憧れのマイホーム。それは多くの人が数十年にわたる住宅ローンを組んで手に入れる、人生で最も大きい買い物だ。しかし、何が起こるか分からない世の中。リストラ、ケガ、離婚などさまざまな事情が重なり住宅ローンの返済が困難になってしまう人も少なからずいる。

この連載では、「任意売却」でローン返済困窮を救済する、全国住宅ローン救済・任意売却支援協会に寄せられたさまざまな相談事例を紹介する。

交通事故で仕事復帰の目途が立たず

――岩手県、40代男性(妻と子ども3人)の話

岩手県盛岡市に住むYさんは、地元の中小企業で勤続20年以上のベテラン社員だった。役所相手の仕事が中心だったため収入は安定しており、自宅を購入し住宅ローンを組むことにも何の躊躇もなかった。

しかし2年前、会社から自宅へ帰る際に交通事故を起こしてしまい長期入院することに。しかも、パチンコ店に立ち寄ったことを理由に労災が認められなかった。入院費と通院費を優先していたところ、住宅ローンの返済が続けられなくなり、協会へ相談にやってきた。

  • 交通事故で長期入院、住宅ローンが返済不能に

    会社帰りに交通事故に遭い長期入院することに……

Yさんは仕事復帰の目途がまったく立っておらず、相談担当者は住宅ローンの返済は難しいと判断。任意売却による債務整理を提案した。Yさんは入院中だったので、おもに妻が主導しての任意売却となった。

販売開始当初は、債権者の意向で相場より2割程度高い金額だったため反応は良くなかったが、半年ほどして相場価格まで下がったところで契約となった。

その後

通院しやすいよう、引っ越し先は病院の近くに。妻は就職活動中で、しばらくはYさんに代わり家計を引っ張っていくそうだ。

相談者の声

「貯金がみるみる減っていくのは本当に怖かった。自宅を失ってしまったが、住居費用がだいぶ減って楽になりました」

※相談者のプライバシー保護のため、一部加工しています。
※画像と本文は関係ありません。

一般社団法人 全国住宅ローン救済・任意売却支援協会

住宅ローン返済困窮者及び今後滞納する可能性を持つ方々の救済や利益保護を目的に、平成22年に設立された非営利団体。
ローン破たんで競売によるマイホームの強制的な売却を防ぐために、住宅ローン返済条件変更や売却せざるを得ない場合でも、より有利な「任意売却」でローン返済困窮を救済、またその仕組みの認知、普及に取り組んでいる。
「住宅ローン返済に困っている」、「返済を滞納してしまった」、「今後の住宅ローン返済が難しい」など、住宅ローンで困っていることがあれば、全国対応の相談窓口(フリーダイヤル:0120-963-281)、もしくは協会WEBサイトから気軽に相談することができる。