憧れのマイホーム。それは多くの人が数十年にわたる住宅ローンを組んで手に入れる、人生で最も大きい買い物だ。しかし、何が起こるか分からない世の中。リストラ、ケガ、離婚などさまざまな事情が重なり住宅ローンの返済が困難になってしまう人も少なからずいる。

この連載では、「任意売却」でローン返済困窮を救済する、全国住宅ローン救済・任意売却支援協会に寄せられたさまざまな相談事例を紹介する。

新しい家庭を築いたのに……

――東京都、50代女性(子どもと2人暮らし)の話

東京都に住むSさんは、離婚した元夫と共有で購入したマンションの支払いが遅れているようだという相談で協会にやってきた。

離婚時には、元夫がそのマンションに住み続けるということで、離婚後の住宅ローンも元夫が払い続けるという約束になっていた。

離婚から15年程経ち、Nさんも新しい家庭を持って生活していたところ、元夫が住んでいるマンションの支払いが遅れているとの連絡が。Sさんは、マンション購入時に連帯保証人となっていたのだった。

  • 離婚した元夫のマンションの支払い遅延連絡が……なぜ?

    元夫と購入したマンション、支払は元夫がするはずだったのだが……

新しい生活があり、もう住んでいないマンションの支払いまではキツイ……どうしたらよいのか、とSさんは頭を抱えていた。

さらに、元夫は住宅ローンだけでなく、マンションの管理費・修繕積立金も滞納。相談にきた時点で滞納は6カ月になっており、このまま住宅ローンが払えないのであれば競売になってしまう。遅かれ早かれこのマンションには住み続けることは難しいことを元夫に説明し、任意売却に協力してくれるよう説得した。

その後

マンションの管理費・修繕積立金の滞納金はマンションの売却代金から費用として認められたが、遅延損害金については認められずに残ってしまった。しかし前夫には残債が多く、払える状況でもないため破産を進めることとなった。

相談者の声

「離婚して新しい家庭もあった中、突然の請求に困惑しました。離婚した時は、連帯保証人になっているという事は頭にありながらも、顔を合わせたくなかったこともあり、元夫が払い続けるというのでそれでよいかと思いました。まさかこんな事態になるとは思っていなく、担当の方から『離婚しても、銀行との間の保証契約は生きている。前夫が住宅ローンを完済するまで、いつまでも責任は残り続けている』と言われたのが身に沁みました。私のように離婚する方で連帯保証人になっている人は気を付けた方がいいと思います」

※相談者のプライバシー保護のため、一部加工しています。
※画像と本文は関係ありません。

一般社団法人 全国住宅ローン救済・任意売却支援協会

住宅ローン返済困窮者及び今後滞納する可能性を持つ方々の救済や利益保護を目的に、平成22年に設立された非営利団体。
ローン破たんで競売によるマイホームの強制的な売却を防ぐために、住宅ローン返済条件変更や売却せざるを得ない場合でも、より有利な「任意売却」でローン返済困窮を救済、またその仕組みの認知、普及に取り組んでいる。
「住宅ローン返済に困っている」、「返済を滞納してしまった」、「今後の住宅ローン返済が難しい」など、住宅ローンで困っていることがあれば、全国対応の相談窓口(フリーダイヤル:0120-963-281)、もしくは協会WEBサイトから気軽に相談することができる。