジネススキルに関する研修やセミナーを行う木部智之氏の著書『入社1年目のビジネススキル大全』(三笠書房)より、一部を紹介します。
第14回は、「『人に教える』は成長の起爆剤になる」です。
「人に教える」は成長の起爆剤になる
社会人になり、新しい仕事を学び、覚え、自分の仕事ができるようになると、いずれ、人に「教える」ときがやってきます。
実は「教える」ことは、とても大きな自分への学びとなります。
人に「教える」と自分が「学ぶ」
その理由は2つあります。
ひとつは、自分の仕事を「再整理」できることです。ふだん、何となくこなしている仕事でも、人に説明するとなると改めて手順を整理したり、注意すべき点や事前準備なども見直す機会となり、仕事の全体像を俯瞰しながら整理することができます。
このように再整理することで、改めて自分の仕事を見直すことにもなりますし、新たな発見をすることもあります。今まで以上に効率のいい方法を見つけることもあるでしょう。
何よりも、「言語化する」という思考プロセスが大きな効果をもたらします。教えるということは、言語化するということです。
「感覚知を言語化する」、これが大きな学びになります。
質問に答えることで「客観的な視点」が身につく
2つ目のポイントは、「客観的視点」です。
教えるということは、相手から質問される可能性があることを意味します。どういった質問が来るだろうか、と考えるには、客観的な視点が必要になります。なぜなら、自分では疑問に思わなくても、他人だったらどういうところに、どういった疑問を持つのだろう、と考えられるからです。仕事の背景や目的、作業に関連する知識などを客観的に見直すことになります。
また、実際に質問される内容は、事前の想像を超えたものも出てくるはずです。それらに対応することで、自分自身の説明力が鍛えられ、学びの機会とすることができます。
フォーマルな場で教えるほうが、学びの度合いも大きい
これらの「教えるメリット」を最大化するためには、部分的な作業をちょっと教えるよりも、ある程度の大きさの仕事や大きなテーマを選んだほうがよいでしょう。
例えば、私は会社員のかたわら研修講師という仕事もしています。研修では、面識のない人に対して3~5時間の講習をします。受講生は会社や職種、役職もさまざまです。つまり、どんな質問が飛んでくるのかわかりません。だからこそ、どんな質問が飛んできても対応できるように、事前の準備はしっかりやります。それでも毎回、不安な気持ちを抱えながら、研修に臨んでいます。
ふだんの仕事では、これほどの規模で緊張感を持って誰かに教えるという機会はめったにありません。それに「ちょっと教えてあげるよ」というフランクな雰囲気では、お互いに緊張感を持てないので、大きな学びの機会とするのは難しいかもしれません。
そういう場合は、あえてフォーマルな場を設けるといいでしょう。若手社員で集まって、学習テーマを決めて持ち回りで講師をする、というのもひとつです。自分に後輩が何人かできたら、後輩に向けて週1回のレクチャーの場を設け、仕事に関連するテーマで講義をしてみる。双方にとって、貴重な学びの機会となるはずです。
普通は、教えるというと面倒くさいとか億劫にとらえられがちですが、人に教えることは自己成長の宝庫です。
ぜひ、積極的に教える場を自分からつくって、成長につなげていきましょう。
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